教育の現場で活用!実践的なノウハウ集

PBLとは?意味やメリット、授業に取り入れる方法をご紹介

PBL

PBL(Project Based Learning)は、文部科学省が推進するアクティブラーニングのひとつです。どこかで耳にしたことがあるものの、それがどんなものなのか、どのように活用すれば良いのか、正しく理解している方は多くないでしょう。
今回はそんなPBLについて、正しい意味やメリット、授業に取り入れる方法などをご紹介します。

PBLの意味は?SBLとの違いをご紹介

PBLの意味

PBL(Project Based Learning)は、日本語では「問題解決型学習」「課題解決型学習」などと訳される勉強法です。

生徒が自ら問題を見つけ、さらにその問題を自ら解決する能力を身に付ける学習方法のことを指します。まずはその概要と従来の学習法であるSBLとの違いをご紹介します。

PBLの概要

日本では現在、文部科学省によって「アクティブラーニング」が推奨されています。PBLはそのアクティブラーニングのうちのひとつです。

PBLは、1990年代初頭にアメリカの教育学者ジョン・デューイが唱えた学習方法です。PBLを取り入れた授業では、答えが複数ある課題について、自ら仮説を立て、調査し、検証するということを繰り返します。

教員が教壇に立って板書し、生徒がそれをノートに写すという従来の授業とは大きく異なり、生徒が自ら課題を見つけ、その課題を解決するまでの過程でさまざまな知識を得ていくという学習方法です。

グループで行う場合は、グループワークやディスカッションなどを行います。
グループワーク・ディスカッションについては、こちらの記事を参考にしてください。

関連記事 グループワークとは?授業に取り入れるメリットや進め方のコツをご紹介 関連記事 ディスカッションとは?教育現場における授業の進め方とコツをご紹介

SBLとの違い

SBL(Subject-based Learning)は、教員が教科書に沿って授業を進めていく学習スタイルのことです。「科目進行型学習」とも呼ばれています。

PBLとの大きな違いは、学習の順序です。
SBLの場合、ある物事について一般的な知識を学習します。原理や構造、使用方法など一通りの基本知識を身に付けてから、最後にそれを実践に生かすにはどうしたら良いかという課題が出されます。

PBLの場合は、まず課題が与えられます。その課題をクリアするためには、どんな知識が必要か、その知識を得るためにはどんなことを学ぶべきかを生徒が自ら考え、与えられた課題をクリアするために各方面からアプローチします。

PBLの5つのメリット

PBLのメリット

日本の教育現場でも取り入れられているPBLには、主に5つのメリットがあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

思考力が鍛えられる

PBLの授業では、答えのない問題と向き合う必要があります。解き方を覚えれば解けるというものではないため、自分自身の頭で考え、さらにそれを整理していく思考力が鍛えられます。

課題をさまざまな視点から捉え、どうすれば課題が解決するのかを考える癖がつき、普段の生活でも物事を深掘りして考えられるようになります。
身に付けた論理的思考力は、学校の勉強はもちろん、社会に出てからも、ビジネスやコミュニケーションなど幅広い場面で活用できます

知識が定着しやすくなる

教員が教科書に沿って授業をし、生徒はそれを聞いて覚える、という従来の学習方法では、生徒は与えられる一方なので、知識が定着しにくい可能性があります。

授業で聞いたはずなのに、テストになるとなかなか答えが出てこないという経験をしたことがある方も多いでしょう。
PBLの授業では、課題解決に向けて自ら調査し、必要な知識を身に付けます。生徒は受動的ではなく、能動的に学ぶため、知識が定着しやすくなります。

応用力が高まる

教科書に書かれている知識や公式などを丸暗記するだけでは、応用力は身に付きません。もちろん基本的な知識を身に付けることは重要ですが、そこからさらに一歩踏み込んだ学習が必要です。

PBLでは、与えられた課題に対して、自分が持っている知識をさらに応用させ、課題の解決方法を探っていきます。
実生活で何か問題に直面した際にも、持ち合わせている知識をベースに、問題を解決する方法を見出す力が身に付きます。

表現力が豊かになる

自分の考えや意見を相手に分かりやすく伝えることは、簡単なことではありません。表現力が乏しいと、人間関係に支障をきたすこともあるため、幼いころから鍛えておきたい能力のひとつです。

PBLでは、一般的な講義形式の授業よりも、自分の考えや意見を言葉で表現しなければいけない場面が増え、自然と表現力が身に付きます。

情報リテラシーが身に付く

情報が溢れる現代社会においては、正しい情報とそうでない情報を見極める、情報リテラシーが必要不可欠です。

PBLの授業では、課題解決に向けて、自主的に情報や知識を集めなければいけません。そのため、膨大な情報の中から正しい情報、有用な情報を探し出す力が身に付きます。

PBLなどのアクティブラーニングを文部科学省が推進する理由

PBLは、現在文部科学省が推進する「アクティブラーニング」のうちのひとつです。なぜ今、アクティブラーニングが注目されているのか。その理由をご紹介します。

アクティブラーニングとは

アクティブラーニングとは、生徒が受け身ではなく、能動的に学ぶことを目指した学習方法のことです。ディスカッション、ディベート、グループワークなどを中心に授業を行います。

アクティブラーニングについて、文部科学省が出している用語集の中では、「教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称」と記載されています。

つまり、教員が講義をしてそれを生徒が聞く、という従来の授業ではなく、ディスカッションやグループワークなどを通じて生徒が自ら学ぶ授業ということです。

注目されている理由

文部科学省が平成29年に公示した「新しい学習指導要領の考え方」では、アクティブラーニングを推進する内容が記載されています。年々情報化が進み、私たちの生きる社会は変化し続けています。

この時代に適応するためには、アクティブラーニングによって、自ら学ぶ力や情報を精査する力、他者と協調しながら生活する力など多様な力を養うことが必要です。

日本での取り組み

これまで日本の教育機関で取り入れられていた学習方法は、教員から生徒へ一方的に語りかけるという形式が多く、生徒の自主性や学習意欲を伸ばすことが難しいという問題に直面していました。

アクティブラーニングが日本に取り入れられるようになったのは、2000年頃。大学の教授によって導入されはじめ、その後、小中高の授業でも扱われるようになりました。

2016年のとある調査では、9割以上の高校がアクティブラーニング型の授業を取り入れていることが分かっています。そして今後もさらに、導入する学校が増加していくと考えられます。

アクティブラーニングについては、こちらの記事を参考にしてください。

関連記事 アクティブラーニングとは?文部科学省が推進する理由とその効果

PBL授業の2つの種類

PBL授業の種類

PBLの教育方法には主に、「チュートリアル型」「実践体験型」という2つの種類があります。ここではそれぞれの特徴をご紹介します。

チュートリアル型

少人数のグループを作り、提示された事例をもとにグループワークやディスカッションを行います。そして、事例の中から問題点を見つけ出し、解決を目指します。

チュートリアル型の場合、教室内だけで完結することができ、準備の手間が少なく済むのがメリットです。そのため、学校の授業などで行われるPBLの多くはチュートリアル型となっています。

一方、あくまで提示された事例をもとに進めるため、実践力を身に付ける効果は実践体験型に劣る可能性があります。

実践体験型

民間企業や地方自治体などと連携しながら学習を行います。実社会で学ぶことができるため、より実践で役立つ力を身に付けることができます。

一方で、実施するためには民間企業や地方自治体などと綿密な連携が必要です。スケジュールの調整など細かい準備が発生するため、チュートリアル型よりも授業に取り入れるハードルは高いでしょう。

おわりに

今回はPBLの基本的な情報をご紹介しました。
PBLでは、自主的に学ぶという体験を通して、従来の授業とは違うさまざまな力を身に付けることができます。

欧米が発祥の教育法ですが、現在は日本の教育機関でも広く取り入れられており、今後もさらにPBLを取り入れた教育法が増えていくと考えられます。

PBLの実施にあたっては、プロジェクターの使用がおすすめです。資料や教材を投写することができるため、議論や制作がより活発に行えるようになるでしょう。

またエプソンのプロジェクターの中には、投写した資料などに直接書き込みができる電子黒板機能を搭載したモデルもあります。
PBL実施の際には、あわせてプロジェクターの導入もご検討ください。

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