教育の現場で活用!実践的なノウハウ集

ICT教育とは?期待できる効果やメリットとあわせてご紹介

ICT教育

ICT(Information and Communication Technology)教育は、文部科学省が推進している、ITテクノロジーを取り入れた教育のことを指します。ただ、ICT教育と聞いただけで、具体的な内容を想像するのは難しいでしょう。
そこで今回は、ICT教育とはどういうものか、メリットやデメリット、効果といった観点からご紹介します。

ICT教育とは?定義とITとの違い

ICTは、Information and Communication Technologyの略語で、情報通信技術を意味します。

ICT教育は、この情報通信技術を、学校での授業などに活用する取り組みを指します。端的に言えば、黒板や教科書、ノートと併用して、プロジェクターやPC、タブレットなどの情報端末を使って行う教育です。

その目的は、大きく分けて2つあります。
1つは、生徒の理解度の向上です。ICTを使い、色のついた図柄やアニメーションを多用すれば、児童の興味を惹きつつ、分かりやすい授業が実施できます。

もう1つは、能動的な学習の習慣化です。暗記が重視された従来の教育では、授業は一方通行になりがちです。
ICTを使って双方向のコミュニケーションを容易にすれば、インプットとアウトプットをバランスよく習慣化できます。これにより、自分で考え行動する、創造的な人材の育成が見込めます。

ITとの違い

ICTと似た言葉に、ITがあります。こちらはInformation Technologyの略で、情報技術を指す言葉です。音もニュアンスも似ていますが、ICTはコミュニケーションを前提とした技術であるのに対して、ITは技術全体を指す、より広い意味の言葉です。

IT教育という場合、ITに関する教育となり、コミュニケーションの促進や自発性の醸成を目的とする文部科学省の意図とは異なります。これが、IT教育とICT教育の違いです。

ICT教育におけるメリット・デメリット

ICT教育のメリット・デメリット

ICT教育にはメリットが多いですが、もちろんデメリットもあります。教員側、生徒側に分けて、それぞれ見ていきましょう。

教員側のメリット

教員側の大きなメリットは、ICTによる業務の効率化です。これまで紙で行っていた業務のほとんどを情報端末上で行えるため、業務時間の短縮が見込めます。教員間での資料の共有やコミュニケーションも容易になり、小さな議題で会議をする必要もなくなるでしょう。

また、書画カメラやプロジェクターを採用すれば、教科書やノートをそのまま投写、書き込みが可能です。またプロジェクターなどの機能によっては、そのまま書き込みもできます。板書の必要がなく、より創造的なことに時間を使えます。

生徒側のメリット

生徒側のメリットは、授業が楽しくなる可能性が高い点です。画像やアニメーションを多用した授業であれば、見た目にも分かりやすく、何より興味を持ちやすくなるでしょう。

板書がないため、提示された課題の解決に集中できますし、自分の考えやアイディアを、ICT機器を通して積極的に発信することも可能です。生徒間だけでなく、教員と生徒の間のコミュニケーションも活発になり、学習に対してより意欲的に取り組むことができるようになります。

教員側のデメリット

教員側のデメリットとしてまず挙げられるのは、学習コストでしょう。もともと知識があれば別ですが、ICT機器を授業で使いこなすためには、相応の学習が求められます。また、ツールを管理する手間も、無視できません。

生徒側のデメリット

生徒側のデメリットは、ICTツールの機能によっては授業が分かりづらくなる可能性があることです。

例えば既存の教材を投写して使う場合、映像に書き込みできるのか。また、ズームや拡大、一時停止といった機能があるのか、ないのか。一見小さく思えることでも、生徒の理解度は大きく変わります。

教員側のデメリットも生徒側のデメリットも、技術が発展すれば解消されるものがほとんどですが、ICT教育を導入する際は留意しておきたいところです。

ICT教育で期待できる効果

文部科学省は、ICT教育化に先立ち、全国18校の実証校(小学校10校・中学校8校)で実証研究を行いました。発表された資料では、児童の約8割が、「楽しく学習できた」「コンピュータを使った授業が分かりやすい」など、ICT教育を好意的に評価しています。

「今後さらに多くの授業でデジタル教科書を使いたいか」という質問に対しては、7割以上の生徒が肯定しており、ICT化がモチベーションに貢献している事実がうかがえます。また教員からも、「意欲を高めること」「表現や技能を高めること」「思考を深めたり広げたりすること」に効果が見込めるという意見があり、好評です。

標準学力検査の結果を見ると、全国と比較して低い評定が減少傾向にあり、意欲だけでなく学力の向上にもポジティブな変化が見られます。ICT教育化により、同じような結果が全国に広がることは、充分に期待できるでしょう。

ICT教育の導入事例

ICT教育の導入事例

ICTは、具体的にどういった形で教育現場に取り入れられているのでしょうか。小学校、中学校、高校に分けて、ご紹介します。

小学校

小学校では、複雑な情報を見た目に分かりやすく伝えたり、生徒が能動的に学習できる課題を作ったりするために、ICTを活用するケースが多いです。

例えば、以下のような使い方です。

・国語の授業で、自分で書いた台本をもとに簡単な動画を作成する
・道徳の授業で、ディベートとはどういうものか、実践させる前に動画を見せて理解させる
・算数の授業で、生徒たちに図形を書いてもらい、それを教材として使う
・毛筆の授業で、正しい筆の動かし方を動画にし、注意すべきポイントを強調する

事前に教材を用意するだけでなく、授業の現場で生徒たちに学習素材を作ってもらうことで、より能動的な学習を促している点に注目したいところです。

中学校

中学校の場合も、小学校と同じような形でICTを教育現場に取り込んでいます。

・古文の授業で、生徒に古典資料を共有し、検索や画像の拡大を駆使して読解させる
・政治の授業で、まちづくりゲーム(生徒たちだけで町を作った場合の生活をシミュレーションするゲーム)を行い、地方自治体の仕組みを理解させる
・理科の授業で、粒子モデルを動かし、化学変化を視覚化する
・体育の授業で、生徒の動きを撮影し、身体の動かし方を教える

分かりやすく伝えること、生徒が積極的に学習したくなる環境を作ること、という2点を重視していることが見て取れます。

高校

高校では、学習内容がより高度になり、演習というより研究に近い形でICT機器を活用するケースが目立ちます。

・数学の授業で、適当な物体を撮影し、限られた情報からその物体の辺の長さを計算するよう促す
・物理の授業で、動画配信サービスに公開された海外の優れた授業を閲覧する
・化学の授業で、カメラ、ビデオ機能を使い実験レポートを作成してもらう
・英語の授業で、タブレットPCを使ってプレゼンを行い、実践的な英会話力を養う

ICTを活用した授業については、こちらも参考ください。

関連記事 ICTを授業に活用する際に知っておきたい基本知識と留意点

ICT教育の必要性

ICT教育の必要性

ICT教育は、文部科学省を中心に推進されており、今後より一層、必要性が高まっていくものと見込まれています。続いては、国がICT教育化を重視する理由についてご紹介します。

国がICT教育化を推進する理由

国がICT教育化を推進する背景には、インターネットの普及があります。昔は、幅広い知識を持っている人ほど優秀と考えられていました。しかし常時接続が当たり前となった現代では、知識は検索すれば簡単に得られます。

そのため、知識を蓄えている人材より、知識を効果的に活用できる人材が求められるようになりました。この目的を達成するための教育が、ICT教育です。効率的で能動的な学習を促し、インプットだけでなくアウトプットもできる創造的な人材を育てようというわけです。

求められる水準

文部科学省では、ICT環境の整備方針として、以下のような水準を公表しています。

・学習者用コンピュータを3クラスに1クラス分程度整備(授業展開に応じて必要な時に「1人1台環境」を可能とする環境の実現)
・指導者用コンピュータを授業担任の教員1人につき1台
・大型提示装置・実物投影機を100%整備
・超高速インターネット及び無線LANを100%整備
・統合型校務支援システムを100%整備
・ICT支援員を4校に1人配置
・学習活動に必要とされるソフトウェア(文書作成ソフト、表計算ソフト、プレゼンソフトなど)の整備

学習用コンピュータに関しては、教育振興基本計画を基に推進されるGIGAスクール構想で、「1人1台コンピュータを令和5年度までに小中全学年で達成する」という目標が設定されています。また、その目標とセットで、高速大容量の通信ネットワークの整備が推進されている状況です。

まだ実現には遠い状況ですが、いずれは全国の学校施設で、ICT教育が当たり前に行われる時代がくるでしょう。

普及への課題

ICT教育の普及には、いくつかの課題が残されています。例えばICT機器の整備状況が、地域ごとに違う点です。

これは地域ごとの教育格差に繋がるため、情報化の基本プランを作成、共有し、自治体ごとの整備状況を公表するなどして、文部科学省も対策を急いでいます。

また、現場の教員はICTの専門教育を受けていないため、リテラシーにばらつきがあるのも大きな課題です。多忙な教員の負担を最小限に抑えながら、ICTを授業に活用するためのノウハウを浸透させていく必要があります。

おわりに

ICT教育は、情報通信技術を活用した教育です。例えば、動画やイラストを使って授業内容を分かりやすく解説する、録画や録音といった機能を使って生徒に楽しく演習してもらう、といった活用方法が挙げられます。

ICT教育の目的は、理解度を高めつつ、生徒が能動的、創造的に学習するモチベーションを引き出すことです。

また、教員は電子化により事務作業を効率的に処理ができ、より本質的な部分に時間をかけて授業の質を高めることができます。地域間の教育格差や教員への負担など、課題は残されていますが、文部科学省を中心に推進していることもあり、今後より一層必要性が高まっていく見込みです。
まずは小さなことからでも、教育現場へのICT導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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