補助金に関するコラム

第7回 新型コロナ対策にも対応!
2021年度のIT導入補助金とは?

中小企業庁のIT導入補助金は生産性向上・業務効率化に資するITツールの導入を支援する補助金であり、例年大変な人気を誇っています。2021年度は4月より交付申請受付を開始しており、複数回の締切を設ける形で、年間を通じて公募しています。今回は2021年度のIT導入補助金について解説します。

2021年度からIT導入補助金では、「通常枠」のA類型(上限150万円・補助率1/2)・B類型(上限450万円・補助率1/2)に加えて、「低感染リスク型ビジネス枠」C類型(上限450万円、補助率2/3)、D類型(上限150万円、補助率2/3)が設けられています。

A・B類型は2020年の要件と大きな違いはありません。導入するITツールが有する業務プロセス(ITツールの機能により生産性が向上するプロセス)の数に応じて、A類型(1プロセス以上、補助額30万~150万円未満)、B類型(4プロセス以上、補助額150万~450万円以下)に分かれます。A類型では「3年の事業計画期間内に給与支給総額を年率平均1.5%以上増加」、「事業場内最低賃金を地域別最低賃金+30円以上の水準にする」という賃上げ要件が審査の際の加点となります。一方、B類型では賃上げ要件は必ず達成しなければなりません。達成できなかった場合、補助額の返還を求められる可能性があります。

次に「低感染リスク型ビジネス枠」のC類型・D類型について説明します。
C・D類型は新型コロナウイルス感染症の影響を受けた中小企業による非対面型ビジネスやテレワーク導入を支援するものです。業務プロセスの数はどちらも2プロセス以上となります。主な取組事例としては、「店頭販売がメインだった小売店がオンラインショップを立ち上げる」、「不動産業者がオンライン通話による対話システムを導入する」等が考えられます。A・B類型と同じく、ソフトウェア、1年分のクラウド利用料、初期設定費・カスタマイズ費が対象経費となりますが、それに加えてパソコンやタブレット等のハードウェアのレンタル費用(1年分)も対象となります。WEBカメラ、ルーター、マイク、プリンター、ディスプレイと言ったハードウェアの付属品レンタルも対象になります。尚、ハードウェアのレンタル費用のみで申請することはできません。

C類型(低感染リスク型ビジネス類型)は複数の業務システムを連携させ、非対面化・生産性向上に資するITツールの導入を支援します。たとえば「遠隔注文、キャッシュレス決済、会計システムを一括導入して、従業員と顧客の非対面コミュニケーションを円滑化にする」という事例が想定されます。申請する補助額によってC-1類型(補助額30万~300万円未満)とC-2類型(補助額300万~450万円以下)に分かれます。尚、C-1類型では賃上げ要件は審査の際の加点となり、C-2類型では達成必須となります。

D類型(テレワーク対応類型、補助額30万~150万円以下)は業務の非対面化及びクラウド対応することで、遠隔地での業務・生産性向上を可能にするITツールの導入を支援します。たとえば「全国各地で社内のファイルにアクセスできるよう、クラウドサーバを導入する」等が想定されます。尚、D類型では賃上げ要件は加点となります。

IT導入補助金はすべて電子申請です。申請前にgBizIDプライムアカウントを取得しておくことが必要です。また、過去3年間にIT導入補助金の交付を受けていた場合、審査の減点対象となります。加点項目としては、賃上げ要件(A類型、C-1類型、D類型)の他に、「クラウド製品またはインボイス制度対応製品を導入すること」等があります。申請を検討している方は公募要項をしっかり読み込み、なるべく加点項目を押さえて申請に臨みましょう!