
横幅1,118mmの長尺印刷が可能
パネルボードにも簡単に装飾できる
大判プリンター導入事例
- 業種
その他
- 目的・成果
メディア制作
- テーマ
展示物の内製化、館内装飾
- 導入製品
-
大判プリンター SC-P9050G
- (注)販売終了製品
記載内容は2026年4月取材時点のものです。
マンガ文化の発信地となるような美術館がコンセプト
貴重な原画の保存とアーカイブ事業にも注力
「前身となる増田まんが美術館は、1995年に合併前の増田町の町制施行100周年記念事業で建設された複合施設、増田ふれあいプラザの一部として創設されました。構想段階には、地元出身漫画家である矢口高雄先生の記念館を建てたらという意見もありましたが、矢口先生との協議の中で、個人の記念館もありがたいが、これから漫画家を目指す若者や子供達のために、一流の漫画家の原画を展示する施設を建設したらどうかという示唆をいただき、国内初のマンガ原画の展示をコンセプトにした美術館としてスタートしました。
開館当初は、矢口先生をはじめ、国内の著名漫画家60人の原画を展示していましたが、30年を超える歴史の中で収蔵数を少しずつ増やし、現在は国内110人・海外72人、合計182人の作家のマンガ原画を展示する美術館になっています。さらに2015年には、矢口先生から横手市に寄贈された原画約42,000点を核に原画のアーカイブ事業にも着手。事業推進のため、2017年から2年かけてリニューアル工事を行い、2019年5月に生まれ変わったのが、現在の横手市増田まんが美術館です。リニューアルでは、原画収蔵庫でもある“マンガの蔵展示室”やエプソンのスキャナー3台を使って原画をデジタル化する“アーカイブルーム”、約25,000冊のマンガを無料で閲覧できる“マンガライブラリー”、企画展などが開催できる“特別展示室”など、多数の設備強化を図りました。
また、2007年からはエプソンの大判プリンターPX-9500Nを導入して、館内装飾の内製にも着手。リニューアル後は、さらに大判プリンターSC-P9050Gも導入して内製のボリュームを増やすと共に、エプソンのプロジェクターEV-110×3台を導入して館内演出も強化しました。
原画やアーカイブデータを活用しながら、マンガ原画が持つ迫力と美しさ、そこに込められた作家達の想いや熱量、息づかいを伝えることで、見る人の豊かな感性を育み、マンガの素晴らしさを再発見できるよう、横手市からマンガ文化の魅力を発信し続けています。」
原画収蔵数は日本一の約49万点、マンガの保存とアーカイブ事業は文化庁が推進する事業にも発展
「自主企画展などの開催も重ねていくうちに来場者も増え、現在は年間来場者数約6万人が訪れる横手市の人気スポットになっています。また、美術館のコンセプトや活動も口コミで業界内に広がり、原画の保管を依頼してくる作家も次第に増え、原画収蔵数は日本一の約49万点、そのうち3割の約16万点のアーカイブ化が完了しています。美術館自体は今も市の施設で、財団が運営を委託されていますが、館長の大石氏は、文化庁が主導した一般社団法人マンガアーカイブ機構の設立にも携わり、文化庁の委託事業である“マンガ原画アーカイブセンター”の統括責任者も兼任しています。」
地元に専門業者が少なく、限られた予算内で対応していくには自助努力で内製を強化するしかなかった

下側に主力機のSC-P9050G、上側にはサブ機としてPX-9500Nを設置している
「自主企画展の開催を重ねる度に、さらなる展示の質の向上が求められていました。しかし、都会と違い地元にこうした専門業務に対応できる会社が少なかったことや、限られた予算内で対応していくには、自助努力で内製を強化するしかなく、2007年に着任した担当者がPX-9500Nを導入して内製を開始しました。当初はシステムパネルのボードに貼る粘着用紙のシール印刷が中心でしたが、経験を重ねていくうちに、努力次第で自分達の手で何でも表現できると感じ、他の使い方にも挑戦していきました。2019年のリニューアルオープンに際しては、さらなる内製強化を図るために新製品のSC-P9050Gも追加導入。10色顔料インクによる鮮やかな色再現でさらに高画質になり、印刷スピードも高速化。ロール紙交換やインク交換も簡単で取扱いやすく、特に製品の堅牢性については、大量印刷するのでどのヘビーユーザーよりも実感しており、現在も主力機として活躍してくれています。」
最も多いのはパネルボードに貼る粘着用紙への印刷
その他の出力素材はイメージやアイデアに合わせて選定
「美術館には、企画部5名、デザイナー1名の企画スタッフがおり、装飾方法や出力する素材については、展示ごとにイメージを話し合いながら決めています。クラフト感を出したい時はキャンパス地を使ったり、空間に広さを出したい時は透ける布地を使用したりしていますが、やはり一番多いのは、システムパネルのボード(W1,830×H2,450mm)にグラフィックを印刷した粘着用紙を貼る用途です印刷した横幅1,118mmの粘着用紙を、垂直の壁面に対して剥離紙を剥きながら位置を合わせて貼り込みます。大型グラフィックの際は分割して印刷したものを、気泡が入らないように注意しながら、絵の継ぎ目がずれないように貼り合わせる必要があります。館内にはシフト制で約30名の運営スタッフがおり、会場設営は全スタッフ総出で行います。現場では一人ではなく複数人のチーム編成で作業を行い、チームのメンバー間で話し合うことで連携を深め、少しずつ内製作業のレベルを引き上げてきました。もし、これから内製を始めようと考えている方は、最初は粘着用紙の印刷から始め、そこから幅を広げて、アイデアと素材とを擦り合わせて新しい表現方法や理想の内製化に挑戦していくのが良いと思います。」

黒ボードに粘着用紙のシールを貼り替えながら更新している

タペストリーや壁紙もSC-P9050Gを使って内製している

SC-P9050Gで印刷したパネルを貼り替えながら活用している
“常設展示室”中央のブナのシンボルツリーに
EV-110を使ってマンガの名台詞などを投影して空間演出
「1Fから2Fに跨がるスロープ回廊状の“常設展示室”には、収蔵作家約180名のうち74名分の作家の原画を入れ替わりで展示しています。その中央にはブナのシンボルツリーがあり、そこにプロジェクターEV-110を使って、回廊部分の天井からマンガの名台詞などを投影して、空間演出を行っています。2,200lmの明るさと高コントラスト、高画質でプロジェクションマッピングも可能なEV-110を採用したことで、投影する文字もくっきりと表示でき、効果的な演出になっていると感じています。今後もEV-110を使って、新しい演出方法なども試していきたいと思っています。」


“マンガの蔵展示室”にあるアーカイブルームでは
エプソンの高精細スキャナー3台を使って原画をデジタル化
「この美術館には、約49万点の原画を最適環境で保管するために24時間温度湿度を管理している“マンガの蔵展示室”があります。ここには紙の酸性化を防ぐ中性紙を挟んで保管する原画収蔵庫や、DS-G20000などエプソンの高精細スキャナー3台を使って1,200dpiの高解像度で原画をデジタル化する“アーカイブルーム”があり、専任担当者2名が原画の整理と管理、3名がスキャン作業にあたっています。また、デジタル化した原画が検索でき、画面上で拡大もできる大型タッチパネルや、引き出し付キャビネットに収納したまま原画が閲覧できる“ヒキダシステム”もあり、室内の大型スクリーンにプロジェクターEV-110で動画を上映しながら、来場者への詳しい案内を行っています。」



“触りながら、鑑賞する”をコンセプトに、
原画の新たな魅力を引き出す新しい体験を提供

「今回、2026年3月14日から4月26日にかけて、矢口高雄氏と高橋よしひろ氏の貴重な原画データを使用し、これまでの常識を覆す新しい鑑賞体験を提供する企画展「触れる原画展」を開催しました。“触りながら、鑑賞する”をコンセプトに、展示物自体に直接触れられる展示会で、エプソンとのコラボによる最先端プリンター技術で、原画の持つ緻密な美しさを極限まで再現した精密複製画をはじめ、布、木、アクリルなど多様な素材への印刷や特殊印刷を駆使して、全て内製にて製作を行いました。一風変わった展示物の数々は、来場者の目を楽しませるだけでなく、指先から伝わる質感を通じて作品の新たな魅力を引き出してくれて、近づいて、触れて、作家の筆致を身近に感じていただくことで、保存と鑑賞の境界を超えた新しい体験が実現できました。」






横手市×美術館×エプソンのコラボで実現した
自治体と民間事業者での連携事業

「この企画は、ある出版社のご紹介でのエプソンとのお話がきっかけです。美術館では以前から館内装飾をエプソンの水性インク大判プリンターで行っており、エプソンが水性以外の出力もできることを提案してくれたことで、このコラボレーション企画が立ち上がりました。アーカイブは“保存と活用の両輪”と言われていますが、活用についてはまだ充分に取り組めていない実情があり、さまざまな表現を可能にしているエプソンの高い印刷技術を活用すれば、原画をもっと身近なものとして感じられる機会を提供できるのではないかと考えました。またこの企画は、横手市が2025年末に始めたまちづくり相談窓口「横手の未来を共につくる課」と連携した文化活用事業の第一弾でもあり、横手市とエプソンが共創するプロジェクトにもなっています。」
さまざまな素材に印刷できるプリンターを使って
原画の見せ方を変えた各種展示物の製作に挑戦
「企画展では、UVインク搭載プリンターを用いて紙以外のアクリル、パズル、木材、ホログラムシートや、昇華転写プリンターを用いてアルミなどにも印刷。また、ガーメントプリンターSC-F1050でTシャツに印刷したり、SC-P20550Lで印刷して、ベルベット調ファインアートペーパーで精密な原画を複製再現したり、和紙を使って灯籠を作り展示したりしました。中でもUV印刷は面白く、絵の波の部分に特殊インクで凹凸を加えるなど、こんな事もできるのかという発見がありました。普段は主役の原画を引き立てるため、原画に近いマット用紙に水性インクで印刷することがほとんどですが、今回は展示品が主役になっていたと感じています。」
新しい体験を提供できて来場者の反応も好評
展示方法の新たな可能性を見いだせた
「来場者も子どもと一緒の家族連れなどが増え、会場では、通常の展示より活気のある明るい雰囲気で、パズルや大型本などを遊びながら楽しむ様子がうかがえました。また、期間内に開催した“オリジナルTシャツを作ろう!”のイベントでは、来場者が自由に好きな絵を描いて、SC-F1050を使ってその場でTシャツに印刷する特別ワークショップも行い大変好評でした。展示品には、グッズとして販売できそうなクオリティの高いモノもあり、思い着くアイデアはいくらでも実現可能なのだと感じました。そういう意味でも今までの企画展とは違い、作る側として、新たな可能性を見いだせた企画展になったととても喜んでいます。」



一般財団法人「横手市増田まんが美術財団」様
企画部 近野 愛美 氏

秋田県横手市にある日本初のマンガ原画をテーマとした美術館「横手市増田まんが美術館」の管理運営を行っている。国の重要伝統的建造物群保存地区である増田の伝統を受け継ぐ、蔵をモチーフにした建物をギャラリーとして、「魅せる収蔵」をコンセプトにさまざまな著名作家の作品を収蔵。初代館長矢口高雄氏が横手市に寄贈した原画約42,000点と12名の代表作家の作品をはじめ、約180名におよぶ作家の原画を預かり、原画収蔵数は日本一の約49万点を誇る。貴重な原画の展示と共に、保存とアーカイブ化にも力を入れており、そのための専門設備も備え、ここから日本が誇るマンガ文化の魅力を世界へ向けて発信している。

- 導入機種
SC-P9050G
- (注)販売終了製品
現行製品は「製品詳細を見る」をご参照ください。
- 用途
-
展示物の内製化、館内装飾の作成、さまざまなメディアへの印刷
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