事例紹介 東北電力グループ様

導入効果

―まずは、御社の経営理念『地域社会との共栄』と、グループスローガン『より、そう、ちから。』に込められた思いを教えて下さい。

―地域に"寄り添う"活動としては、具体的にどのようなものがありますか。

荻野氏：草の根的なものとしましては、地域の清掃活動や高齢者世帯の訪問活動などですね。その他、東北6県および新潟県の中学生を対象とした「中学生作文コンクール」など、地域の方々に直接喜んでいただけるような活動を行っております。

―ペーパーラボ導入の理由を教えてください。

荻野氏：近年、ダイバーシティー&インクルージョンという言葉で説明される「多様性のある社会」の実現は、地域社会においても重要性を増しています。その一環として、障がいを持つ方々に夢のある、働きがいのある仕事を提供できないかと考え、2018年に、東北電力フレンドリー・パートナーズという会社を設立しました。その会社で、障がいを持ちながらも意欲的に働きたいという方に仕事をしていただくようになり、その一環でペーパーラボを導入することになったのです。

―具体的にはどのような経緯でペーパーラボを知ったのですか。

―ペーパーラボを使ってどんな仕事をしているのですか？

―古紙回収からペーパーラボを使った再生紙づくり、名刺・ノベルティグッズ作成まで、一般職の方が行っているのでしょうか。

山田氏：はい。全て行っています。まず、各フロアを回って、使用済み書類を集めてきます。その中から、ペーパーラボで再生するもの、シュレッダーにかけるものに分別します。両面コピーやカラーコピーをした紙を混ぜると、再生した時の品質にばらつきが出てしまうからです。回収する紙の量は段ボールにして1カ月約80箱。そのうち半分の40箱弱をペーパーラボで再生しています。ペーパーラボの操作も、もちろん一般職が行っています。最初は操作できるだろうかと心配でしたが、いざやらせてみると全く問題ありませんし、不安がっていた社員も同僚や先輩たちがやっている姿を見て、じゃあ自分もやってみようと、積極的に取り組んでいます。

―ペーパーラボを導入して、大きく変わったことはありますか。

―思わぬ成果はありましたか？

山田氏：ノベルティの絵も社員が描いているのですが、そうした隠れた才能や得意分野が見つかったのは想定外でしたね。そして、もう一つは「やりがい」ですね。名刺やノベルティをお客様にお配りして、評判が良かったという声をいただくことで、「また頑張ろう」という、好循環が生まれています。

荻野氏：われわれ東北電力の社員にも好影響を与えていると思います。東北電力フレンドリー・パートナーズの皆さんが、書類を回収しに来たり、PDF化した書類を持って来たりする度に、「こんにちは、東北電力フレンドリー・パートナーズです！」と明るく挨拶してくれるので、「元気が出る」とか「勇気づけられる」といった声を社員たちからよく聞きます。

―社外的にはどうでしょうか？

荻野氏：名刺やノベルティを地域の方々に配る際に「これは古紙を再生して作ったもの」と説明すると、お客様も関心を持って聞いてくださり、「非常に喜んでくださいます」という報告も、しょっちゅう上がってきています。

―聞くところによると、東北電力向けのノベルティのカレンダーは毎年5000部も作っているとか。デザインなども社内で決めているのですか。

―けっこう時間もかかるのではないですか？

山田氏：絵の作成などの下準備は春にはもう取り掛かり始め、夏ぐらいから本格的な制作を始めます。ちなみに、東北電力に納める以外に、当社オリジナルのカレンダーも作成し当社の社員が在籍していた支援学校や、支援を受けている機関、そして社員の家庭などにも配っており、そちらからも大変好評を頂いております。

―ペーパーラボを通して、障がい者雇用の課題も見えてきたのではないですか？

山田氏：そうですね。実は私は今の会社に来て1年なのですが、日々学びというか、一般職の方々の一生懸命働く姿には本当に刺激を受けています。そこで感じたのは、できないことややれないことではなく、やれることに焦点を当てることの大事さです。さきほども申し上げましたが、字を書いたり読んだりは得意じゃないけれど、絵を描くのは上手だとか、同じ作業を飽きずにコツコツとできるということも、実は強みなんですよね。マイナスではなくてプラスのところを積極的に見つけてあげる、そして成果を実感できる工夫をしてあげることも大事です。最近の仕事はデジタル中心ですが、成果が分かりにくいところがあります。しかし紙は実際に手に取ることができるので、成果物として非常に分かりやすい。そうした視点を大事にすれば、もっと障がい者が出来る仕事の幅は広がると思います。

―ペーパーラボを使っていて、困ったことやこうして欲しいということはありますか？

山田氏：たまに紙が詰まるといったエラーもあるのですが、遠隔で常にモニターしてくれているので、何かあると私達が気づく前に「こういうエラーが出ていますよ」と連絡してくれます。私達だけで対応できない場合は、すぐにメンテナンススタッフさんが来くれるので、非常に安心感がありますね。ですから特に要望はありません。よいしょするわけではありませんが（笑）

―ほかの会社にお勧めできるところがあるとしたらどこでしょう？

荻野氏：会社としては、どうしても会計的な面を見がちなのですが、「お金に換算できないメリット」もたくさんあることに気づきました。そこをしっかりと意識して、会社として「十分元は取れている」と思えるかどうかが、大事だと思いました。実際東北ではまだ導入しているところは少ないようですが、お金以上の効果がありますよということは申し上げたいですね。もしお問い合わせいただければ喜んでお話しいたしますし、ご見学されたいということでしたら、いつでもご案内いたします。

―それは有り難いお言葉です。では、最後にペーパーラボを使った社会課題解決に関する今後の取り組みについて教えて下さい。

山田氏：最近では資料を入れるフォルダや、会社案内などもペーパーラボの再生紙で作っていますが、もっとネタが欲しいという状況なので、今後は、他の東北電力グループ会社や、地域に寄り添うという観点から地元の学校や自治体などとも何かご一緒できればと考えています。

荻野氏：ペーパーラボを所有しているのは弊社ですが、運営は全て東北電力フレンドリー・パートナーズさんに任せています。せっかく、社外からも良い反響を頂いているので、東北電力グループ内にとどまらず、どんどん幅を広げて、巣立っていって欲しいですね。それが一番いい展開だと思いますし、我々もアイデア出しを含め、積極的にサポートして行こうと思います。

―わかりました。本日はどうもありがとうございました。

荻野氏・山田氏：ありがとうございました。

【一般職の方へのインタビュー】

長屋 拡夢 氏
小形 仁翔 氏

―普段ペーパーラボを使ってどんな仕事をされていますか。

―ペーパーラボの操作は難しくないですか。

長屋氏：最初の頃は難しいと感じましたけど、ずっとやっているうちに慣れて、今ではスムーズにできています。

―使わなくなった紙を新しい紙にすることについてはどう思いますか。

長屋氏：新しく使い道ができるのはすごいなと思います。ノベルティとかカレンダーとか、実際に形になるのがすごいです。

小形氏：会社の仕事で使ったものをまた新しく使えるようにできるっていうのはすごいなと思いましたし、それをどういう風にするのかを知れてよかったです。

―このお仕事をしていて周りの方から何か言われたりしますか。

―仕事は楽しいですか。

小形氏：仕分け作業が毎日続くと、楽しいなっていう気持ちが薄くなってしまいますが、次の日に紙の回収やシュレッダーといった体力を使う仕事をすると、気持ちがリフレッシュして、また楽しさが出てきます。

長屋氏：大変なときもありますが、仕事を覚えていくうちに楽しいと感じます。