株式会社小学館様
障がい者雇用の可能性を広げたPaperLabの導入。
クリエイティビティ溢れるアップサイクル品を社内外に発信。

株式会社小学館 総務局 ゼネラルマネージャー 石川亨さん
株式会社九段パルス 代表取締役 酒井直人さん
株式会社九段パルス 再生紙工房 プロジェクト・リーダー 山形亜由美さん
株式会社九段パルス 再生紙工房 クリエイティブ・ディレクター 吉岡亮子さん

導入製品

PaperLab A-8000
『小学一年生』『コロコロコミック』『ちゃお』『CanCam』『図鑑NEO』など、幅広い雑誌やコミック、書籍を発行する総合出版社として成長し続けている株式会社小学館様。環境保全への貢献、障がい者雇用促進、機密情報漏洩防止の取り組みから、2023年にグループの特例子会社である株式会社九段パルス様にPaperLabを導入。導入に至るまでの背景や、実際の運用・活用方法、小学館で働く社員の反応から今後の可能性について、小学館の石川様、九段パルスの酒井様、山形様、吉岡様にお話を伺った。
導入効果
- 環境負荷の低減(紙の再生)
- 機密文書の抹消
- 社内外のPR効果(SDGs/障がい者)
PaperLabを通してSDGsの発信を強化。社員の紙廃棄の後ろめたさも軽減へ。
SDGsに関する取り組みをさまざま行っている小学館様は、PaperLabを運用していく中で、再生紙という環境負荷軽減、障がい者雇用について発信を強化していく考えに至っている。また、出版という業務上、どうしても多くの紙の使用と廃棄が発生してしまうことに後ろめたさを感じていた社員からも再生紙への取り組みに共感を覚える人が出はじめるなど、社内にいろいろな変化をもたらしている。
小学館グループのSDGsに関する取り組み、PaperLab導入の背景について教えてください。

小学館の取り組みについて語る石川さん

PaperLabの導入背景を語る酒井さん
石川氏:私たちは脱炭素社会の実現に向けた省エネや地方創生など、SDGsに向けたさまざまな取り組みを行っています。その中で、注力している一つが障がい者の方の雇用です。例えば、小学館では出版社という特性上、漫画家さんの絵コンテ(ネーム)や単行本の校正紙(ゲラ)を始めとした機密文書が多く発生するため、断裁室を設けており、そこで障がい者の方が働かれています。九段パルスも障がい者雇用を促進するために設立した特例子会社になります。
酒井氏:元々九段パルスは、鍼灸マッサージを提供している会社です。国家資格を持った鍼灸マッサージ師は、何らかの障がいをお持ちの方たちです。
石川氏:こうしたSDGsへの取り組みや障がい者雇用に取り組んでいることを読者のみなさまや社員、関係者の目にわかる形にするべきだと話している矢先に出会ったのがPaperLabです。PaperLabを導入することで、私たちの取り組みをわかりやすい形で発信できると考えました。
酒井氏:SDGsへの取り組み姿勢や障がい者雇用について発信できることは、導入を後押しした一つの要素です。でも、やはり不用になった紙を自分たちでアップサイクルできるということは大きな魅力です。出版社は紙を扱うことが多い業種のため、どうしても大量に使用済みの紙が発生します。環境保全が叫ばれる昨今において、この課題は無視できないものでした。
そうした中で、PaperLabがあれば、機密文書も含んだ古紙を上手く再利用できますよね。そこで、導入後の管理・運用検討段階で障がい者雇用を積極的に進めている九段パルスが良いのではないかという話になりました。
PaperLabの運用方法や、運用面で気を付けていること、導入当初、懸念していたことを教えてください。
山形氏:実際の運用としては、まず小学館の各フロアで出た古紙を、清掃スタッフが回収します。社員にはリサイクルしやすいようにサイズごとに分けて紙を分別していただくようにお願いしました。それを受け取った九段パルスの社員が、ホッチキスやクリップで留められた書類を小学館のビル内で仕分けしています。これを一次仕分けと言っています。その後仕分けした古紙を、九段パルスへ運搬し、そこで折れ曲がった紙や画鋲の穴が空いたもの、針なしホッチキスを使用している紙は再生できないためさらに分別する二次仕分けを行います。この作業はPaperLabへの給紙詰まりにより稼働が停止しないために重要な工程です。ちなみに私たちの作業は、エプソン販売様からお聞きしている推奨レベルよりも、厳しく行っています。さらに使用されているインクの色目などによって、細かく分けていきます。再生紙の色味は使用する紙を調合してコントロールできるため、お客様のご要望に合わせて理想に近い風合いを出せるようにするためです。
酒井氏:紙を廃棄する際のルールを決めた時は、紙を分別して捨てる手間を嫌がる社員が多いのではないかと心配していました。でも、実際はその反対で、再利用されると思うと紙を捨てる罪悪感が薄れ、気持ちが楽になると言ってくれる人が多くいます。
PaperLabが新規事業を生み出し、障がい者の方に新たな雇用を創出。
九段パルスでは、これまで小学館グループの福利厚生の一つとして鍼灸マッサージを提供していたが、PaperLabの導入をきっかけに再生紙を活用したノベルティの制作や提案などを行う新規事業が発足。障がい者雇用において、鍼灸マッサージ師という有資格者に限らず、雇用の門戸が広くなり、新たな可能性につながっている。
PaperLabを導入後、社内でどのような変化がありましたか?
酒井氏:PaperLabを導入したことによる効果は、まず九段パルスに新たな雇用が生まれたということです。先ほどお話しした二次仕分けの作業も、障がい者の方が行っています。先ほども述べた通り九段パルスではこれまで、鍼灸マッサージ師の資格をお持ちの障がい者の方を雇用してきました。今回、PaperLabを導入したことで、既存の職種に加えて、PaperLabに関わる仕事が創出されたこということは大きな変化です。
現在は、さまざまな障がいのある方も入社されていますが、PaperLabの業務は、あまり障がいの程度や種類に関わらず担当いただける内容だと感じています。そのため、発達障がい、精神障がい、知的障がいなど、雇用の幅も広がりますし、その中から将来的には小学館グループにイノベーションを巻き起こす優秀な人材を雇用できる可能性も大いに含んでいると感じます。

管理者として働きやすい職場環境について語る山形さん
山形氏:さまざまな障がい者の方に働いてもらえるように運用面で特に気を付けていることは、個人の能力に任せるのではなく、誰が取り組んでも均一に作業ができるように職場環境や作業マニュアルを整えるという点です。どのサイズの紙をどのくらい積み上げるかなど、初めての人でも一目でわかるような仕組み作りをしています。紙の重ね方にも気を付けており、紙の端を揃えて積み重ねられるようにレタートレイを使用するなど工夫を凝らしています。そうすることによってコピー紙の使い始めのように、PaperLabにも入れやすくなるからです。エプソン販売様にも、「ここまでやっているところはない」とおっしゃっていただきました。
酒井氏:雇用する側としては、PaperLabによって新規事業の可能性が広がったことも大きいと感じています。これまでは鍼灸マッサージを福利厚生として提供するという、関係会社の枠組みを出ない事業のみでした。でも、PaperLabを導入してからは紙を再生し、ノベルティを制作するなど、社外へ向けた事業を展開しています。ノベルティとして制作したノートはとても評判もよく、たとえば会社の近くにあるカフェのオーナーに見せると、「うちでも作りたい!」と言ってくれているほどです。
吉岡氏:紙の本が好きな人にとって、再生紙という取り組みには非常に前向きなエネルギーがあると感じています。制作スタッフとしてもそのエネルギーに励まされていて、PaperLabあっての制作ではありますが、「この製品には他の紙よりPaperLabの紙が合うよね」と思っていただけるようなデザインを目指しています。今はまだ試行錯誤している状況ですが、少しずつ紙の個性や用途による向き不向きがわかってきたので、これからメモ帳やしおりなど、新しい製品にも挑戦していきたいです。

カラフルなノベルティの数々

紙の風合いを生かした和綴じのノート・メモ帳
PaperLabの活用について、今後の展望や現在感じている可能性はありますか?

PaperLabの可能性について語る吉岡さん
吉岡氏:PaperLabの製品を見ていただいた際によく聞くのが、文字が読みやすいということ。再生紙なので真っ白でない分、文字が見やすいようです。近年はスマホ社会が進み、目が疲れている方も多いので、今後、こうしたアプローチのコンセプトも面白いなと思っています。
山形氏:実際、発達障がいの方の中には白い紙だと眩しくて文字が読めないという方もいらっしゃいます。例えばそういった方に向けた製品を作るというのも今後の可能性の一つです。
石川氏:小学館としても、いろいろな人が利用しやすく、手間なく情報に接することができる“アクセシビリティ”を追求していくことは、出版社が生きる道の一つだと考えて専門の部署を設けて取り組んでいます。PaperLabの製品は、小学館グループ内だけでなく、社外とのつながりも強化してくれる力があると感じます。やはり、自分たちで使用した紙から再生紙を作って新しい製品に生まれ変わらせているという事実は、とても強いフックになるということがわかったからです。再生紙のアップサイクル品の試行錯誤など、アイデアの創出という点では、PaperLabの活用は小学館らしい事業だと思いますし、障がい者雇用やSDGsの取り組みというのは、「持久走」のようなものなので、これからも取り組みを続けていければと考えています。
COLUMN
文芸誌「GOAT」でPaperLabの紙を使用した付録を提供。
紙書籍の多くが低迷する中、第1号の総発行部数が45,000部と異例の売上を記録した文芸誌「GOAT」。その特典(初版のみ)としてPaperLabで作った紙を活用した作家の直筆サインの付録を作成しました。裏面ではPaperLabで紙の再生に取り組んでいることも発信。好評につき、次号もPaperLabの再生紙を使った付録を検討しています。

「GOAT」の初回特典として同梱された付録チラシ

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