ディスプレイコントローラ・グラフィックコントローラとは?

-ラインバッファとフレームバッファの違い、機能・性能・種類を解説-

ディスプレイコントローラ(Display Controllers)とは?

ディスプレイコントローラ(Display Controllers)とは、液晶パネル(LCD)の制御をホストCPUの代わりに行う専用の集積回路(IC)、または機能のことを言います。LCDC(LCDコントローラ)、表示コントローラ、液晶コントローラと呼ばれることもあります。以下、LCDCと記載します。


LCDCは、表示画像データをホストCPU から受け取り、LCDパネルの仕様に合ったタイミングで、データおよび同期信号を出力します。また、LCDCによっては、メモリや画像処理機能が内蔵されており、表示させる画面サイズに合わせて、画像データを拡大、縮小、回転、複数画像を重ねて表示などが行えるものもあります。


ラインバッファ方式とは?

ラインバッファ方式では、画像処理に数ライン分のみのメモリを使用し、一度に数ライン分の画像処理を行います。通常、画像のストリーミングを行うデバイスでラインバッファ方式が使われます。画像のストリーミング入力が停止すると、画像出力も停止するため、ディスプレイの表示が停止します。

フレームバッファ方式とは?

フレームバッファ方式では、画像処理に画像フレーム全体を保持するメモリを使用し、一度にフレーム単位での画像処理を行います。通常、画像入力が停止した状態でも画像出力を行うデバイスでフレームバッファ方式が使われます。画像入力が停止しても、フレームバッファに保存されている画像データを使用してディスプレイの表示を継続します。

ラインバッファとフレームバッファの違い

ラインバッファは水平ライン数本分のみのメモリを使用するため、フレームバッファに比べるとメモリ容量が少なくて済みます(通常フレームバッファの1/100以下)。しかし、ラインバッファでは、画像の回転処理や、様々な画像処理を一度に行うことができません。また、画像を表示し続けるために常に画像データのストリーミング入力が必要です。
フレームバッファは比較的大きなメモリ容量が必要となりますが、上記ラインバッファにあるような制限はなく、一度に複雑な画像処理を行うことができます。また、フレームバッファを使用するデバイスでは、フレームバッファに保存されたデータを使って常に画像出力が可能です。このため、画像データの入力が必要になるのは、ディスプレイ表示内容を変更する場合のみとなります。


グラフィックコントローラ(Graphic Controller)とは?

グラフィックコントローラ(Graphic Controller)とは、画像表示の機能を担う集積回路(IC)、または機能の総称として使われます。ディスプレイコントローラ、LCDC、グラフィックコントローラは広い意味では同義であると言えます。

一般的に、Graphics Processing Unit(GPU)と呼ばれることもあり、GPUと言うとLCDCよりもハイスペックな、3D画像の処理までできる多機能なコントローラを示します。


エプソンのディスプレイコントローラの種類

SRAM内蔵製品

メモリーを内蔵した製品(~1024KB)を取り揃えており、画面解像度WVGA(480x800)までの液晶表示をサポートします。

外付けSDRAM内蔵製品

画面解像度XGA(1024x768)までの高解像度の表示をサポートする製品は、外付けメモリが必要になります。

シンプルLCDC

LCDCの機能のうち、基本的な機能を備え、低コスト、低パワーな製品群です。

ラインアップ


ディスプレスコントローラ(LCDコントローラー)の基礎や活用例、メリットがわかる資料

ディスプレスコントローラ(LCDコントローラー)の役割と解決できる課題、活用メリット、活用例、そして主な表示機能について詳細に解説した基礎が学べる資料です。

オファー資料

エプソンのディスプレイコントローラの主な機能

複数画面表示 (ピクチャーインピクチャー)

主画像の上に別の画像を小窓で重ね合わせて表示させる機能です。 絵の中に絵を表示させるので、ピクチャーインピクチャー(Picture In Picture)、略してPIPと呼ばれることもあります。

複数画面表示 (ピクチャーインピクチャー)

αブレンディング

二つの画像を重ね合わせて、指定した透過率(アルファ値)に従って画像を合成(ブレンド)する機能です。

αブレンディング

スケーラー

画像を縮小、拡大する機能です。等倍での縮小、拡大に加えて、縦横方向の比率を任意に設定することも可能です。

拡大/縮小

回転

画像を90度毎に回転して表示、また縦横方向に反転させて表示させる機能です。

回転


エプソンのディスプレイコントローラの主な特長や性能

CPUの負荷を軽減

ディスプレイに画像を表示させるためには、CPUは常に画像データをディスプレイに転送し続けなければなりません。エプソンのLCDCを使う事で、CPUに変わってLCDCが画像データを転送するので、CPUは別の処理を行えます。別の処理が必要無い場合はスリープ状態にできます。

画像処理機能を内蔵

上記に記載した画像処理機能である、PIP、αブレンディング、スケーラー、回転機能をハードウェアとしてICに内蔵しているので、コマンド1つで簡単に実行できます。

開発環境の提供

エプソンのLCDCをより簡単に素早く評価頂ける様に、各製品の評価ボード、初期設定サンプル、各社MCUボードとのリファレンスデザイン、各社パネルとの接続確認を実施しております。

エプソンのディスプレイコントローラの活用メリット

開発工数の削減、期間短縮

ホストCPUを変更することなく、LCDCをアドオンするだけで、表示のカラー化・高解像度化を実現できるため、開発工数の掛かるCPUの見直しが必要無いです。また、評価ボードを準備しているので、先ずは評価してみたいという場合でも短期間で確認ができます。

安定供給の実現

産業機器、実験機、計測器、OA機器、医療機器など、製品寿命が10年以上と比較的長い場合、長期間の安定供給が必要になります。エプソンの半導体製品は自社工場での生産になるので品質管理レベルと安定供給には定評があります。

特殊な表示機能を簡単に実現可能

電子機器製品によっては、ホストCPUに内蔵されているLCDC機能では実現できないような特殊な表示機能が必要になる場合があります。例えば、産業機器のオペレーションパネルの場合、何かエラーが起こった際に、表示している画面の上にエラー表記を重ねて表示する必要があった場合、エプソンのLCDCであれば、PIP機能が内蔵されているので簡単に実現できます。また、スペース的にカメラの実装向きに制限がある場合、画像データが常に逆さに取り込まれてしまう場合、エプソンのLCDCに内蔵されている回転機能を使えば本来の向きで画像をパネルに表示できます。

LCDCの詳細や活用方法に関する資料

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LCDCの役割と解決できる課題、活用メリット、LCDCの活用アプリ例、そして主な表示機能について詳細に解説しています。LCDCの基礎がよくわかります

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