導入事例 大阪ステーションシティシネマ 様

大阪ステーションシティシネマ 様

用途:聴覚障がい者支援

大阪ステーションシティシネマ 様

使用機種:BT-40S

大阪ステーションシティシネマ 様

2011年5月にオープンした大阪ステーションシティシネマは、大阪駅直結の立地で12スクリーンの規模を誇る映画館だ。本館は、エプソンのスマートグラスを用いた、聴覚障がい者向け「字幕メガネ」の貸し出しに対応。その導入経緯や活用法などについて、全国興行生活衛生同業組合連合会の野口さん、NPO法人 メディア・アクセス・サポートセンターの川野さん、大阪ステーションシティシネマの木村さん、大坂さんにお話を伺った。

導入製品

BT-40S

Full HD・120型相当(仮想視聴距離 5m時)の高精細・大画面。映像を楽しめるほか、情報を表示する字幕ガイドなどでも活用できる。
型番:BT-40S

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導入課題

  • 聴覚障がい者が、いつでも映画を楽しめるようにしたい
  • 軽量で装着感が良く、負担なく映画を楽しめるようにしたい
  • 文字がはっきり読め、映像もクリアに見えるようにしたい

導入効果

  • 字幕メガネ貸し出し対応館が増え、いつでも映画が楽しめる
  • 軽量で両眼表示タイプなため、装着感が良く視野も広い
  • 有機EL採用で文字のコントラストが高く、視野もクリア

BT-40Sに専用アプリを導入し、視聴している様子

映画館

BT-40Sに専用アプリを導入し、装着することで、視界の下の方に字幕が表示される(写真・左)。字幕は、映画内の音声に同期するため特別な機器などは不要で、本機を個人で購入すれば、字幕メガネ貸し出しに対応していない映画館でも使用可能。

使用アプリはこちら

HELLO! MOVIEの画面

HELLO! MOVIE新規ウィンドウが開きます開発・提供:ハロームービー株式会社
スマートフォンやスマートグラス等で、映画の字幕や音声ガイドが使用可能になる無料アプリ。300本以上の作品に対応し、現在も、日本映画製作者連盟を始め、映画会社各社の真摯な取り組みによって対応作品数は年々増加している。
右はHELLO! MOVIEの画面。視覚障がい者向けの音声ガイドはスマートフォン本体で対応。字幕ガイドは、スマートグラスの使用が前提だ。ガイドの言語は、日本語、英語、中国語、韓国語、フランス語の設定が可能。

導入背景

「聴覚障がいがある方への認知度が上昇し、リピーターも増加中です」

聴覚障がいなどがある方でも、映画をいつでも自由に楽しんでほしい

2008年に「障がい者権利条約」が発効し、日本でも2013年6月に「障がい者差別解消法」が公布。その頃から映画・映像業界は、聴覚障がいや視覚障がいのある方でも、自由に映画・映像を楽しめるようにするには、どうすれば良いかを本格的に考え始めました。NPO法人 メディア・アクセス・サポートセンターは同時期に活動を開始したのですが、その解決方法は、聴覚障がいに対しては字幕を用意すること。DVDソフトについては、インターネットに接続したパソコンでDVDを見ることで、ネット経由で字幕が出るようにする仕組みが開発されました。
しかし、映画館では字幕付きで上映される作品はわずかで、日にちも限られています。川野さんも当時は、「劇場公開映画の新作で字幕対応する必要がある。しかし、フィルムに文字を焼き付けるのはコストも手間もかかり、普及は難しい」と考えていたそうです。そこで、必要な人に文字が見える方法として、当時登場してきたヘッドマウントディスプレイで画面上に文字を表示させる方法を考えました。
その後、実証を進め、2017年9月には全国の映画館でスマートグラスを持ち込んでの観賞が可能に。一部の映画館では、期間限定での機材貸し出しも実施しました。このときの機材はエプソンのBT-350で、小型かつ丈夫で、貸し出しも対応可能と判断してのことでした。2019年には、字幕メガネ対応アプリ「HELLO! MOVIE」も完成の域に達し、実証段階から実用段階に入りました。現在では、各都道府県での対応も進み、貸し出し可能な映画館も全国80館以上に増えています。

全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連) 東京都興行生活衛生同業組合 常務理事 事務局長 野口 彰さん

全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)
東京都興行生活衛生同業組合
常務理事 事務局長
野口 彰さん

NPO法人 メディア・アクセス・サポートセンター(MASC) 理事 事務局長 川野浩二さん

NPO法人
メディア・アクセス・サポートセンター(MASC)
理事 事務局長
川野浩二さん

MASCは技術的な開発のほか、障がい者団体やコンテンツ制作者などの橋渡し役として、全興連は全国の映画館を取り纏める立場から、その窓口として、字幕メガネなどの普及に取り組んでいる。

導入理由

さらに軽量になり、表示もクリアで字幕表示に適している

機材選定では、軽さや大きさ、画面表示、装着感などが問題になります。軽さや大きさはBT-350でも満足できていたのですが、BT-40Sでさらに軽量、大画面になって、十分以上の強度もあります。
画面表示は、野口さんによると「有機EL採用が良かったです。MOVERIOでは黒い表示の部分が実質的に無色透明になるため、黒い画面に白い文字で表示しているのですが、有機EL採用により黒い部分が濁りのない無色透明となり、視界に影響しません」とのこと。
初期段階では、他社との比較も念入りに行われたとのことですが、片目で表示を見るタイプは、装着感の面で違和感が出やすく、両目で見るタイプのほうが良いとのことで、エプソン製が選択されました。

専用のカゴに収められた、大阪ステーションシティシネマの字幕メガネ貸し出しセット

注意事項とBT-40S、コントローラー、外付けバッテリーが用意される

専用のカゴに収められた、大阪ステーションシティシネマの字幕メガネ貸し出しセット(写真・左)。注意事項とBT-40S、コントローラー、外付けバッテリーが用意される(同・右)。外付けバッテリー対応により、今後需要が増えても、バッテリーを追加して交換するだけで、充電によるタイムロスを減らせるのも魅力だ。

活用

友人同士や家族など、健常者も含めた皆様で映画を楽しまれる方が増えています

運用は、準備などの都合で事前にご予約いただいていますが、機材は5台あり、ほとんどのケースでご希望どおりにお貸出しできています。とはいえ、5台全て貸し出す場合や、充電などの準備が追い付かない場合には、日程をご調整いただいています。
お貸出し頻度は、ひと月に20回程度だと思います。リピーターの方も増えており、利用者は増加傾向です。徐々に認知度も高まってきて、ご利用の際の使い方説明も導入直後は細かく説明する必要がありましたが、最近はそうしたことも減りました。ほかの映画館も含め、字幕メガネの利用経験のある方が増えているのを実感しています。
お客様は、おひとりの方から、多人数でいらっしゃる方までさまざまです。健常者を含む友人同士で来られる方などもいて、皆様で映画を楽しまれています。家族で来られた方の中には、字幕メガネができたことで、初めて家族全員で映画を見ることができたという方もいるようです。映画の音声が聞こえにくい高齢者の方で字幕メガネをご希望のお客様もいます。その場合も、機材に空きがあればお貸出ししています。
映画館としても、字幕メガネ導入前は、お問い合わせいただいても、字幕入り上映のある日のみのご案内でした。それが、字幕メガネがあることで、いつでもご覧いただけますと、ご案内できるので助かっています。BT-40Sになり小型化されたのももちろんですが、コントローラーに液晶モニターが付いたことで、コントローラーだけで基本的な操作が完結するのは、日々のオペレーションでも助かっています。

大阪ステーションシティシネマ 副支配人 木村光太さん

大阪ステーションシティシネマ
副支配人 木村光太さん

大阪ステーションシティシネマ アシスタント・マネージャー 大坂真湖さん

大阪ステーションシティシネマ
アシスタント・マネージャー 大坂真湖さん

字幕メガネやスマホで聞く音声ガイドに対応した映画を紹介しているWebページ

字幕メガネやスマホで聞く音声ガイドに対応した映画を紹介しているWebページ「映画見にいこ! バリアフリー映画情報」(https://www.bfeiga.net/新規ウィンドウが開きます)。字幕メガネ貸し出しに対応の映画館の紹介もあり、一覧表示のほか、地図からの検索も可能だ。字幕メガネ対応アプリ「HELLO! MOVIE」などの紹介もされている。

利用者の声

私たち聴覚障がい者は、音声を聞くことができないので、字幕付きの洋画しか楽しむことができませんでした。TVのデジタル化で日本語字幕が付く地上波番組は増えても、劇場では限定の劇場・日時で日本語字幕が付く作品を観るしかなかったのです。それが、字幕メガネが誕生し、対応作品が広がったことで、私たちも「観たい作品」を「観たい時に」「観たい場所で」鑑賞できるように!
字幕メガネは私の映画鑑賞での「障害」をなくし、エンタメ生活を大きく変えてくれた魔法のツール。一人でも多くの仲間に字幕メガネで映画を楽しんでほしいと思っています。

日本聴導犬パートナーの会 松本江理
字幕メガネから考えた理想|ぶーみおちゃんぷ
https://note.com/boomiochamp/n/n3b1969295a3d新規ウィンドウが開きます
@boomio1919 #note

今後の展望

字幕の多言語化を進め、訪日外国人にも日本映画を楽しんでもらいたい

今後は字幕の多言語化を進め、聴覚障がいのある方だけでなく、訪日外国人の方にも、使っていただけるようにできればと考えています。外国の方が日本に来た場合、昼間に観光する場所は多いのですが、飲食以外で夜間に楽しめる場所は多くありません。そうしたときに、気軽に映画館に立ち寄って、字幕メガネを使って日本映画やアニメーションなどを楽しんでいただけるのではないかと考えています。
さらにAIの発達などにより、音声からの文字生成や翻訳などの自動化・最適化が進めば、字幕メガネが対応している作品以外も、自由に楽しむことができるようになるのではないかと思います。そのレベルになるのは、かなり先かもしれませんが、そうなれば映画以外のコンテンツへの応用や、日常生活での活用など、スマートグラス全体としても、活躍の場が増えるのではないかと思います。

大阪ステーションシティシネマ

会社概要

大阪ステーションシティシネマ

大阪ステーションシティシネマ

所在地 大阪府大阪市北区梅田3-1-3 ノースゲートビル11F
最寄駅 JR大阪駅直結
ホームページ https://www.osakastationcitycinema.com/新規ウィンドウが開きます

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