
プロジェクターは、本体に塵埃が侵入すると照度が低下するなどして、映像品質が劣化します。そのため、塵埃に対する高い耐久性が必要です。そこでエプソンでは、機種ごとに使用環境を分類し、独自の塵埃試験条件を確立。塵埃の多い環境でも長時間、高画質が保てるように塵埃試験を実施しています。こうした、厳しい環境での試験を実施している日本メーカー製のプロジェクターなら、安心して長く使えるのです。
綿埃や土埃を模した粉塵など用途ごとに内容(レベル)を変えて試験を実施。モデルごとに想定される使用環境で支障が出ないよう、厳しい環境での試験が行われる。
粉塵を製品全体にかけることで、レンズなどの光学系のほか、電子基板に粉塵が入り込んで支障をきたさないかも確認できる。
塵埃をかける工程は、長時間に及ぶケースも少なくない。時間と労力が必要な試験だ。
試験を重ねたことで適材適所の防塵設計が可能になった。
各商品企画(お客様の使用環境想定)から、防塵設計レベルを決定しています。そのため全商品一律にワーストの環境での防塵設計をしているわけではありません。
お客様の使用環境を想定し、機種ごとに大気中の塵埃量を分類しています。例えば、高輝度のビジネスユースモデルは、屋内外で使用されることを考慮して設計されています。一方、ホームユースモデルは屋内での使用が基本となるため、異なる基準で設計されています。ビジネスユースモデルでは塵埃、ホームユースモデルでは綿埃を基本とした材料が用いられます。これをベースに、ビジネスユースモデルの試験では炭素や赤土をブレンドした塵埃を使用し、ホームユースモデルでは人やペットの毛の影響を受けやすいことから、毛足の長い素材をブレンドした塵埃を使用しています。このように、想定される使用環境に最適化した、あるいは上回る試験を行っています。
長年の経験に基づいた計算やシミュレーション通りの結果が出ているかを確認するために行うケースが多く、全機種で何度も繰り返すといったことはありません。とはいえ、単純に規格通りの耐久性があれば良いというものではなく、どこに弱点があるかを見極めて、改善、改良することが重要です。そのために試験を繰り返すケースがあります。
弊社の塵埃試験は、実際の使用環境に比べてかなり厳しいコンディションでの試験を行っています。特に屋外でプロジェクションマッピング等に用いられるタイプの製品は、土埃がかかる可能性もあるため、試験の内容も過酷です。フィルターのメンテナンスが必要なケースはありますが、多くのユーザー様に安心して長く使っていただける製品だと自負しています。
プロジェクターの出荷時や輸送時、使用時には、落下などにより意図せず大きな衝撃が加わることがあります。そこでエプソンでは、衝撃や落下に対する堅牢性を試験しています。プロジェクター単品や梱包した状態で、床置き、天面、側面などのさまざまな姿勢から衝撃を与えています。このように厳しい条件で試験を行い、得られたデータを活かして製品の堅牢性を向上させています。
衝撃を測定する加速度センサーは、同時に複数個所の測定が可能。そのため、衝撃波形を確認したい部位が複数に及ぶ場合なども、一度の測定で確認できる。
データは破損箇所の改善や製品の改良に用いられる。さらにデータが蓄積されることで、その後の製品設計などにも活用される。
ビジネスユースの高輝度モデルは、排熱の問題などがあり、小型化の難しい分野です。しかしながらエプソンでは、独自の液晶液冷モジュールや光源用冷却デバイスを採用するなど、小型化にこだわった設計を行っています。これにより、従来からニーズの高かった可搬性や設置性の高さも実現し、落下や衝撃のリスクを低くしています。可搬時の取り扱い面では、製品の底面に凹凸を設けるなど、ユーザー様が持ち運びやすい形状になるように設計しています。このほか天吊り対応モデルでは、天吊り時の落下防止用ワイヤーが取り付けられる外装構造も採用しています。
各製品の堅牢性や耐衝撃性は、製品の大きさや重さなどによって社内基準が決められ、基準値を目指した設計が行われています。その社内基準や設計値の妥当性を、専用の装置を用いて実際に衝撃を与えて確認するのが衝撃試験です。これにより、ユーザー様がプロジェクターに多少の衝撃を与えてしまった場合でも、問題なく使用できるように努めています。
エプソンのプロジェクターは、本体の試験のほかに、梱包状態での衝撃試験も行っています。そのため輸送中に破損するリスクが少なく、お手元に届いてからも、多少雑に扱っても壊れずに使用できる堅牢性と信頼性を備えています。また、これらの試験は、世界中のユーザー様に向けて、日本国内で行われています。ホームユースからビジネスユースまで、安心して長くご活用いただけたらと思います。
エプソンでは、プロジェクターを用いて長時間投写し続ける「エージング試験」を行っています。長時間連続運転させることで、不具合の早期検出、光学部品や機械部品、外装部品、電装部品などの耐久性と耐用期間を検査・検証しています。社内規格に基づき、明るさ、色ムラ、画質(光学特性)の定期測定や、外観の耐久試験なども実施。これらにより、エプソンのプロジェクターは、安心して長く使っていただけるだけの耐久性を確保しています。
試験は初期の試作段階から実施する。得られたデータを順次製品開発部門にフィードバックし、市販に向けた改善や改良に活用する。
ホームユースからビジネスユースの高輝度モデルまで、最近の製品は全て20,000時間を目安に試験を実施する。20,000時間は、通常環境でレーザー光源の明るさが概ね半減するまでの時間となっている。
ランプ光源のモデルは、光源の寿命が約6000時間(条件により異なる)となっているため、6,000時間ごとにランプを交換。試験については、レーザー光源のモデル同様に20,000時間を目安に実施している。(注)この試験は、光源以外の部品状態も含めて確認することを目的としている
エージング試験で主に検査されるのは、映像の明るさや画質に関わる部分だが、電源や基板、スイッチ類、外装などに問題が出た場合も市販に向けた改善や改良にフィードバックされる。
設計や開発の段階で行われるエージング試験では、加速度試験だけでなく、実際に必要な時間映像を投写する、等倍試験も行います。プロジェクターは長期間使用することで、映像の品質が徐々に低下します。具体的には、「明るさの低下」「色ムラの悪化」「色の変化」などの形で現れます。これらが、どの程度まで悪化したら寿命とみなすかを判断する基準値を設定し、平均的な製品が、この基準値に到達するまでの時間を確認しています。この試験は、一定時間で打ち切ったりせず、基本的には設計上の寿命である20,000時間を超えるまで継続し、設計の妥当性を確認しています。
社内で測定するタイミングが決められており、それに沿って光学測定を実施しています。例えば250時間経過した時点などで、定期的に測定設備のある場所に持ち出し、明るさなどを測定しています。測定の頻度としては、20,000時間の間に少なくとも25回以上測定し、劣化具合などを確認しています。
光学測定では、光学特性やLCDの劣化度合いなどを数値化していますが、そうした数値に現れない、体感的な変化もあります。そのため、目視で感じられる変化も設計部門などにフィードバックするようにしています。このほか、明るさや画質以外の不具合や試験中のエラー表示など、日常点検で見つかる不具合もできるだけ早くキャッチして、製品に反映できるようにしています。
エージング試験では、大型の高輝度モデルから小型のモデルまで、エプソンのプロジェクターの信頼性を確保するべく、同じように検査しています。また、開発段階でのエージング試験は自動でデータ測定する評価だけでなく、実際に人の目で見たり、人の手で操作したりして行われる試験です。それだけに、お客様の目線に立って、喜んで頂けるように地道にコツコツ試験を行うことを大切にしています。こうした繊細かつ地道な検査は、日本メーカー製ならではのものと思いますし、お客様にも、安心して長く使っていただける製品だと感じています。
プロジェクターは、スペック上の明るさが確保されていることはもちろん、投写した画面内の明るさが均一でムラがないことが重要です。そのため、試作機や初期の量産機などの明るさを正確に測定し、設計通りの値になっているかを確認します。測定はISO規格と社内規格に沿って行われ、ここで測定したデータは、社内の基準値として扱われます。これにより、正確な明るさで映像を投写、鑑賞できるのです。
測定環境は、ISO規格にいかに合わせるかを重視し、安定した条件で測定できるようにしている。ISO規格では、画面サイズなどの測定条件のほか、測定時の室温なども規定されている。測定時は、そうした環境を整えるため、準備には時間が必要だ。
測定する投写面でフォーカスを合わせる必要があるため、測定器(照度計)の厚みの分だけ、四隅に設置する投写位置の目印に厚みを持たせている。これにより、フォーカスと画面サイズを正確に合わせることができる。
プロジェクターが設置される専用台は、上下左右の微調整や高さと傾きの微調整ができる。これらを駆使しても、正確に設置するには、立体的な空間把握が必要。素早く正確に調整・設置するのは、職人技だ。
測定には照度計(単位はルクス)が用いられるが、プロジェクターの明るさとしては輝度(単位はルーメン)になる。そのため、輝度を測定する際は、ズームレンズの広角端を用い、製品ごとに決められたサイズに投写し、計算によって輝度を算出する。画面内の9点を測定し、その平均値を出すことがISOで決められている。
明るさの測定は、基本的に国際規格であるISO/IEC21118:2020に基づいた方法で行われています。明るさ測定の工程では、専用の測定室を設けるなど、測定環境をしっかり整えるようにしています。このほか、エージング評価においては、エージングサンプルは定期的に明るさ・色むらの測定、画質の目視確認を行い、測定者や環境による測定結果のばらつきを抑え、精度よく評価するために自動光学測定機を導入しています。
エプソンのプロジェクターは、開発段階から、ISO基準に合わせて正確な測定を行い、公称値から明るさの誤差やムラが少ない安定した映像を確保しています。安価な海外製の製品などの中には、明るさの公称値と実測値のズレが大きかったり、明るさのムラが大きかったりする製品もあるようですが、エプソン製品ならそうした心配はなく、安心して使っていただけると思います。
プロジェクターには、光源などの熱を冷ます冷却ファンや液冷ポンプが必要です。しかし、それらが発する騒音は、お客様の視聴の妨げになります。そのため、試作の段階から騒音評価を行い、低騒音化を図っています。これに加え、エプソンでは騒音の聞き心地にまでこだわった、騒音評価を実施。こうした五感を重視した繊細な評価や設計は、日本メーカー製ならではのこだわりの1つといえるでしょう。
騒音評価でメインといえるのが、量産機の騒音の公称値(公式の値)を決定することである。このほか、初期設計段階でのファンの音を確認し、どういったファンを使うのが良いか、どの程度の回転数にするのが良いかを検討するために実際の音を確認する場合などに騒音評価が行われる。
騒音評価は音の大きさだけでなく、耳障りな成分なども評価している。これにより、同じ騒音でも、音質にこだわった設計ができる。
騒音ノイズの主な原因は、冷却に使用するファンや液冷ポンプになります。他の原因としては、光学機構部の駆動音や電気回路の部品が発する高周波ノイズなどもありますが、影響は比較的軽微です。
まず、光源の種類によって冷却方式が異なります。例えば、ランプでは空冷ファンによる直接的な冷却方式、レーザーやLEDの光源では、ヒートシンクや熱拡散を利用した冷却方式が一般的です。ただし、光源の種類や製品スペック、コスト要求によって方式の選択と騒音スペックが変わるため、一概にどの方式が有利とまではいえません。
フィルターを使用する場合は、一般的には面積が広いとファンへの負荷が小さく、低騒音化しやすい傾向があります。一方、フィルターの開口が広い場合には、製品外部にファンノイズが漏れやすくなるため、設計ではそのバランスを取るのが重要になります。騒音源であるファンは、製品の内側にあるほど開口部からの音漏れや内部構造での遮音を施しやすく、騒音には有利です。
例として、主たる騒音源であるファンについて見ると、ファンの配置や数、複数あるファンのパワー配分などによって騒音が変化するので、これらを調整します。このほか、ファンの能力(サイズや羽の形状、枚数など)の影響もあります。これについては、特注のファンを用いるなどして対応しています。さらには、ファンを筐体に取り付けたときに振動や共鳴が発生する場合もあります。これについては、取り付ける部分の強度上げる工夫をするケースや、取り付け位置を変えるケース、一部のファンをフローティング構造(ファンを浮かした状態にするために、柔らかい素材などで支える構造)にするケースなどがあります。
プロジェクターから投写される映像や文字は、画面全体が緻密に「くっきり」見えることが大切です。これには、投写レンズの性能や精度が重要です。そのためエプソンは、投写レンズの性能評価を重視しています、この性能評価は、出荷するすべてのレンズに対して行っているため、個体差が少なく、大画面に投写しても高い解像力が得られます。このように、日本メーカー製のプロジェクターなら、高画質で緻密な映像が、思いのままに楽しめるのです。
ここで行われている評価は、基本的には量産の製品ではなく、試作機に対して行われるもの。製品に対しては、専用の装置を用いて工場内でも全数検査が行われている。
ビジネスユースの高輝度モデルなどのレンズ交換ができるモデルでは、必要に応じてレンズを交換し、異なる(焦点距離の)レンズでも同じテストが行われる。また、同じレンズを複数用いてレンズ個体間のばらつきがないかを確認することもある。
解像力などの写りは、プロジェクター本体が出す熱などによっても変化する。そのため、試作機での評価では、明るく投写した状態で一定時間置き、高温状態での変化量なども評価している。
レンズ性能の差は、明るさや文字等の解像感に表れます。また、操作性(フォーカス調整のし易さ)や信頼性にも表れます。
一般的なカメラやスマートフォンに搭載されているレンズでは、カメラなどが立体物を写すことを前提にしているのに対して、プロジェクターでは基本的には平面に映像を投写することを前提にしているという違いがあります。そのため、プロジェクターでは、投写面(平面)に対する要求精度が高くなっています。画面内の明るさや解像力が高いレベルで均一であること、歪みがないこと、光熱の影響を受けても変化しないことの3つは、プロジェクターのレンズでは特に重要で、カメラのレンズとは異なる点です。中でも光熱の影響を受けても高い品質を維持するためには、高度なシミュレーションや丁寧な評価が不可欠です。
解像力やドットずれ、温度による変化といった基本的な評価内容は、用途の違いなどによって基準値に違いはありますが、製品タイプを問わず同様です。そのため、用途に合った製品を選んでいただければ、エプソンならではの緻密な映像を楽しむことができます。
投写レンズの全数検査を行って、高い解像力やドットずれの少ない映像を担保している点は、エプソンのプロジェクターの魅力の1つだと思います。例えば、海外メーカー製品に多い、極端に安価なモデルの映像をよく見ると、解像力や精度の違いが感じられるのではないかと思います。ぜひ、エプソンのプロジェクターで、緻密な映像を楽しんでいただけたらと思います。
取扱説明書の制作にあたっては、「正確であること」や「分かりやすいこと」を重視し、お客様視点に立った制作にチーム全員で取り組んでいます。具体的な取り組みとしては、記載内容をプロジェクターの実機で確認したり、わかりにくい専門用語を言いかえたりするなどの工夫をしています。このほか、イラストを多用して、できるだけ直感的に理解できるような工夫も行っています。
日本向け製品の取扱説明書は、当然ながら日本語での制作が基本となる。外国製品のように、英語をベースにした直訳や複数言語共通の取扱説明書にはなっていない。
英語などを日本語訳しているケースが多い海外メーカー製品の取扱説明書に比べ、情報量が多くイラストを用いた説明になっており、分かりにくい直訳文などがない。
従来の取扱説明書の改善点には、お客様からサービスセンターへお問い合わせがあった際の改善点が含まれることもある。こうした改善は、後継機種の登場時や取扱説明書の改訂時などに再確認し、反映できるように努めている。
「分かりやすさ」を実現するために、以下のような取り組みを行っています。
①表現の工夫
専門用語はなるべく避け、誰にでも理解しやすい言葉を使用。言い回しや用語を統一し、表現ルールを策定。
②実機確認に基づく直感的な構成
重要な情報を優先し、正確かつ簡潔で分かりやすい構成を採用。実機をユーザー様の視点で操作し、実体験に基づく内容にブラッシュアップ。
③製品開発部門との連携
開発チームと密にコミュニケーションをとり、仕様変更や新機能の追加時には最新かつ正確な情報を反映。
正確さの実現に向けては、実機を用いて確認していますが、その確認をできるだけ多人数で確認して共有するようにしています。これにより、前モデルからのわずかな変化も、漏らさず確実に反映させることができるようになります。分かりやすさの実現のためには、専門用語だけでなく、数値を分かりやすい言葉に置き換えるケースもあります。例えば、「レンズを90度上に向ける」を「レンズを天井に向ける」といった具合です。
エプソンでは、取扱説明書の制作において、言葉の丁寧な言い換えや説明の工夫を重ね、より多くのお客様に内容をご理解いただけるよう努めています。日本メーカーである当社は、日本人スタッフが日本語で取扱説明書やメニュー表示を考案・制作しており、少なくとも海外メーカー製品と比べて、言語面での分かりやすさに優れていると自負しています。
実機確認の過程で操作に関する疑問点を発見した際には、開発部門へフィードバックを行い、製品仕様の改善につなげる取り組みも実施しています。こうした対応は、ユーザー様の目線に立って取扱説明書を作成しているからこそ可能なことだと考えています。また、製品の安全性担保のため開発部門や品質保証部門と一体となってお客様に安全に製品をお使いいただくための情報提供にも力を入れております。
このような活動を通じて、より分かりやすい取扱説明書をお客様にお届けし、製品をご利用いただく際の満足度向上に貢献してまいります。
プロジェクターの修理にあたっては、お客様の状況を正しく理解し、故障箇所を正確に見極め、丁寧な作業で短時間に修理することを重視しています。そこで、5項目の「修理サービス精神」を基本姿勢として掲げ、常にお客様への感謝とお詫びの気持ちを忘れず、お客様に満足いただけるサービスを提供しています。修理は、国内のプロジェクター修理専用ラインで、経験豊かな人材が対応しています。
お客様への丁寧な対応に努めている。特に故障症状が再現しない場合は、エージング(電源を入れてパターン表示等を、時間をかけて動作させ、不具合発生有無を確認すること)の後、お客様へ電話・メール等でご連絡する。不具合の発生状況や、ご使用環境の詳細を丁寧にヒアリング。その結果に基づいて丁寧な再現テストを行い、故障原因を特定して最適な修理につなげるようにしている。すぐに「症状が再現しない=異常なし」とは考えず、しっかりと検証するように心がけている。
プロジェクター専用の修理ラインを所有。プロジェクター修理を10年以上担当している経験年数豊かな人材が多数在籍しており、全機種の修理を把握している。故障箇所の特定が難しい場合などは、ベテランの担当者と連携するなどして解決する場合もある。こうした連携も、短時間での修理に一役かっている。
「修理サービス精神」に「スピードを持って取り組みます」とあるように、修理・返却までのスピードを重視。さまざまな対策をとることで、修理受付から通常1週間程度で修理・返却できている。時間を要するものの1つに故障状況の再現があるが、診断に長時間かけても答えは出ないので、お客様に使用環境を確認し、使用環境に近い状況を作り出して確認している。それでも再現できなければ、設計部門などに確認する。このような判断を素早く行って、修理期間の長期化を防いでいる。
プロジェクターの修理工場は、設計部門や品質保証部門などと同じ敷地内で、連携しながら業務推進している。そのため全機種で即座に対応が可能。正確な判断による、短納期での修理対応にも貢献している。さらに不明事項の相談や確認・調査、新製品が出たタイミングなどの、非既知案件についての相談などでも連携している。また必要に応じて、品質検査部などと情報を共有。検証して修理に生かす場合や、製品にフィードバック(継続性がある場合などには、ファームウェアアップデートなどを実施)する場合もある。
製品の設計担当者と連携することで、修理担当側としては、修理しやすいレイアウトにしたり、取り外す必要のあるパーツを減らしたり、取り外しやすくしたりといった改良につながるケースがある。逆に、設計担当者が修理ラインに来て、情報収集をして製品にフィードバックするといったこともある。こうした連携では、単なる修理に留まらず、製品の改善・改良につながっている。これも、開発や設計の部署と、同じ敷地内にあるメリットの1つだ。
「修理対応が早くて助かりました」「新品同様で戻ってきて感動しました」「丁寧な対応に感謝します」といった声が多数届いています。スピードに関しては特に重視しているので、うれしく感じています。返却時にしっかりと養生して梱包したり、梱包前に汚れを拭き取ったり、埃を吹き飛ばしたりしているので、お客様にも気づいていただけているようです。丁寧な対応も、引き続き意識して、お客様の満足度向上に努めて参ります。
修理報告書に、本体の簡単なメンテナンス方法や、使用上の注意事項についての分かりやすい解説を記載するようにしました。このほか修理報告書とは別に、ご案内状を添付するようにしました。今後も、改善できる点があれば積極的に対応していきます。
お客様にご承諾をいただいた上で、ご返却をさせていただきます。その際、お客様のお取り扱い等に起因した不具合であれば、その旨を丁寧にご説明致します。
お客様からお見積もりの回答をすぐにいただければ、最短で4~5日程度(お客様が発送されてから、お手元に返却されるまでで1週間前後)でご返却することが可能です。ビジネスモデルなどで保守契約がある場合には、ここからさらに1~2日程度早くなります。
ベテラン担当者を軸に、トレーニング計画に基づいて実地研修(OJT)を行っています。マニュアル等も分かりやすく整理されているので、基本的な修理は新人であっても研修を行うことで対応が可能です。不明点があった場合は、ベテランを含めた担当者間で連携し、問題解決につなげています。
製品に記録された操作履歴や故障箇所などから、原因を推定して修理しています。とはいえ、長年の修理実績から、故障内容によってある程度マニュアル化できています。加えて、プロジェクターの機構特有の故障などもあるので、ほとんどの場合は、故障内容から修理箇所の特定ができます。ただし故障の再現については、お客様の使用環境による場合もあるので、必要に応じてお客様にご連絡させていただき、使用環境などを確認しています。またプロジェクターは、使用を開始して数時間程度経ってから、発熱などによって明るさや色などに変調をきたすケースもあります。エージングなどを行う必要があり、不具合の再現に時間がかかるケースは少なくありません。
[修理サービス精神]にもあるように、スピードにこだわって、できるだけお客様をお待たせしないことを心掛けています。これには、修理の効率化がカギになります。修理担当者は、修理を担当する機種が決まっていますが、数多く修理に入って来る製品は、多くの人員が対応できるようにしています。加えて、見積担当者と修理担当者も分けています。このようにわずかな時間短縮の積み重ねで、トータルでの効率化、時短化を推進しています。また、開発・設計部門などが同じ敷地内にあることもポイントです。情報が速く、事業部から直接聞くこともできる環境は、日本メーカーならではといえます。国内メーカーの国内修理部門のメリットを最大限に生かし、これからも、サービスの質やスピードの向上に努めて参ります。
エプソンのお問い合わせ対応は、メールや電話などの4つの方法で行っており、専門のオペレーターが対応しています。対応にあたっては、お客様に寄り添うことで、安心感を提供することと、お客様に歩調を合わせて解決に導くことで、お客様から信頼を得ることを品質方針としています。必要に応じて実機を使って、お客様の申告状況の再現性などを確認し、正確にご案内することで早期解決することを心掛けています。
国内のお問い合わせ対応は、国内で専門のチームが日本語で対応している。開発や修理なども日本国内で行っているため製品に関する情報伝達が早く、適切な対応を迅速に行うことができる。
現行機種だけでなく、お問い合わせが多い機種や修理対応が可能な機種など、生産終了となった機種も含めた実機を社内に数多く保有。お問い合わせ対応時に素早く確認できるようにしている。
プロジェクターの専門知識を充分に備えたメンバーが多数在籍。豊富な経験と知識でお客様の申告内容を素早く把握し、適切なサポートやご案内を行っている。
お問い合わせいただいた内容をすぐに解決できない場合は、時間をいただいてスーパーバイザーなどに確認したり、技術部門に確認したりするケースもある。実機での再現性がなく解決できない場合は、代案を提案する等、お客様が問題を解決できるように努めている。
プロジェクターについてのお困りごとなどのご相談だけでなく、古いプロジェクターから新型への切り替えなど、製品の購入相談などにも対応。設置する場所や投写面までの距離、必要なアクセサリーなども含めてご案内するようにしている。
各担当者がローテーションはしていますが、同日内では、チャットとメールを同時に担当する、といったことは行っておらず、基本的には単一の方法で業務を行っています。
新製品の場合は、実機を使った勉強会が行われます。スーパーバイザーやチームリーダーなどが出席し、知識を得ています。その後、実機が導入されたタイミングなどにメンバーと情報を共有し、お問い合わせに対応しています。そのほか、製品の情報に関しても、スーパーバイザーやチームリーダーに伝えられた後にチーム内に共有しています。
電話の場合は、リアルタイムでのサポートになりますので、保留等を行ってスーパーバイザーやチームリーダーがサポートします。必要に応じて、引き継いで対応します。メールなど、リアルタイムサポートが必要ではない場合は、スーパーバイザーやチームリーダーのほか、ベテランメンバーに相談して問題を解決するケースもあります。
メーカーでの調査が必要になるような未知の事象の場合は、お客様にお待ちいただくことになりますが、お客様先で発生している状況を実機で正確に再現したうえで情報をフィードバックして、迅速な解決につなげています。
お客様の情報を扱う部署なので、個人情報の扱いは厳格なルールに則っています。基本として、必要のない情報は聞かないようにしています。聞く必要のあった個人情報も、メモも含めてフロアから出さず、適切に処理するようにしています。このほか、担当者はスマートフォンなどの情報機器のフロアへの持ち込みが禁止されており、必要な私物も透明なバッグに入れて中身が見える状態にするなど、うっかりミスを含めた情報漏洩対策を行っています。
日本国内向けのものについては、開発や設計、修理なども含めて国内で行っています。もちろん、サポートも国内です。それだけに、情報が集約されており、情報量などの面で優れていると感じます。それらをサポートにも反映することができていると思います。日本メーカーであるエプソンを選んでいただくことで、製品購入前や購入後のサポートの面でも、安心して使っていただけることは間違いないと思います。