導入事例 柿のミズオ/株式会社パーシテック 様

柿のミズオ/株式会社パーシテック様
導入製品:BT-2000

高齢化が進む名人の技を次世代に伝えたい
エプソンの業務用スマートグラスで、スムーズな技の伝承を実現

導入モデル

BT-2000

業務用スマートグラス

MOVERIO Pro

BT-2000

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液晶パネル画素数:横960x縦540、カメラ画素数:500万、質量:290g(ヘッドセット)

導入会社様のご紹介

柿のミズオ/株式会社パーシテック

外観写真外観写真

「柿のミズオ」代表の水尾成氏は、80歳を越えてなお現役で農園に立つ柿づくりの名人である。しかし近年脚が弱り始めており、さすがに長時間の農作業は困難になってきている。そのため、成氏の技術を次世代へ伝承することが急務だが、名人の技を一から学ぶには手間も時間もかかるうえ、教える側も教えられる側もかなりの忍耐が必要だ。そこで長男の学氏が考えたのが、「MOVERIO Pro」(BT-2000)を利用した遠隔指導である。その詳細や効果について伺った。

ニーズ・問題

  • 高齢になると、長時間きつい農作業を行うことが困難になる。
  • 名人のノウハウを後継者に伝えたいが、直接教えようとすると双方の忍耐が必要。
  • 教えながらでは作業がはかどらず、教えることが二の次になってしまう。

導入後

  • 名人は、自宅に居ながらにして、農園の様子を見て指示を与えることができる。
  • 機器が間に入ることによって人間同士の直接の対立が和らぎ、淡々と指示できる。
  • 名人の指示に従って作業を続けるうちに、コツやノウハウが習得できるようになる。

背景

高齢の名人の技を次世代に継承したい

水尾 学氏

柿のミズオ 水尾 学氏

滋賀県今津町で柿を生産する水尾成氏は、滋賀県果樹品評会で1998年に最高賞である近畿農政局長賞を、2011年には功労賞を受賞するなど、柿づくりの名人として地域では知られた存在である。柿農家の2代目で、約60年間柿を育ててきた。水尾氏の果樹園「柿のミズオ」では現在128本の柿を栽培しており、従来繁忙期には家族の手伝いを得ながらも、ほぼ1人で柿を栽培してきた。80歳を越える今も毎日果樹園へ行き、脚立に乗って作業もするが、足腰の衰えはいかんともしがたく、長時間の作業は難しい。
そのような父を見た長男の水尾学氏は、父の技術をなんとか継承できないかと考え始めた。電子機器のハードウェア開発に従事していた学氏は、当初成氏の技術にそれほど関心があったわけではなかったと、次のように語る。「会社員時代、取引先に年末のあいさつなどで回る際、柿を配っていました。その評判が良く、注文をしてくださる方もいて、身近に競争力のある商品がある事に気づき、この技術を継承しないのはもったいないと思い始めました」(学氏)。

理由

堅牢性や広い視野角、美しい映像、優れた装着感などを評価

とはいえ、長年の経験で培った名人の技を、一朝一夕で習得することはできない。名人としても、教えながらの作業では仕事がはかどらないし、お互いストレスもたまる。「面と向かって教えてもらっていると、つい人間同士の対立が生じてしまいます。特に親子だと仕事のコミュニケーションは難しい」(学氏)。
そこで、学氏が目を付けたのが、ウェアラブルデバイスを使った遠隔指導である。両手が自由に動かせないと農作業ができないため、デバイスはスマートグラスを選択した。学氏は、「父が家から果樹園の様子を見て指示できれば、素人でも名人の技を実践できます。間に機械が入ることで、人と人との衝突が起きず、淡々と作業に集中できます。名人も長く現役を続けられ、生き甲斐にもつながると考えました」と語っている。
そこで、学氏が選んだのがエプソンのMOVERIO Proである。MOVERIO Proは、両眼シースルータイプで、視線移動を最小限に抑えるので疲労感が少なく、現場作業に最適な業務用スマートグラスだ。その選択理由を学氏は、「雨に強く堅牢なので、屋外での農作業に適しています。また、画面が大きく映像がきれいなので、作業者は視野角が広く作業しやすいし、遠隔で見ている名人は果実の色つやまでよくわかり、的確な指示を出すことができます。フィット感にも優れ、両眼タイプで見やすいので、長時間使っても苦になりません。アプリケーションも多く、拡張性を備えている点も魅力です。なによりデジタル世代の若い後継者は従来農業のイメージを変えるような格好良いデジタル機器を求めており、最適なツールであると思います」(学氏)。

活用

名人の技術を的確に伝え、若い世代へ技術伝承が可能に

水尾 成氏

柿のミズオ 水尾 成氏

柿農家で最も手がかかるのが春から夏にかけての摘蕾と摘果である。特に成氏は大ぶりで形のいい果実を得意としており、果実が接近することで起きる変形や小型化は厳禁だ。ただし、花の段階で果実の状態を想像して摘花する花を選んだり、残った隣接する2つの果実のうちどちらを取るべきかといった選択は、経験がないと難しい。このような選択を、MOVERIO Proを使うことで、名人が遠隔から映像を見て判断し、現場の作業者に指示をする。なお、アプリケーションは、遠隔作業支援システム「Optimal Second Sight」を利用した。
実際の作業は、学氏が果樹園でMOVERIO Proを装着し、成氏が自宅のパソコン前に待機して行われる。学氏が隣接する柿の実など確認してもらいたい対象物を見ると、自宅のパソコンにその映像が映し出される。成氏がマウスを操作してカーソルを摘果すべき実に合わせると、学氏の眼前のモニターに映し出されるので、それを見ながら実を切り落とす。会話もできるので、疑問なども確認可能だ。なお、日差しが強い日は付属のダークシェードを装着。カメラはシェードの外にあるので、シェードをつけても転送画像に影響はない。
成氏もMOVERIO Proによる遠隔指導を高く評価しており、「最初は少し手間取りましたが、2、3回で慣れました。畑で作業するような感じで見えるので、使いやすい」と語る。
名人は体が弱っても現役を継続でき、弟子は名人が指示した作業を繰り返すことで、高度な技術を習得できるため、技術伝承がスムーズに行える。

成氏は自宅のパソコンの前に座り、慣れた手つきでマウスを操って、摘果すべき果実にカーソルを合わせて指示を送る。

成氏は自宅のパソコンの前に座り、慣れた手つきでマウスを操って、摘果すべき果実にカーソルを合わせて指示を送る。

学氏がかけているMOVERIO Proのディスプレイに成氏の指示が表示される。正面に表示されるので見やすい。

学氏がかけているMOVERIO Proのディスプレイに成氏の指示が表示される。正面に表示されるので見やすい。

学氏は、成氏の指示通りに果実を切り落とす。不明点があっても、付属のマイク付イヤホンで成氏に確認できる。

学氏は、成氏の指示通りに果実を切り落とす。
不明点があっても、付属のマイク付イヤホンで成氏に確認できる。

展望

名人のネットワーク化を目指す

学氏は、今回のシステムを同じような悩みを抱える他の農家にも活用してもらおうと、株式会社パーシテックを設立し「名匠ネットワーク320」というプロジェクトを立ち上げようとしている。MOVERIO Proを使えば、成氏が自農園だけでなく、遠隔地の柿農家の指導も行える。「たとえば名人の監修を明記することで、名人のブランド化も可能です。教わる側も品質向上や産地の知名度向上につながります」(学氏)。
この試みが、日本の農業を大きく変える日がくるかもしれない。

導入事例を動画でご紹介

本サービスはYouTube™ のサービスを使って提供いたします。
(注):YouTubeは、Google Inc.の登録商標です。
「Optimal Second Sight」についての詳細はこちらをご確認下さい。

Optimal Second Sight
採用しているアプリケーションはMOVERIO ProパートナーのOPTiM社のものだ。遠隔地から現場の状況をカメラ映像でリアルタイムに把握し、グラス画面上に指示を書き込むことが可能。現場にいるかのようなきめ細かな作業指示を行うことができる。

「Optimal Second Sight」についての詳細はこちらをご確認下さい。

会社概要

柿のミズオ/株式会社パーシテック

所在地:滋賀県高島市今津町南深清水564
最寄駅:JR湖西線 近江中庄 近江今津
御担当者:水尾学様、水尾成様

URL:http://www17.plala.or.jp/kaki320/http://www.persitech.com/

設置機種:MOVERIO Pro BT-2000
導入箇所:自農園
対象物:柿の樹木、花、果実

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お知らせ

導入事例PDFに記載のエプソン販売株式会社の住所が右記の通り変更になっております。 〒160-8801 東京都新宿区新宿4-1-6 JR新宿ミライナタワー

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