ニュースリリース
2021年10月21日
セイコーエプソン株式会社

姿勢・制振制御のアプリケーションに最適なIMU『M-G370PDS0』を開発

- 短期ノイズを改善し機種ラインアップを拡充、お客様の製品選択の幅を広げます -

『M-G370PDS0』コネクター面

『M-G370PDS0』マーキング面

詳細ページ

セイコーエプソン株式会社(以下 エプソン)は、このたび高性能な6軸センサーを搭載した慣性計測ユニット(IMU*1:Inertial Measurement Unit)の新製品『M-G370PDS0』を開発、サンプル出荷を開始しました。本製品は2022年春の量産を予定しています。

2011年にエプソン初となるIMU製品を発売以来、当社IMUは、お客様のさまざまなアプリケーションに採用され、多くの実績と高い品質により、市場から好評を得ております。近年、空中・海中など無人機による映像撮影・測量など利活用分野が広がり、より正確な位置・姿勢制御のニーズが増大しています。それに伴いIMUには姿勢制御において重要とされる精度、特にノイズ性能への要求が高まっています。新製品『M-G370PDS0』は、従来品に比べ短期安定度である角度ランダムウォーク*2を半減させることに成功し0.03°/√hを実現、機器やシステムに発生するわずかな姿勢変化をセンサーノイズに埋もれさせることなく、より正確に検知することが可能となります。さらに、小型・軽量・低消費電力の特長により、お客様製品の小型化、軽量化にも貢献します。

また、従来製品(M-G370/365/364/354)と互換性を維持しているため、容易に性能のアップグレードもできます。

■新製品の特長

  • 従来の高安定に加え、低ノイズを両立した高性能センサーを搭載
    角度ランダムウォーク:0.03°/√h
    ノイズ密度:2.5(°/h)/√Hz
  • 静止状態から高速動作まで高精度に計測する優れた動的性能(感度直線性)を実現
  • 従来製品(M-G370/365/364/354)と互換性を維持し、お客様の開発コスト・評価期間を大幅に削減可能
  • 低消費電流 16mAを実現

■本製品のアプリケーション

  • 無人機(産業ドローン・地上車・海底探査 など)
  • カメラ・アンテナなどの制振制御
  • 産業機器などの振動・角度・軌道計測
  • ナビゲーションシステム(GNSS*3INS*4、高精度ロケータ)、など

【関連リンク】

製品の詳細情報は下記ウェブページをご参照ください。
www.epson.jp/prod/sensing_system/

【お客様のお問い合わせ窓口】

セイコーエプソン株式会社 MD営業部 MDプロダクトマーケティンググループ

ウェブサイト URL:www.epson.jp/prod/sensing_system/contact/

■本製品の概仕様

従来品 新製品
型番 M-G370PDF1 M-G370PDS0
検出範囲 ジャイロセンサー*5 ±450°/s ±200°/s
加速度センサー ±10G ±10G
精度・安定性 ジャイロバイアス安定性*6 0.8°/h 0.8°/h
角度ランダムウォーク 0.06°/√h 0.03°/√h
ジャイロノイズ密度 4.7(°/h)/√Hz, rms 2.5(°/h)/√Hz, rms
初期バイアス ジャイロセンサー 360°/h, σ 360°/h, σ
加速度センサー 2mG, σ 2mG, σ
インターフェース SPI/UART
出力分解能 16bit/32bit
データ出力レート ~2000sps
動作温度範囲 -40℃ ~ +85℃
消費電力 16mA(3.3V)
製品サイズ 24 x 24 x 10 mm

【用語説明】

アラン分散

センサーの性能を表す指標の一つで、静止時出力の安定性を表している。横軸にデータの平均時間、縦軸に平均時間で区切ったときの平均値の分散を示している。アラン分散に現れる特性の傾きは-1、-1/2、0、1/2、1乗の傾きになることが知られており、アラン分散はノイズ密度と相関性があり、ノイズ密度は周波数、アラン分散は時間で表現される指標である。値が小さいほど、安定度が高く、性能がよいことを示す。

  1. *1:慣性計測ユニット(Inertial Measurement Unit:通称IMU)
    3軸の角速度センサーと3軸の加速度センサーからなる慣性運動量を検出する装置
  2. *2:角度ランダムウォーク
    アラン分散の-1/2乗の傾きをもつ部分を角度ランダムウォークと呼ぶ。ホワイトノイズと相関があるため、平均時間を長くすると平均時間の-1/2乗で値は小さくなる。
  3. *3:GNSS(Global Navigation Satellite System)
    全地球測位衛星システム
  4. *4:INS(Inertial Navigation System)
    慣性航法装置
  5. *5:ジャイロ(角速度)センサー
    基準軸に対する、物体の単位時間当たりの回転角度(角速度)を検出するセンサー
  6. *6:バイアス安定性(Bias Instability)
    アラン分散で水平(0乗)の特性を表す部分をバイアス安定性と呼ぶ。1/fノイズと相関があり、センサーのポテンシャルを表す重要な指標の一つである。

M-G370S ジャイロ アラン分散(Typ.)

以上

記載されている情報は発表日現在のものです。予告なしに変更になる場合がありますので、あらかじめご了承ください。