ニュースリリース
2021年3月4日
エプソン販売株式会社

写真家・上田義彦氏の映画初監督作品「椿の庭」の公開に合わせ、エプサイトギャラリーで写真展『椿の庭』を同時開催

エプソン販売株式会社は、エプソンスクエア丸の内(東京都千代田区)のエプサイトギャラリーで2021年4月9日(金)から2021年5月12日(水)まで、写真家・上田義彦氏が初の監督作品として手掛ける映画「椿の庭」の公開に合わせ、写真展『椿の庭』を同時開催します。

■展覧会内容

これまでに数多くの広告写真を手掛け、その卓越した美学により国内外で高い評価を得ている写真家・上田義彦氏。映画「椿の庭」は、上田氏が構想から15年をかけ脚本を練り上げ、監督、撮影を手掛けた自身初となる映画作品です。

本作は穏やかな静寂に包まれた古い家で、日々を慈しみながら暮らすある家族の一年を描いた物語です。日本人が暮らしの中で育んできた美意識、そこから生み出された所作や佇まいを丁寧に捉え、上田氏ならではの陰影を伴う美しい映像で表現されています。

現在の私たちの暮らしぶりからは失われつつある、日常の中に宿る大切なものとその儚さを描いた本作は、鑑賞される方々にさまざまな気づきを与えるものとなっています。

エプサイトギャラリーの写真展『椿の庭』では、本映画で撮影されたフィルムから、上田氏にとって大切な、思い出深いシーンをセレクト。上田氏自身の中で長きに渡り培い、高めてきた「写真」という形に昇華させて表現しています。展示作品は、大判インクジェットプリンター SureColor「SC-P2005PS」で制作。映画「椿の庭」の世界を、陰影豊かな写真作品で表しています。

上田義彦氏が紡ぐもう一つの「椿の庭」の世界を、エプサイトギャラリーでお楽しみください。

■写真展『椿の庭』開催概要

  • 会期:2021年4月9日(金)‐ 2021年5月12日(水)
  • 場所:エプソンスクエア丸の内 エプサイトギャラリー
    (東京都千代田区丸の内3-4-1新国際ビル1F)
  • 時間:11:00~17:00
  • 休館:日曜日
    ※会期中の祝日、4月29日(木)、5月3日(月)、5月4日(火)、5月5日(水)は開館しています。
    ※状況により会期・開催時間を変更する場合があります。ご了承ください。

展覧会の詳細は、以下ホームページでご確認願います。
www.epson.jp/showroom/marunouchi/epsite/gallery/exhibitions/2021/0409/

■作家コメント

『椿の庭』写真展に寄せて

家には、そこに住んでいた人々の記憶が、ありとあらゆる場所や物に宿っていて、そこに佇めば、長いあいだすっかり忘れてしまっていた、とても些細な、意味ももたない様な自分だけの小さな記憶が、突然鮮明に浮かび上がってきたりすることがあります。家には、そこに住んでいた家族の記憶が宿っている。そして、そんな家がある日取り壊されてしまったとしたら。そこに宿っていたはずの家族のそれぞれの記憶は、壊されてゆく家とともに、残酷に消えてゆき、そしてもう誰にもその記憶を思い出すことは出来なくなってしまうのです。

家というものは、住むということだけではなく、そこに住んでいた人々の記憶を宿す装置なのだということを描きたかった。そしてこの映画にはもう一つ、日本人の日々の生活の中に自然にあったはずの美意識、そこから表れてくる人々の所作や居住まい、佇まいといったことも、風土に根ざして創られた日本の家の構造がもたらしたものであり、日本人の根底にある独特の佇まいは、そこから来たものも少なからずあると思います。

風土に根ざして創られ、育まれてきた昔の日本の家の佇まいと、そこに暮らす人々の、世界に対する対峙の仕方や態度を表す居住まいや所作を通して、やはり日本という国は美しい、ということ、そしてそこに日々暮らす人々の暮らしが美しいということを描きたかった。そして、そんな家が、現在の我々日本人の暮らしぶりからは、ただ古くさく、薄暗い、ということや、当然他にも相続税の問題や家を継ぐ人がいないという問題など、理由は複雑であるということは承知ながら、日々どこかで美しい日本の家が壊されているのだということも想像して欲しかった。

この映画を見たことで、そんな家が一軒でも壊されることをまぬがれる事が出来たら、美しい日本の風景を永く次の人々に渡してゆけるとの想いからでもありました。

このことは、そのまま他のアジアの国々や、世界のどの国においてもまた同じ事が言えるように思うのです。

上田義彦

■上田義彦氏プロフィール

©HIRAOKA SHOKO

写真家/多摩美術大学グラフィックデザイン学科教授

1957年兵庫県生まれ。日本写真協会作家賞、東京ADC賞、ニューヨークADC賞など、
国内外のさまざまな賞を受賞。2011年にGallery 916を主宰。

代表作に、ネイティブアメリカンの聖なる森を捉えた「QUINAULT」、前衛舞踏家・天児牛大のポートレート集「AMAGATSU」、自身の家族にカメラを向けた「at Home」、生命の源をテーマにした「Materia」シリーズ、30有余年の活動を集大成した「A Life with Camera」など。近著には、Quinault・屋久島・奈良春日大社の3つの原生林を撮り下ろした「FOREST 印象と記憶 1989-2017」、一枚の白い紙に落ちる光と影の記憶「68TH STREET」、「林檎の木」などがある。

2019年、映画「椿の庭」を監督・脚本・撮影。2021年4月9日(金)より全国で順次公開。

■上田義彦初映画監督作品「椿の庭」

監督・脚本・撮影 上田義彦

2021年4月9日(金)より シネスイッチ銀座ほか全国で順次公開

出演(敬称略):
富司純子 沈 恩敬(シム・ウンギョン)田辺誠一 清水紘治 / 張 震(チャン・チェン)/ 鈴木京香

第42回モスクワ国際映画祭 正式出品

第2回江陵国際映画祭 オープニング作品

http://www.bitters.co.jp/tsubaki/

以上

記載されている情報は発表日現在のものです。予告なしに変更になる場合がありますので、あらかじめご了承ください。