ニュースリリース
2020年6月30日
セイコーエプソン株式会社

ブザーでも音声再生が可能となる専用ハードウエア搭載の32ビットマイコン『S1C31D51』を開発

Arm®Cortex®-M0+プロセッサー搭載、住宅設備や家電製品の音声再生に最適 –


『S1C31D51』(パッケージタイプ:P-TQFP048-0707-0.50, P-LQFP100-1414-0.50)

製品ページ

セイコーエプソン株式会社(以下エプソン)は、スピーカーに加えブザーでも音声再生が可能となる音声再生専用ハードウエアを搭載した32ビットArm®Cortex®-M0+マイコン『S1C31D51』を開発、このたびサンプル出荷を開始しました。月産20万個を予定しており、サンプル価格は、パッケージがP-LQFP100-1414-0.50タイプで1,050円(税別)です。

現在、住宅において給湯器リモコン、家電製品などの音声を使った設備が普及しているほか、健康機器のガイド、オフィスビルや商業施設、工場においても、音声を使った警報機などの活用が進んでいます。本製品は、これらの音声再生を行う住宅設備・家電製品・健康機器、産業用機器に最適なマイコンです。

通常ブザーでは十分な音声品質・音圧を得られませんが、新開発のアルゴリズムにより、これまでスピーカーが搭載できず音声ガイダンスができなかった機器についても、ブザーでの音声再生機能により、エラー、警告内容などが発信可能となり、エンドユーザーにとってユーザビリティーが向上します。

従来モデル「S1C31D50」同様、汎用性の高いArm®Cortex®-M0+プロセッサーに、音声再生専用の回路を搭載し、1チップで2チャンネルの音声再生機能を実現しました。また、2チャンネルミキシング機能を使うことで、バックグラウンドミュージックと音声を同時に再生するなど、高級感や温かみのある音声案内を行うことができます。そして、音声速度の調整も柔軟に行えます。

本製品の音声再生を行う専用ハードウエア「HW Processor」には特長が2つあります。第一に、音声再生を「HW Processor」単独で実行でき、CPUリソースを必要としません。そのため、音声再生中もCPU処理をフル実行できます。また、高圧縮アルゴリズムの採用により、音声データのメモリサイズを縮小でき、多くの種類の音声データや、複数言語に対応した音声データが搭載できます。加えて、音声データの開発環境として音声作成用のPCツールも提供しており、本ツールを使用することで、スタジオ録音をせず、多言語の音声データが簡単に作成でき、また、すでにお持ちのwavデータも使用できます。

第二に、メモリ自己診断機能を有しており、CPUリソースなしで内蔵RAM、内蔵Flash、外付けQSPI-Flashの故障を検知できます。

エプソンは、省エネルギー、小型化、高精度を実現する「省・小・精の技術」により、お客様の製品のさらなる性能向上に貢献してまいります。

■本製品の特長

1.多彩な音声再生手段

  • 電磁ブザー※1、圧電ブザー、スピーカーによる音声再生が可能

    ※1 評価ボードにTDK株式会社製の電磁ブザーと圧電ブザーを同梱しておりますので、評価ボード購入後プリセットデモと合わせてすぐに試聴が可能です。

2.専用ハードウエアブロック「HW Processor」により、各種機能がCPUリソースなしで実行可能

  • 多彩な音声再生機能
    • 2chミキシング音声再生(バックグラウンドミュージック + 音声再生可能)
    • 話速変換機能(75% - 125%, 5%ステップ)
    • 音声だけでなく、バックグラウンドミュージックなどにも十分なサンプリング周波数:15.625kHz
    • 高音質高圧縮音声デコードアルゴリズム搭載(16/24/32/40kbps)
  • メモリ自己診断機能
    • 内蔵RAM(R/Wチェック、MARCH-C START)
    • 内蔵Flash Checksum、CRC
    • 外付けQSPI-Flash Checksum、CRC
  • シンプルなHW Processor制御インターフェース
    • 専用レジスタに、Function、Commandをセットして、スタートをかけるのみで実行

3.エプソン音声作成PCツールにより、簡単に音声作成が可能

  • スタジオ録音不要で、PCツールのみで音声データ作成可能(下記言語に対応)
    • アメリカ地域言語:アメリカ英語、アメリカン・スパニッシュ、カナディアン・フレンチ
    • ヨーロッパ地域言語:イギリス英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、イタリア語、ロシア語
    • アジア地域言語:日本語、中国語、韓国語
  • PCツール上の音声番号を、HW Processor制御用レジスタへ指定することで音声再生が可能であるため、音声データの接続などのコードの作成・評価が不要に
  • お手持ちの音声データ(wavフォーマット)を、簡単にPCツール内へ取り込み可能

■本製品の概仕様

製品型番 S1C31D51
CPUコア 32ビットRISCプロセッサーArm®Cortex®-M0+
フラッシュメモリー容量 192Kバイト(Program、音声データ共用)
RAM容量 10Kバイト(音声非再生時は22Kバイト)
HW Processor 音声再生機能(エプソン独自フォーマット、サンプリング周波数:15.625kHz、2chミキシング機能、話速変換機能)
メモリ自己診断機能(内蔵Flash、内蔵RAM、外付けQSPI-Flash)
Sound DAC サンプリング周波数:15.625kHz、モノラル
シリアルインターフェース UART:3ch / SPI:3ch / I²C:3ch / QSPI : 1ch
A/D変換器 Max 入力8本(12ビット逐次比較型)
電源電圧検出回路 32level(1.7~4.3V)
DMA 4ch(Memory ⇔ Memory、Memory ⇔ Peripheral)
RFC 1ch 抵抗型センサA/D変換、CR発振24ビットカウンタ
赤外線リモートコントローラー 1ch(応用としてELランプ駆動波形を生成可能)
タイマー 16bit Timer(8ch)、16bit PWM(2ch)、 WDT、RTC
メイン動作電圧 動作保証電圧範囲:1.8~5.5V
SPI-Flash I/F電圧 3.3V(3.0 ~ 3.6V)
動作周波数 16MHz(VD1電圧モード:mode0)
1.8MHz(VD1電圧モード:mode1)
消費電流※2 RUN:243uA/MHz(VD1電圧モード:mode0)
RUN:155uA/1MHz(VD1電圧モード:mode1)
SLEEP:0.46uA、RTC mode:0.95uA
I/O(入出力ポート数) max 91本
うちUPMUX(ユニバーサル・ポート・マルチプレクサ)max 32本
パッケージ P-TQFP048-0707-0.50(端子ピッチ0.5mm)
P-LQFP064-1010-0.50(端子ピッチ0.5mm)
P-TQFP080-1212-0.50(端子ピッチ0.5mm)
P-LQFP100-1414-0.50(端子ピッチ0.5mm)

※2 環境が標準値、Sleepモード、RTCA=ON、25℃において

ArmおよびCortexは、Arm Limited(またはその子会社)のUSまたはその他の国における登録商標です。

【関連リンク】

製品の詳細情報は下記ウェブページをご参照ください。
www.epson.jp/prod/semicon/products/micro_controller/armcore/

『S1C31D51』のデモンストレーション動画は、下記ウェブページをご参照ください。
https://youtu.be/-g6ihlJuSIU

【お客様のお問い合わせ窓口】

セイコーエプソン株式会社 デバイス営業部 デバイス国内営業グループ
ウェブサイト URL:www.epson.jp/prod/semicon/information/support.htm

以上

記載されている情報は発表日現在のものです。予告なしに変更になる場合がありますので、あらかじめご了承ください。