スナップ写真のプロ鈴木知子に聞く2:
モノクロの作品性を高める方法

「鈴木先生、モノクロプリントの品定めができるようになりたいです」

スナップ写真のプロ鈴木知子に聞く2:モノクロの作品性を高める方法

スナップ写真のプロ鈴木知子に聞く2:
モノクロの作品性を高める方法

「鈴木先生、モノクロプリントの品定めができるようになりたいです」

後半はプリントに関しての解説を紹介したいのですが、鈴木さんのモノクロ撮影講義は盛りだくさんで、前半だけでは終わりませんでした。そこで、前半に説明できなかったモノクロ写真の作品性を高める方法と、モノクロプリントの作り方やチェックの仕方を紹介します。前半同様に、盛りだくさんの内容です。(TEXT:桐生彩希)

鈴木知子(すずきともこ)

神奈川県横浜市出身。東京工芸大学短期大学部卒業後、広告撮影プロダクションに入社。写真家、柳瀬桐人氏(他)のアシスタント経験後、コマーシャルフォトを中心に活動。現在フリーランスとして地元横浜に事務所を構え、カメラ片手に日々奮闘中。近年は雑誌への作品提供やフォトコンテストの審査、セミナー講師、写真ハウツー書籍の執筆も行なっている。

鈴木知子(すずきともこ)
井上純子(いのうえじゅんこ)

スナップやペットの写真を撮影しているGANREFユーザー。エプソンの染料インクプリンターを所有し、普段からプリントを楽しんでいる。目標としているのは、「飾れる写真」を撮ること。モノクロを撮ることが少なく、きちんと勉強したいとの思いから今回の企画に参加。

井上純子(いのうえじゅんこ)

01今回は「モノクロ写真の教科書」

コントラストとは、ハイライトとシャドウの明暗の差のことです。白から黒で表現されるモノクロ写真ではダイレクトに作品性に関わってくるため、カラー写真よりも気を使って設定するべきだと鈴木さんは注意を促します。

鈴木:撮影時におけるコントラストの調整は、構図や露出などの調整を行った後、つまり、最終段階で行なうようにします。露出の違いで白や黒の見え方が変化するため、先にコントラストを変えると二度手間になってしまうためです。
コントラストの設定に戸惑う井上さん
コントラストの設定に戸惑う井上さん。鈴木さんがすかさず助け舟を出す。1対1の講義はとても丁寧に、分かりやすく進行していく。
鈴木さんが提案するモノクロ撮影におけるコントラスト設定のコツは、カラーで撮るときよりも少し強めにすること。それにより、見せたい部分が強調できる上、階調が豊かな画が作れる傾向があるといいます。

そういえば、前半で紹介している「【撮影のポイント1】光と影」のところで、明暗差のあるシーンを探して主題にハイライトを含める、と解説していました。つまり、コントラストを強くして明暗差をより強調すると、ハイライト(目を惹く部分)もまた着目されやすくなるということです。
鈴木:コントラストで質感の変化もコントロールできます。コントラストが弱いとやわらかい感じで、強いと硬い感じになる。パキっとした、ちょっと強めの印象にするときも、コントラストを強めると効果的です。
(注)以下の作品はすべて鈴木知子さんが撮影
モノクロにおいては、質感のコントロールもコントラストの役目
モノクロにおいては、質感のコントロールもコントラストの役目。コントラストが強くなるほど硬くて力強い印象になる。
また、コントラストによって写真から伝わる温度感や空気感が変化する、という話はとても興味深いものでした。たとえば、冷たい飲み物を撮影した場合、コントラストが強いほうが冷たく見えたりするとのこと。
コントラストで伝わる温度感が変わる例
コントラストで伝わる温度感が変わる例。コントラストの強い写真は、透明感があるためか冷たく感じる。
色のないモノクロ写真だからこそ、コントラストの変化で生じる感じ方の違いを意識して設定するべき。それにより作品性が高くなる。これが、鈴木さん流のモノクロにおけるコントラストの考え方といえます。

02フィルター効果で色別に
コントラストを調整

モノクロ撮影において、「コントラスト」とは異なる方法で明暗差を作り出す機能があります。それが、一般的に「フィルター効果」と呼ばれるものです。
鈴木:被写体の色によってモノクロになるときの濃淡を変え、コントラストを調整する機能です。「レッド」や「グリーン」などの色が用意されていて、選んだ色によってコントラストの強弱が変わります。銀塩カメラの時代に白黒写真用カラーフィルターといわれるものが使われていて、それを模した機能が「フィルター効果」です。

ただしこの機能、鈴木さんと井上さんが使っているソニーのα7 IIIには未搭載とのこと。この機能が搭載されているカメラも多いし、RAW現像ソフトのモノクロ化機能でも使うことができるということで解説してくれました。
カメラに搭載された「フィルター効果」の一例
カメラに搭載された「フィルター効果」の一例。モノクロを撮影する際に、フィルターの色を変えることでコントラストの調整が行える。
鈴木:なぜモノクロなのにカラーフィルターなのというと、被写体に色を重ねてモノクロ化すると、一部の色を濃くしたりということが可能になるからです。たとえば、風景写真で空の明るさを抑えてより濃く表現したい場面に、レッドのフィルターを使います。

フィルター効果の考え方としては、選んだフィルターと同系色の色が明るいトーン、補色の色が暗いトーンになります。具体的には、レッドフィルターを選ぶと赤が白っぽい色になり、補色のシアンや補色に近いブルーなどは黒っぽくなるということです。

そのため、ハイライトとシャドウの明暗差を変えるコントラストとは別のアプローチで、モノクロのコントラストが変えられるようになります。
左がフィルター効果を「なし」、右が「レッド」で撮影したモノクロ写真
左がフィルター効果を「なし」、右が「レッド」で撮影したモノクロ写真。空の色に着目すると、レッドフィルターを使った写真では青い色が暗く写っているのが分かる。

03調色で伝えたい印象を表現する

モノクロ写真の撮影講義もいよいよ大詰め。残すは、積極的に印象を変えるための考え方です。これは、撮影のときに使うだけでなく、撮影後のRAW現像やレタッチ、プリント時の加工でも参考になる考え方です。

話しは逸れますが、講義が始まってここまでが1時間ほど。参加者の井上さんは、終始、真剣な面持ちで鈴木さんの話しに耳を傾けています。取材陣としては笑顔のシーンが欲しいところなのですが、それすらリクエストできない、緊迫の雰囲気です。
井上さんの表情から、鈴木さんの技術を漏らさず学びたいという気迫が窺える
井上さんの表情から、鈴木さんの技術を漏らさず学びたいという気迫が窺える。その様子に、プロの写真家がひとりのために講義を行うという、とても贅沢な時間なのだと改めて実感。
鈴木:カメラのモノクロ関連の機能の中に、「調色」というものがあります。ソニーのα7 IIIは「クリエイティブスタイル」に「セピア」というものが1種類だけ入っていますが、ほかのカメラやRAW現像ソフトなどでは、「青」や「紫」「緑」などが選べることもあります。調色すると、モノクロ写真の色が変わるというか、モノトーンになるのですが、モノクロをセピアにすることによってノスタルジックとか、レトロなイメージが強くなります。
モノクロ(左上)写真と、セピア(右上)、青(左下)、紫(右下)のモノトーンの比較
モノクロ(左上)写真と、セピア(右上)、青(左下)、紫(右下)のモノトーンの比較。クールなイメージにするなら青、モダンな印象なら紫のモノトーンが向いているという。
そして、さらに踏み込んだモノクロ写真を作り込む手法として紹介してくれたのが、エフェクト系の機能です。コントラストの調整やフィルター効果では作り出せない、非常に個性的なモノクロ作品が作れます。

今回の講座では、エフェクト系機能の具体的な解説は割愛しましたが、鈴木さんと井上さんがお使いのα7 IIIでは、「ピクチャーエフェクト」機能の中に「ハイコントラストモノクロ」や「リッチトーンモノクロ」が搭載されているとのこと。前者は明暗を強調することで緊張感のあるモノクロ作品になり、後者は階調豊かでディテールが美しく再現されたモノクロになります。
鈴木:「ハイコントラストモノクロ」は、たとえば工場夜景とか、都市風景とか、わりとこう、硬質でパキッとしたクールな画を撮りたいなんてときに楽しめる機能です。

(注)YouTube™のサービスを使って提供しています。

鈴木さんが提案する、モノクロの作品性を高める機能や考え方。モノクロの基本をマスターしたら実践したいテクニックだ。
ちなみに鈴木さんは、写真の保存形式を「RAW+JPEG」にセットしていました。この場合、JPEGはモノクロで保存されますが、RAWはカラーの状態で保存されます。つまり、カラー写真として使ったり、必要に応じてRAW現像でモノクロ化することもできるというわけです。

04色が転ばないプリンターが必要です

撮影編の講義も終了し、暫しの休憩を挟んだら、プリント編の開始です。
使用するプリンターは、Epson Proselectionの最新機種である「SC-PX1V」(以下、「PX1V」)。前回登場した吉村さんは、「PX1V」の特徴のひとつでもある「ディープブルー」インクの美しさ、それによる作品性の高さに驚いていましたが、「PX1V」には「グレー」と「ライトグレー」のインクも搭載されています。つまり、モノクロ作品もかなり期待がもてるはず。
作品の制作に使用するのは、UltraChrome K3Xインクを搭載した9色顔料インクのA3ノビ対応機「SC-PX1V」
作品の制作に使用するのは、UltraChrome K3Xインクを搭載した9色顔料インクのA3ノビ対応機「SC-PX1V」。カラーの色彩もすごいが、グレー系のインクによるモノクロのクオリティも高い。
実は、講義が始まる前のテストプリントで作品の出力を行ったのですが、その段階で鈴木さんからは「なにもしなくてもきれい」とのお言葉が。「きちんと撮影したモノクロ写真」なら、“普通”に出力するだけで十分とお墨付きが出てしまいました。

つまり、用紙のプロファイルとか、プリンタードライバ(プリンターのプロパティ画面)で画質の設定を追い込んだりとか、そのようなことをしなくても、「プリンター任せの設定」で作品が作れるクオリティにあるということです。
テストプリント時のワンシーン
テストプリント時のワンシーン。さまざまに設定を変えて十数枚のプリントを作った結果、鈴木さんが下した判断は――。「普通にプリントしても個展で展示できるレベルです」。
テストプリントを見た井上さんも、「作品として展示できそう」と驚きを隠せません。

おそらく、井上さんとしてはプロの写真家が試行錯誤して作品をプリントする過程、およびそのノウハウが知りたかったはずです。でも実際はというと、取材直前の準備で慌ただしい中、進行を打ち合わせながら片手間に作ったプリントが「作品」として出来上がってしまったわけです。唖然とするのはもっともだと思います。

もちろん、プリントの設定を追い込めば、さらなるクオリティが得られるはずです。それだけの潜在能力はあると鈴木さんも感じ取っているようでした。ニュアンスとしては、ここから先は個々の作品に特化した調整になるので、本当に必要なら作り込むのもアリですよ、という感じです。

そして、鈴木さんが考える「モノクロ用のプリンター」として、譲歩できない点も教えてくれました。それが、「純粋なモノクロ」が作れるかどうかです。
鈴木:変に色が転ばなくて、純粋なグレー、つまりニュートラルグレーでプリントが作れること。これが大切です。色が転ぶと、狙う仕上がりにならない。プリンターの中には思いどおりに出力できないものも多くて、そういった意味では、自分の意図がストレートに再現できるというのは安心感があるし、ストレスがたまらない。「ああ、また違う」ってプリントし直すのは、本当に時間のロスだし、集中力にも関わってくるので。

05「PX1V」でモノクロ作品を作る
ポイント

今回、鈴木さんが用いたプリント方法は、Adobe® Photoshop® のプリント機能から出力するというもの。少し詳しく紹介しておくと、Photoshop® の「プリント設定」の画面で「プリンターによるカラー管理」を選択し、プリンターのプロパティ画面で使用する用紙を指定、「カラー」の設定を「モノクロ」にして制作しています。

ポイントとしては、プリントする写真(データ)が既にモノクロになっていても、プリンターのプロパティ画面で「モノクロ」に設定する点。これにより、色転びのない「純黒調」にしたり、「冷黒調」や「セピア」などに調色することが可能になります。
プリンターのプロパティ画面で、「カラー」を「モノクロ」に設定する
プリンターのプロパティ画面で、「カラー」を「モノクロ」に設定する。これにより、色転びのないモノクロプリントが作れるようになる。調色に関しては、「色補正」から選択すればOK。
鈴木:「PX1V」はモノクロがきれい。画質がすごくいいのが分かる。変な色が被ってなくて、ニュートラルな純黒調が簡単に作れる。多くのプリンターは、カラーインクを混ぜ合わせてグレーを表現するため色が転びやすいのですが、グレー系のインクがあることで、調色しても色が崩れませんね。
井上:調色って何ですか?
鈴木:撮影の講義のときに紹介した青とか紫とはまたちょっと違う、「冷黒調」や「温黒調」という、少しこう、ウォームトーンとかクールトーンとか、そういった調色ができるんです。
井上:Photoshop® の中にそのような機能があるということですか?
鈴木:いえ、「PX1V」の中にあります。プリンターのドライバーの中にモノクロを調色する機能が入っていて、それを選択すると、ニュートラルなモノクロや、少し暖かみのあるモノクロ、というプリントが作れます。そういうことができるから、ちょっとイメージを変えたいなと思ったとき、わざわざデータを現像し直したりせず、プリントの設定を変更するだけですぐできます。
テーブルに作品を並べ、質感や色調をチェック
テーブルに作品を並べ、質感や色調をチェック。「純黒調」「冷黒調」「温黒調」の作品を出力し、明るい部分、中間調、暗い部分に対して、色の転びや崩れをチェックしていく。
調色に関しては、カメラで撮影するときに設定したり、RAW現像ソフトやレタッチソフトでモノクロ化するときに行うことができますが、これらで調色するものと、「PX1V」の調色機能とでは、仕上がりの印象が異なると鈴木さんはいいます。今回の作品に限っては、「PX1V」の調色機能のほうが好みのようでした。
鈴木:この写真(下)は夕焼け空をモノクロ化したものです。画として少しもの足りなさを感じていたんだけど、プリントしたらすごくよくてビックリしたという一枚。これは「セピア」に調色しているんですが、「PX1V」のセピア、なんともいえないノスタルジックな雰囲気で、本当によく出ているなと思います。
夕焼け空の観覧車を、「セピア」に調色してプリントした作品
夕焼け空の観覧車を、「セピア」に調色してプリントした作品。使用している用紙は、ファインアート向けの高性能なマット紙「Velvet Fine Art Paper」。

06ハイライトとシャドウの
階調をチェックする

「PX1V」とモノクロ写真の相性のよさや、プリントを作る設定は分かりました。となると、気になるのは仕上がりのよしあしを判断する方法です。

「PX1V」で作るモノクロプリントはとても高品位なため、多少の粗は隠れてしまいます。それを見つけ出して、もっとよい作品を作るためにはどうすればよいのか、鈴木さんが教えてくれました。
鈴木:まず、全体のトーンが自分のイメージとかけ離れていないかをチェックします。それから、ハイライトとシャドウの階調。ハイライトの明るい部分やシャドウの暗い部分は、テクスチャ(繊細な濃淡)がつぶれてしまいがちです。それではよろしくないので、そういったところがしっかりと表現できているかどうかを確認してください。
プリントを作ったら、とくに確認したいのがハイライト(指で示した部分)と、シャドウ(左上付近)の階調
プリントを作ったら、とくに確認したいのがハイライト(指で示した部分)と、シャドウ(左上付近)の階調。画質のよくないプリンターは、この部分が上手く出せないという。
「PX1V」のプリントは、写真(データ)に忠実です。もし、ハイライトやシャドウの階調が足りないのだとしたら、それは写真が原因の可能性があります。つまり、RAW現像などで明るさやコントラストを補正すれば改善できるかもしれない、ということです。

「PCの画面で確認したつもりでも、プリントして見えてくるものはすごく多い」と鈴木さんは語ります。ハイライトやシャドウの質感もそうですが、モニターの解像度では繊細な描写が分かりにくかったり、拡大表示して詳細にチェックすると全体の様子が把握できなかったりと、写真全体を完璧にチェックするのは難しいものです。その点、高精細で高品位に出力されたプリントなら、微細な変化も見逃さずにチェックできるというわけです。

ちなみに、今回のプリントは、光沢系の用紙「写真用紙クリスピア<高光沢>」をメインに使用し、一部の作品をマット系のアート紙である「Velvet Fine Art Paper」と、「写真用紙<絹目調>」で作成しました。

作業手順としては、まずは「写真用紙クリスピア<高光沢>」を使い、「純黒調」や「冷黒調」など写真に似合いそうなトーンでプリントを作ります。その中から、マットは仕上がりが似合いそうな作品に対して、「Velvet Fine Art Paper」で出力しました。

「Velvet Fine Art Paper」は高価で高性能な用紙なので、「クリスピア」で試してから本番の作品制作に移行したと思いがちですが、そうではありません。要は、作品の内容や、表現したいイメージに合わせて使い分けているということです。
鈴木:光沢紙の「写真用紙クリスピア<高光沢>」は、白色度が高いのでメリハリやコントラストがあって、黒の締まりがすごく美しい。対してアート紙の「Velvet Fine Art Paper」は、ウォーム系の落ち着いた紙白で、光沢紙とは違ったテクスチャ(紙表面の表情)があります。そして、マットな質感が実にいい。こういうテクスチャのある紙は、光沢紙とは異なる風合いが出てくるのが魅力です。
「Velvet Fine Art Paper」に出力した作品
「Velvet Fine Art Paper」に出力した作品。「テクスチャがあるけど画の邪魔をしていなくて、マットな質感が実にいい」とかなりの高評価。
鈴木さんと井上さんは、今回使用したプリント用紙の中では「Velvet Fine Art Paper」が気に入った様子でした。紙の色はほんのりとしたクリーム色で、程よく腰があり、サラサラとしたソフトな手触り。そして、表面には微細な凹凸があります。触れているとなぜかぬくもりを感じる、「Velvet Fine Art Paper」はそんなマット紙です。

艶々でツルツルな純白の光沢紙とは一線を画す「Velvet Fine Art Paper」の風合いは、独特の存在感があります。紙自体に“力”があるのですから、作品のプリントにも最適というわけです。そして、「Velvet Fine Art Paper」のような個性的な用紙が活かせるのも、「PX1V」の画質が高いからということでした。

そんな「Velvet Fine Art Paper」の魅力を語り合いながら、鈴木さんのモノクロ講座は終了です。

(注)YouTube™のサービスを使って提供しています。

光沢紙、マット紙、そして純黒調から調色したモノトーンプリントまで、あらゆる状況に置いて「PX1V」のモノクロのクオリティはとても高い。

07取材後記

モノクロ写真やプリントを語るとき、鈴木さんは常に「テクスチャ」について触れていました。撮影のときは、被写体にテクスチャのあるものを撮る。プリントのときは、紙にテクスチャがあるときは余白を広めに作ると芸術性が上がる、というように。

モノクロ作品において、「テクスチャ」がキーワードであることは確かなようです。テクスチャを上手に扱えれば、撮影もプリントもクオリティが向上する。鈴木さんの講義から、そんなメッセージを受け取った気がします。

鈴木さんのモノクロ講座はとても濃密で、たったひとりの生徒に向けた特別なものでした。その贅沢な講義を追体験してみたい方のために、記事では触れられなかった解説も含めた総集編を用意しました。モノクロ写真に取り組みたいのなら、必見の内容です。

スナップ写真のプロ鈴木知子に聞く:総集編&番外編動画
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