導入事例 調布市役所 様

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調布市役所様
導入製品:BT-350

聴覚障害者も楽しめる“映画のまち”を推進。
全国初、字幕対応スマートグラスの無償貸出を支援。

導入モデル MOVERIO BT-350

「MOVERIO」は、メガネのようにかけるだけで、いつでもどこでも、目の前に映像や画像、文字情報が現れて様々なコンテンツを楽しめる。大画面の映像を視聴できるほか、両眼シースルーなので、観賞しているコンテンツに字幕を重ねて見ることも可能。また、街並みや史跡などに昔の様子や解説を重ねて映し出すことで、AR(拡張現実)ガイドツアーを行っている事例もある。アイデアしだいで、公共の場でのエンターテインメントや観光にまったく新しい魅力をもたらす新感覚のメガネである。

集積した映画の資源を活用

昭和初期から映画の撮影所が次々と設立され、昭和年代に大映、日活、中央映画撮影所で映画が制作された東京都調布市は、「東洋のハリウッド」と称された。現在も、日活調布撮影所や角川大映スタジオをはじめ、多くの映画関連企業が集積している。その「映画・映像」という地域資源を活用して取り組んでいるのが、「映画のまち調布」である。「映画・映像関連企業と連携し、映画・映像を楽しみ、つくり、学ぶ事業として、ワークショップやフィルムコンテストなどを行っています。各世代に合わせた企画で、幅広い年齢層に映画・映像の魅力を伝えているのが特徴です」と産業振興課係長の照沼洋平さん。2017年9月にはシネマコンプレックスの映画館「イオンシネマシアタス調布」がオープンし、同館と連携した取り組みにも力を入れていると話す。
その一環として取り組んでいるのが、シアタス調布での聴覚障害者向けバリアフリー字幕表示のための端末(スマートグラス)の無償貸出である。18年5月25日~7月12日の試行期間を経て、19年3月10日からサービスを開始した。

映像のバリアフリー化

「調布市の取り組みが、全国自治体のモデルケースとして広がってほしい」と話すMASC理事の川野浩二さん。

「調布市の取り組みが、全国自治体の
モデルケースとして広がってほしい」と
話すMASC理事の川野浩二さん。

スマートグラスの無償貸出サービスは、シアタス調布が実施主体となり、調布市や全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)、NPO法人メディア・アクセス・サポートセンター(MASC)などの連携・協力で進めている。中でも、MASCが取り組みを後押ししたという。
MASCは、すべての人が映像作品に不自由なくアクセスできる社会の実現を目的に、映画業界団体や情報提供サービス機関、視聴覚障害当事者団体によって年9月に設立された。映像のバリアフリー化に向けて、聴覚障害者用字幕や視覚障害者用音声ガイドの台本等のアーカイブの設立・運営などを行っている。「私たちの活動は、邦画に字幕を入れてほしいという、耳が不自由な映画ファンの声から始まりました。年から携帯端末で字幕が見られる実験を開始。メガネ型端末が開発されてからは実用性が一気に高まって、字幕配信も100作品を超えています」とMASC理事で事務局長の川野浩二さんは説明する。
字幕が見られる端末は、エプソン販売株式会社が販売している両眼シースルー・スマートグラスの「MOVERIO(モベリオ)」。メガネのようにかけると、グラスの内側に投影された映像や文字情報などを現実の視界に重ねて見ることができる。
字幕は「UDCast」という携帯端末等の専用アプリによって映画の音声に同期して配信される仕組みになっており、「モベリオ」を通して字幕配信対応作品を観ると、グラスの内側に字幕が表示される。独自に企画された字幕付き作品の上映会などに限られていた聴覚障害者の映画観賞の機会は広がり、字幕配信の作品であれば上映スケジュールに合わせて自由に楽しめるようになった。

端末購入費補助金を予算化

連携して「映画のまち調布」を推進する障害福祉課主任の山口剛史さん、主事の深谷恵抄さん、産業振興課係長の照沼洋平さん、主任の杉村勇輔さん(左から)。

連携して「映画のまち調布」を推進する障害福祉課主任の
山口剛史さん、主事の深谷恵抄さん、産業振興課係長の
照沼洋平さん、主任の杉村勇輔さん(左から)。

事業開始に向けて、市はシアタス調布が無償貸出する「モベリオ」の購入費補助金を予算化。その補助金でシアタス調布が2台を購入し、全興連からレンタルした5台を加えた計7台を貸し出している。 「市は、16年4月1日の障害者差別解消法施行以降、差別解消に向けた合理的配慮に取り組んでいます。聴覚障害者の映画鑑賞機会を広げる映像のバリアフリー化はその取り組みに合致していたことから、障害福祉課の補助金として予算化しました」と障害福祉課主任の山口剛史さん。
試行期間中、利用者からは、「使いやすく、字幕が視界の上に重ねて表示されるので、ストレスなく作品を楽しめた」「話題作が観られたことが何よりもうれしかった」「字幕メガネが普及して、いつでも観られるようになればいい」という声が寄せられ、反響は大きかったと話す。
利用は事前予約制で、シアタス調布のホームページで字幕配信対応の作品と上映時間を確認して予約ページや同館窓口で申し込む。利用促進に向けて市は、調布市聴覚障害者協会を通じて周知し、市や観光協会のホームページでも広報している。「ネット環境が整っていない市民に対しては、市役所や図書館、公民館等にシアタス調布の上映スケジュールを掲出しています。障害福祉課とも連携して利用促進に努めたい」と産業振興課主任の杉村勇輔さん。
また、障害福祉課主事の深谷恵抄さんは、「サービス開始後は毎月3~8件の利用があります。今年度も購入費補助金を予算化しており、2~3台購入してもらうことをシアタス調布側と協議しています」と話す。

全国自治体のモデルに

現在、字幕対応スマートグラスを無償で貸し出している映画館は、首都圏ではシアタス調布を含めて3館、大阪で1館にとどまっている。「字幕配信を知ってもらい、スマートグラスを普及させる必要があります。家族に聴覚障害者がいても、スマートグラスによってみんなで映画が楽しめたという喜びの声も届いており、それらを発信して普及促進を図りたい。映画館と連携した調布市の取り組みは自治体初で、モデルケースとして全国へ広がればと思います」と川野さんは期待を寄せる。
そして次の展開として、多言語対応をめざしているという。 「外国人観光客などに邦画の最新作を楽しんでもらえるようになれば、対応する映画館は広がるでしょう。当面の目標は100館」と話す。 多言語対応サービスが始まれば、誰でも楽しめる「映画のまち調布」はさらに前進するに違いない。

出典:月刊「ガバナンス」2019年9月号(ぎょうせい)

導入先概要

調布市役所

所在地:東京都調布市小島町2丁目35番地1
最寄駅:京王線調布駅
御担当者:【健康福祉課】山口剛史様、深谷恵抄様 【産業振興課】照沼洋平様、杉村勇輔様
導入機種:MOVERIO BT-350
導入箇所:イオンシネマシアタス調布
URL:https://www.city.chofu.tokyo.jp/


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