極める!プリントテクニック講座

第11回 プリンターを使いこなす〈PX-7V編〉

イメージに合わせて印刷モードを使い分けましょう

プロセス2 イメージに合わせて印刷モードを使い分けましょう

印刷モードの使い分け イメージ通りにプリントするための方法を把握する

写真の色合いを調整して鮮やかさを際立たせたり、色の深みを強調したりして、作品を作り上げていくのもプリントの楽しみのひとつ。PX-7Vには新しいインクに最適化された印刷モードが搭載されており、適切なものを選ぶだけで簡単にイメージ通りの仕上がりを得ることができます。
ここでは、そのテクノロジーの基本知識と使いこなすための方法を紹介していきましょう。

ブルーインクとオレンジインクで広がる色再現領域

インク構成

PX-7V の色空間

PX-7V は、PX-G5100 で採用されたブルーインクとPX-G5300 のオレンジインクの両方を搭載しています。これにより、一般的なプリンターに比べてイエローからオレンジにかけてと、ブルーの再現領域がとくに大きく広がっています。

ブルーインクを生かす印刷モード

PX-7V にはブルーインク搭載時に使用できる色補正モード「ポジフィルム調(高彩)」が用意されています。プリント時にこのモードを選ぶと、簡単に彩度とコントラストの高い、ポジフィルム(スライド映写などで使う透過フィルム)のような仕上がりを得ることができます。

(1)印刷モードによる色再現性の違い
ブルーインクはマットブラックインクと交換して使用します。セットするインクとプリンタードライバーの色補正モードの組み合わせにより、次のように色再現性が異なってきます。

  • マットブラックインクセットドライバー色補正:EPSON 基準色(sRGB)
  • ブルーインクセットドライバー色補正:EPSON 基準色(sRGB)
  • ブルーインクセットドライバー色補正:ポジフィルム調(高彩)

マットブラックインクの代わりにブルーインクを装着すると、空や海の深みのある青が際立ってくるのがわかります。とくに「ポジフィルム調(高彩)」を選んだときは、空や海のブルーの濃度が増し、彩度がさらに上がっています。

(2)「ポジフィルム調(高彩)」モードに向いた写真
被写体や写真の状態によっては、「ポジフィルム調(高彩)」でプリントすると、色が飽和するなどして、好ましい色合いが得られない場合があります。とくにデジタル一眼レフなどの高彩度モード(ビビッドやポップなど)を使って撮影した場合や、Adobe® Photoshop® などの画像編集ソフトで色を補正した場合に起こりがちです。

  • 元画像
  • ポジフィルム調(高彩)でプリント
  • Photoshop で補正後にポジフィルム調(高彩)でプリント

上の作例のようにAdobe® Photoshop® でコントラストや彩度を上げた後に「ポジフィルム調(高彩)」でプリントすると、補正を二度がけしたような不自然な仕上がりになることがあります。

そのため「ポジフィルム調(高彩)」でプリントする際は、ナチュラルな色調で撮影し、パソコンでの色補正は行わないことをお勧めします。各印刷モードの使い分けは、下の表を参考にしましょう。

●印刷モードの使い分け

印刷モード 推奨する利用シーン
マットブラックインク
EPSON 基準色(sRGB)
マット紙を使って暗部の黒を引き締めたい場合などに向く。
ブルーインク
EPSON 基準色(sRGB)
Adobe® Photoshop® で色補正を行う場合や、高彩度モードで撮影した場合、光沢紙を使ってつややかに写真を仕上げたい場合に向く。
ブルーインク
ポジフィルム調(高彩)
ナチュラルな色調で撮影した場合。色空間はsRGB が適している。
「写真用紙クリスピア<高光沢>」のような光沢感の高い紙にプリントする際に、とくに威力を発揮する。
晴天時の南国の空や海など、濃い青を見たままの印象で表現したいときなどに向く。
ヒント ブルーインクを搭載した状態で人物をプリントしても大丈夫?

元画像(上)と「ポジフィルム調(高彩)」によるプリント(下)

「ブルーインクセット+ポジフィルム調(高彩)」モードは、ブルーの彩度やコントラストを高めますが、それ以外の色に悪影響を及ぼすことはありません。たとえば、人物の写真を「ポジフィルム調(高彩)」でプリントした場合に「人肌が青みを帯びてしまうのでは?」といった心配は不要です。

左の写真は「ポジフィルム調(高彩)」で人物写真をプリントした作例ですが、人肌や草花が自然な色合いで美しく再現されています。PX-7V は、ブルー以外にもオレンジインクを搭載してイエローやオレンジなどの色再現性を高めているため、微妙な色再現が要求される人肌も、より美しく再現することができるのです。

大判プリントを楽しみましょう