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PaperLab 導入事例 豊かな自然と先端技術産業の橋渡しコミュニケーションツールとして活躍するPaperLab 諏訪市役所 総務部 総務課 庁舎車両管理係 主査 平林 正寛氏

諏訪湖や霧ケ峰高原、上諏訪温泉など自然に恵まれ、日本最古の神社のひとつの諏訪大社や浮城と呼ばれ親しまれる高島城など、歴史の息づく諏訪市。一方で、精密機械工業の一大集積地としても知られています。過去に水質汚染が問題視されていた諏訪湖の浄化をはじめ、様々な環境保全に力を入れるなか、2017年に「PaperLab A-8000」を導入。そこで、運用実績やPaperLabを用いた今後の展望をうかがいました。

「自然」を守りながら「技術」を発信する諏訪市
PaperLabの市における役割とは

諏訪は「東洋のスイス」とも呼ばれ、美しい自然とものづくりの伝統が息づく街だ。環境意識の向上と先端技術の躍進、双方に力を注ぐ市にとって、PaperLabは紙のアップサイクルだけでなく、その思いをより具体的に発信する役割も担っているようだ。

諏訪市の環境意識の高さはどこに由来しているのでしょうか。

諏訪湖に由来していると思います。昭和30年頃までは泳ぐことができましたが、産業排水や生活排水の影響でアオコの過剰な繁殖などを原因とする水質汚染が進み、地域一体となって浄化対策に乗り出してきました。現在も第二次諏訪市環境基本計画のなかで「泳げる諏訪湖をめざそう!」として、諏訪湖の美化活動に励み、昭和50年頃をピークに年々改善してきています。そういった諏訪湖を通した経験が環境意識を育む大きな契機になっていると思います。その成果もあり、当季は5季ぶりに諏訪湖の全面結氷、御神渡りを見ることができました。

PaperLab導入の経緯を教えてください。

諏訪市は自然だけでなく、古くは製糸業、現在では精密機械工業と、先端技術を発信し続けています。
そんな諏訪市の「自然」と「技術」、その両面を結ぶハブとして金子市長がPaperLabに興味を持ったというのが導入の経緯です。

PaperLabで再生した紙はどのように活用されているのでしょうか。

主に職員が事務用のコピー用紙、希望する職員の名刺として活用しています。金子市長は市木のかりんをイメージした黄色い名刺を持ち、名刺交換では諏訪市をPRする良いきっかけになっているようです。保育園への配布も行っており、保育の現場で利用しています。
市民の方が触れるものとしては、諏訪市主催のイベントや講座の案内チラシ、住民票や印鑑証明の申請書として活用しています。また、昨年4月に行われたPaperLabの一般公開ではご来場くださった市民の方約80名にPaperLabで再生した紙で作成した来場記念証と栞をプレゼントしました。

身近な紙の循環プロセスで
環境意識を変える

PaperLabによって紙の循環プロセスが身近になったこと、コピー用紙のみならず色付きや厚紙などバリエーション豊富な再生紙があることから、市民、職員のあいだで環境への意識に変化が見られたそうだ。
中でも顕著な反応を示したのが、毎年遠足の途中で市役所に仕事見学に訪れる子供たちだったという。

PaperLabの再生紙や実機に触れた市民の方の反応を教えてください。

申請書などの紙は全く問題なく使用されています。実機をご覧になった方々は、大変興味深く見学されている印象を受けます。諏訪市役所では、毎年遠足の途中で立ち寄る小学生を対象とした仕事見学を実施しており、昨年は目玉としてPaperLabを見て頂きました。子供たちは新しく生まれ変わる紙を目にし、その技術にとても驚いたようで、後日頂いたお礼の手紙のほとんどにPaperLabのことが触れられていました。記憶に残る体験になったと感じています。
また、普段からもより多くの方にPaperLabを見ていただくため、設置場所のドアをガラス窓付きにし、外からも見えるよう実機を窓側に向けて設置しています。

PaperLab導入前と後の紙の処理について教えてください。

PaperLab導入前は、機密文書はシュレッダーにかけて廃棄。一般文書はゴミステーションに排出し、県外の業者に運び、リサイクルしていました。PaperLab導入後は、本庁で排出された投入できる規格の一般文章などをもとに再生しており、その量は昨年6月から2月まで13万枚に及びます。

PaperLabを導入後に職員の間で起きた変化はありますか。

庁舎内で出るゴミの分別や使用済みの紙のリサイクルに積極的に取り組んできましたが、排出後のサイクルまで把握している職員が少ないのが現実でした。PaperLab導入後は、自分たちで出した使用済みの紙が庁舎内で新しい紙になって、直ちに目の前に現れるので、紙のリサイクルが導入以前より身近になったと思います。また、導入に先立ち、投入できる紙の基準を周知しました。当初は、投入できない紙の混入などがありましたが、職員が積極的に基準を覚え、職員同士で情報共有してくれたことで、混入が激減しました。

先端技術が生む
コミュニケーションツールとしての価値

諏訪市では行政が作成した手順書のもと、PaperLabの運用を障がいのある方が担当している。 業務の中で生まれる職員との交流が、一人ひとりの仕事に対する意識や、職場環境に影響をあたえているという。 導入前の想定を超え、PaperLabはコミュニケーションツールとしても機能している。

どのような体制でPaperLabは運用されていますか。

PaperLabに関する業務は、市社会福祉協議会(社協)と委託契約を結び、社協が指定管理者となっている諏訪市福祉作業所「さざ波の家」(同市)を利用する知的障がいのある方に従事していただいています。主な作業は、手押しワゴンで各フロアを回り、投入可能な書類の回収、ステープラーの針の取り外しや紙質の確認、機械への投入、そして再生紙の配布です。障がいのある方に従事していただく上で、無理なく従事していただき、作業内容を明確にできるよう手順書を作成しました。

PaperLabの業務に従事している障がいのある方は内容に満足しているのでしょうか。

2017年11月に社協の方と意見交換を行ったところ、PaperLabの業務は障がいのある方のあいだで大変人気があり、従事希望者が多いということがわかりました。使用済みコピー用紙の回収時に各カウンターで「PaperLabの紙をもらいにきました」と声かけをして頂くのですが、その小さなきっかけから業務の中で交流が生まれています。その影響からか、身だしなみを気にするようになったり、エレベーターに乗り降りする順番を譲り合うなど、社会との繋がりを意識するようになったそうです。PaperLabを通した協働が庁舎内での新たなコミュニケーションや、仕事に対するモチベーションにこれほど良い影響があるとは導入以前は想定していませんでした。

二次的に生まれる
創造性と交流

PaperLabを主管する平林氏は「PaperLabから生まれるものはなるべく100%活用したい」と語る。再生紙を用いた様々な活用事例だけでなく、排出される紙粉を固形燃料に活用できないかと考えている。PaperLabは使い方によって二次的なクリエイティビティーとコミュニケーションを生むのだろう。

今後、PaperLabをどのように活用しようと考えていますか。

再生紙は、市民の方の手に触れて使用していただけるようなノベルティや職員等が使用する事務用品に活用したいと考えています。今はペーパーパンチを用いたルーズリーフや花型等のクラフトパンチを使いペーパーフレークなどの試作を行いました。出来ることならPaperLabから生まれるものを100%活躍したく、新しい紙を作る上で排出される紙粉を固形燃料の原材料に活用できたらと考え、試作も行いました。また、将来的には、市民の方の創作活動に活用して頂けたらと思います。

(記事の内容、肩書きなどは2018年3月現在のものです)

  • エプソンが社内で実践する 環境配慮型 オフィス
  • エプソンが考える「環境負荷を減らすものづくり」 スマートサイクル
  • 紙の循環で、つぎの地域共創を。 紙の循環で、つぎの地域共創を。 KAMIKURU

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