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PaperLab 導入事例 子供たちがつくる未来に向けて 「驚き」から生まれる新しい学び 長野県塩尻市 市長 小口 利幸氏

長野県中央部に位置し、澄んだ空気と美しい水に囲まれた自然豊かな塩尻市。古くから市民の環境保護に対する意識が高く、2000年には塩尻市役所環境保全率先行動計画を策定。全国の自治体に先駆けて積極的な環境保護活動に取り組んできました。2017年、その塩尻市で「PaperLab A-8000」を2台導入。小口利幸市長とPaperLabの運用ご担当者に、導入の経緯や運用状況、さらにPaperLabを通じて描く未来のお話などをうかがいました。

PaperLabの前から離れない子供たち
技術に刺激を受けて未来へつないでほしい

「子供たちに驚きを伝えたい」小口塩尻市長はPaperLabの魅力についてそんな風におっしゃる。驚きは好奇心に代わり、科学への関心に育ち、そして未来へとつながっていく。小口氏にはそんなイメージがふくらむようだ。行政機関としてPaperLabのさまざまな長所を活用しつつ、未来につながる「驚き」の種に。そんなところを期待していると話してくださった。

PaperLabのどのような点に魅力を感じましたか。

小口氏:行政としては、水をほとんど使わずに使用済みの紙を庁内で再生できるという環境負荷の低減に優れている点、機密文書も庁内で処理できるという機密管理に優れている点、障がい者の適性を活かして仕事を任せられる点など、PaperLabにさまざまな長所を感じて導入を決めました。私個人としては、そうしたさまざまな長所の中でも、子供たちに良い驚きを届けられるという点にもっとも魅力を感じています。
技術者出身の私でさえ、最初にPaperLabの話を聞いた時には「水をほとんど使わずにそんなことができるのか」と信じられない気持ちでした。そして紙が再生される様子を目の当たりにしたときは「本当にできた」と大変な驚きを得ました。その驚きを子供たちにも伝えたいと思うのです。

子供たちに驚きを伝えることはどのような効果を生むのでしょうか。

小口氏:そうした驚きは、学びに対するわくわくした気持ちへとつながっていきます。そして、子供たちの理科系に対する興味・本能を高めていきたいと思うのです。かつて日本は、加工貿易によって発展を遂げてきました。資源の乏しいこの国において、今後も生産性の高い産業を育成していくことは、国家としてのアイデンティティと言っても良いでしょう。そのためには、子供の頃から技術に驚きを覚え、わくわくした気持ちをもって学びに向き合えるような人材を、一人でも多く生み出していくことが大切だと考えています。

実機を見た子供の反応はいかがですか。

小口氏:以前、東京で行われたエコプロ展に出かけたときのことです。ちょうど塩尻から来ていたエコツアーの方々と出会ったのですが、PaperLabの再生紙が排出されるところから子供たちが離れないのです。
そのぐらい、驚きやわくわく感があふれていたんですね。また塩尻玄蕃まつりの際には、お祭りで市役所を訪れた子供たちがPaperLabを見て感動していました。
塩尻で育ち、学んだ子供たちが、そんな風に刺激を受け、高い技術を身につけて、未来を築いていってくれることを願っていますし、PaperLabがそのきっかけの一つになるのではないかと期待しています。

市内全教育機関でISO14001を取得
市民の環境意識をさらに高いレベルへ

塩尻市では市役所本庁舎と、それに隣接する保健福祉センターそれぞれのロビーにPaperLabが設置してあり、広く市民の目に触れる環境が整備されている。小学生の社会見学のみならず、老若男女、幅広く市民に目にしてもらうことで、従来から高い水準にあった市民の環境保護に対する意識を、さらに向上させるなどの効果を発揮している。

科学技術だけではなく環境への意識の高まりも生まれるのでしょうか。

小口氏:塩尻市はもともと市民の環境保護に対する意識が非常に高い地域です。ゴミの分別についても非常にレベルが高く、日本容器包装リサイクル協会の総合的評価でも、Aランクに格付けされています。保育園を含めたすべての教育機関でISO14001の認証を取得しているのは、全国の自治体の中で当市と東京都の板橋区しかないほどで、教育現場において環境保護に力を入れていることがわかっていただけるかと思います。
子供たちがそうしたところで、環境について学んでくれていますので、お父さん、お母さん、あるいはおじいちゃん、おばあちゃんと家族づれで、市が行う環境イベントにも来場してくれています。

PaperLabの見学はどのような形で、どのぐらいの方に見られているのでしょうか。

ご担当者:より多くの市民の方に見ていただきたいとの思いから、市役所本庁舎と健康福祉センター、それぞれ玄関前の1階のロビーに設置しています。小学生の社会見学は平成29年度では5回、340名の子供たちに機械を見てもらい、「すごい。今度お母さんにも見せたい」「家にいらない紙がいっぱいあるのでやって欲しい」「紙が綿になっちゃうのがすごい」「お父さんお母さんに感謝の気持ちを伝えるときに使いたい」「もらった紙をうまく切ってしおりにして家族で分けたい」など、かなりポジティブな感想をもらっています。
また、夏休み体験会で76名(大人:39名、子供:37名)、環境・消費生活・食・健康をテーマとした塩尻市主催のイベント、e-lifeフェアでも191名(大人:103名、子供:88名)と、多くの市民の方にPaperLabを体験していただいています。

機密情報の抹消、障がい者雇用に導入効果
障がい者との接点がなかった職員とも交流

市民の生活を支えていく上で、市役所の職員にとってさまざまな人々と交流し、心を通わせる経験を持つことは、非常に大切な財産の一つとなるだろう。塩尻市では、障がい者にPaperLabに関する業務を委託することにより、庁内の職員との交流が生まれているという。PaperLabが、紙だけではなく、新たな人間関係も生み出している。

子供たちへの教育や環境保護活動以外にPaperLabの導入効果を感じた部分はありますか。

小口氏:PaperLab導入に伴って感じている効果は、子供たちへの教育だけではなく他のものもあります。たとえば機密情報の抹消です。現代社会は極めて細かなレベルまで情報の管理が求められる時代です。そうした中で庁内から外へ出すことなく、目の前で情報が消去されていくのでとても安心することができます。
また障がい者雇用においても、実直に業務に集中しつづけられるという適性を活かした上で仕事をまかせられています。

障がい者の方はどのような実務を行っているのでしょうか。

ご担当者:PaperLabに関する業務を委託している方々には、使用済み用紙の回収や、ステープラー針、クリップなどの無い使用に適した用紙かどうかの分別などの作業をお願いしています。皆、いきいきと仕事にあたってくれていますし、使用済み用紙の回収は、庁内を回って、職員に直接声をかけながらしてもらっているので、これまで障がい者との接点がなかった職員とも交流が生まれ、あらたな人間関係を生み出すきっかけづくりができています。分別を担当している方は、自分のチェックで機械が適切に動作するということで、達成感をおぼえていると話してくれています。
障がい者の仕事だけでなく、庁内全体への効果を見ても、紙ゴミの量が導入前後で比較すると、対前年比で20%減少(平成28年:14,466kg、平成29年:11,661kg(注)12月分までを比較)するなどの効果を生み出すことができています。

9カ月で30万枚超の用紙を再生
青年会議所らと協力して新しい活用法を

塩尻市では、導入からの9カ月で順調に紙の再生が進められており、使い道も拡大。庁内の一般職員への認知も進み、今では投入する使用済み用紙が足りなくなるほどだという。市長自らがPaperLab製の名刺を配り市のPRにも活用しているが、今後に向けて、従来の発想にとらわれない新しい視点からの活用も目指している。

PaperLabで再生された紙はどのように活用されていますか。

ご担当者:PaperLabでつくった用紙は、庁内の各種申請用紙にも活用しています。2017年4月の導入から12月までの3四半期で436,683枚の用紙を処理し、307,504枚の再生紙を作り出しています。主な用途は、各種会議資料はもとより、住民票申請書等の申込用紙やチラシ、名刺等で、PaperLabを設置している本庁と保健福祉センターの各課を中心に、市役所全体で利用しています。機械の存在や利用意義が庁内に浸透してきたおかげで、最近では「○○○○に使うから、赤い用紙を1,000枚刷ってほしい」などのオーダーも入ることが多くなりました。こうした庁内の注文は、庁内ネットワークを使って呼びかけるようにしています。

市長も名刺を活用されているとうかがいました。

小口氏:毎月一回、東京の銀座にある長野県のアンテナショップ「銀座NAGANO」へ赴き、塩尻産ワインのセミナーを行っているのですが、そこでPaperLabでつくったワインレッドの名刺を出すと、すごく評判が高いんですね。少し黒点が入っているのが逆に味わい深い色合いになっていて、どこで名刺を出しても会話の糸口になりますし、非常に効果的に活用できています。

今後はどのような活用をイメージされていますか。

小口氏:市役所内での用途に限定することはないと思っています。商工会議所やJC(日本青年会議所)等の研修や会議の折などにPaperLabを体験してもらい、さまざまな視点から活用方法等について意見をいただくことも進めていきたいと考えています。

(記事の内容、肩書きなどは2018年2月7日現在 のものです)

  • エプソンが社内で実践する 環境配慮型 オフィス
  • エプソンが考える「環境負荷を減らすものづくり」 スマートサイクル
  • 紙の循環で、つぎの地域共創を。 紙の循環で、つぎの地域共創を。 KAMIKURU

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