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PaperLab 導入事例 機密文書情報の完全抹消を実現し環境意識の向上を促進する 八戸市 総務部総務課 情報公開グループ リーダー 副参事 伊藤力喜雄氏 主幹 阿部浩喜氏

八戸市は1964年に周辺地域とともに新産業都市に指定され、工業を発展させてきました。しかし残念ながら公害問題も発生。以来、公害の防止、環境への取り組みに市を挙げて注力してきました。そのような歴史を持つ八戸市が環境施策のシンボルとしていち早く注目したのが「PaperLab A-8000」です。機密情報の完全抹消が可能なところにもPaperLabに大きな魅力を見出している八戸市に、稼働して約半年が経った現在の成果や評判、今後の計画を伺いました。

PaperLabで機密情報を完全抹消し、多彩な紙を生産

環境への取り組みに力を入れてきた八戸市は、業務で使用した紙を再生できるPaperLabが循環型社会を目指す環境政策にメリットがあることに注目した。そして、マイナンバーの活用用途が広がり、その書類を直接処理することが増える今後に向け、機密情報の完全抹消が可能になる点に大きな魅力を感じている。

導入を決めた理由を教えてください。

伊藤氏:まず、市政の大きな施策として、環境への取り組みがあります。PaperLabのような、ほとんど水を使わずに紙を再生できるという画期的な技術は、環境負荷低減を進める市の政策によく合ったものでした。単に紙を再生するというだけでなく、紙の購入や廃棄に伴うエネルギー使用を低減する効果もあります。
そして私たち総務課として、最もメリットを感じたのが、機密文書の安全な廃棄ができる点です。機密文書は、従来はシュレッダー処理を委託して処理をしてきましたが、細断方法を工夫しても、そこから個人情報が読み取られる可能性をゼロにはできません。その点、紙を一度繊維化してから製紙するPaperLabでは情報の完全抹消が可能で、外部に書類の処理を委託することなく、庁内で完結できることが導入の最大の理由です。

導入してからの運用実績はどのようになっていますか。

阿部氏:2017年9月に導入して、18年1月末までの5カ月間で、A4用紙を20万枚処理しました。16年度の実績で、当市では37.4トンの機密文書を処理しました。A4用紙に換算すると約935万枚となります。よって、これまでの実績では、全体の2%程度の量をPaperLabで処理している計算です。機密文書の中でも特に重要度の高いもの(福祉部署や税関係部署の書類)を優先してPaperLabでの処理にしております。今後、稼働の効率性を上げていきたいと計画しています。

設置場所はどのような検討がされたのでしょうか。

阿部氏:機密文書を扱いますので、なるべく目につきにくい市庁舎本館の地下の一室に設置することにしました。設置している部屋は、通常は施錠管理していますが、小学生をはじめとした市民等に見学してもらうために、窓を取り付けてあります。普段はカーテンで遮り、外から見えないようになっています。

市民への配布物で
市全体の環境意識の高まりに期待

八戸市では、市民の方々への配布物にPaperLabで製紙した再生紙を使い、環境問題への意識啓発に役立てているという。環境に関連するチラシでは、チラシ自体が環境に配慮したものになっている点で注目が高い。今後は、市庁内各部署にPaperLabの利用を広げていくことで、活用バリエーションも多彩に展開されることが見込まれる。

再生した紙はどのような形で利用されていますか。

阿部氏:成人式や表彰式などの市が開催する式典の式次第、市からのお知らせ、定期刊行物の表紙などに活用しました。これらの作成物には、「八戸市庁舎から排出された使用済みの紙を原料にして、オフィス製紙機で作成した紙」であることを明記し、環境に配慮していることをアピールするとともに、市民の方の環境意識の醸成にも役立てています。

作成物のなかで、好評なものはありますか。

阿部氏:特に環境や教育の部署で市内の小学生全員に配っている、環境がテーマのチラシは評判がよいですね。環境問題の解説や、環境への取り組みを掲載したチラシを、庁内で作った紙で作成したことで、より注目度が高くなっています。小学生が家庭に持ち帰ると、保護者も見てくれますので、情報の波及効果も抜群のチラシです。
PaperLabをきっかけに、2017年に総務課として初めて市の環境展に出展しました。来場された市民の皆さんにPaperLabで生産した紙のメモ帳をお配りしました。また多くの方にPaperLabを見学していただき、こちらも大変好評でした。

徐々に市民の皆さんに認知が広がっているのですね。他の用途にも広げる計画はあるのでしょうか。

阿部氏:そうですね。先ごろ、庁内職員向けに見学会を開催しました。「庁内で再生した紙がある」という話だけでなく、実際に機械が動いている様子、作成した紙も見てもらい、より具体的なイメージを持ってもらえているようです。部署ごとにいろいろな取り組みがありますので、総務課では思いつかなかったような用途の提案があると期待しています。

PaperLabを導入して、大きく変わったところはどのようなところでしょうか。

阿部氏:紙を作る担当者、作った紙を使う職員、PaperLabに携わる者の意識が高まっていると感じます。紙の分別についてもそうですし、環境に対する意識も高まっています。
機密文書の処理においても、外部に委託することなく庁内で処理できる機械が導入されたことで、機密文書を確実・安全に処理することへの意識が今まで以上に高まったと感じています。
再生紙の用途が広がるにつれて、こうした意識の変化が職員だけではなく、市民にも広まるとよいですね。

見学を通じ環境意識の
いっそうの広がりをねらう

八戸市では、年に2回、市近郊でエコな事業を行っている工場や施設を見学するバスツアーを開催している。このエコツアーに組み込むなど、PaperLab見学を積極的に増やしていくことを計画中だ。近い将来の目標・計画が具体化する中、半年の稼働を経て、課題も見えてきた。

紙の用途に限らず、PaperLab関連で今後の計画を教えてください。

阿部氏:環境展で市民の方に実機の見学をしていただき好評でしたので、見学者の受け入れについては柔軟に行おうと考えています。具体的には、環境部署で行っているエコツアーのコースに、PaperLabの見学を組み込んでもらったり、特に小学生の訪問が多い市庁舎の見学ルートに組み込んでもらう、などです。

伊藤氏:小学生が市庁舎を見学すると、「屋上からの眺めがいちばん人気」というような、見学の趣旨から考えれば少し残念な声もあります。しかし、PaperLabで実際に紙を作る様子を見学できれば、かなり話題になるのではないかと思います。
見学者を受け入れる際には、機密書類はカギのかかるところに移動させ、誰が目にしても問題のない紙を使って動かせば、機械のそばで紙ができる様子をよく見ていただくことができます。また、専用ルームは、カーテンを開ければ窓ガラスごしに中を見ることができますから、その形で見ていただくこともできます。いずれにしても、環境展での見学の経験から、見学によるセキュリティ面での課題はクリアできると考えています。

機密書類の処理量を増やしていくことを目標とされているということでしたが、紙の用途においても目標をお持ちでしょうか。

伊藤氏:現在、市民に配布するもののほか、庁内で使う通常の事務用紙の一部にも、PaperLab製の紙を使用しています。多様な用途に対応できるよう、厚さや色の種類を分けて、常に十分な在庫を持っておけるような体制を整えたいと考えています。各課から必要な分の発注を受けて製紙し配布すれば、新たに紙を購入することがありませんので、購入の経費も削減できます。まだ導入して半年程度ですから、将来的な体制に向けて生産量を見ている段階です。

阿部氏:機密情報を完全に抹消できることが改めて認識できましたので、今後は、処理する手順や紙の選別等、庁内での効率的なやり方を考え、機械の稼働率を上げていく必要があります。

効率を考えると、どのようなことが課題となってきますか。

伊藤氏:ステープラーの針、インデックス、付箋など、一口に書類といっても、いろいろな禁忌物があります。そうした禁忌物を、いかに確実に取り除くか。現在は、紙を排出する部署でのチェックと、私たち総務課でのチェック、とダブルチェックを行っていますが、どうしてもすり抜けるものは出てきます。そのチェックにばかり時間と労力をかけて普段の業務に差し障りが出ては意味がありませんので、チェック体制はさらに精度を上げていく必要があります。
最近は優れた文房具が出てきて、針が要らないステープラーや糊付け状態がすぐにわからないように紙が貼り付けられているものなどがあり、見落としがちです。こうした事例はこの半年でかなり蓄積してきましたので、今後は、蓄積情報から注意点をピックアップし、周知して効率を上げていきたいと思います。

阿部氏:PaperLabが、厚さや色の異なる多彩な紙を作ることができる素晴らしい機械であることは、導入後、強く実感しています。より確実かつ効率的に文書処理と紙作りを行っていきたいと考えています。

(記事の内容、肩書きなどは2018年3月現在のものです)

  • エプソンが社内で実践する 環境配慮型 オフィス
  • エプソンが考える「環境負荷を減らすものづくり」 スマートサイクル
  • 紙の循環で、つぎの地域共創を。 紙の循環で、つぎの地域共創を。 KAMIKURU

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