半導体製品の取り扱いについて

セイコーエプソンのCMOS LSIは、通常の使用時に予想されるある程度のストレスに対しては故障のないよう設計・製造され、また各種の信頼性試験などの実施により品質を保証しています。
しかし、CMOS LSIをいかに高い技術管理のもとで設計・製造しても、適切に使用されなければ、期待する信頼性は得られません。
セイコーエプソンのCMOS LSIをより高信頼の状態でご使用いただくために、システム設計時や取扱い時、また保管時には以下の事項について十分な注意をお願いいたします。

保管条件および保管期間

プラスチックパッケージの吸湿性と信頼性

プラスチックパッケージは、使用しているレジンの性質上吸湿しやすく、室内放置でも時間の経過とともに吸湿が進行していきます。吸湿したままはんだリフロー炉に投入すると、レジンにクラックが入ったり、レジンとフレームの密着性が劣化したりすることがあります。
したがって、リフローを行うまでの標準的面実装型IC の保管条件は、下表に示す範囲を超えないようご留意ください。

標準的ICパッケージの保管条件および保管期間

保管ランク・保管条件一覧表

保管ランク 開封後保管環境
MSL2 30℃・70%RH以下 12ヶ月(1年)以内
MSL2a 30℃・70%RH以下 1ヶ月以内
MSL3 30℃・70%RH以下 168時間(1週間)以内
MSL4 30℃・70%RH以下 72時間(3日)以内
  • 梱包(防湿袋)開封前の許容保管期間は35℃85%RH以下環境において最大12ヶ月としてください。
  • 複数回リフローを実施する場合は各パッケージランクの保管期間内に行ってください。
    (リフロー回数は2回までとしてください)
  • 開封後の保管期間を超えてしまった時、あるいは不明になった時などは再乾燥後に実装してください。
  • 各製品(パッケージ)毎の保管ランクは、パッケージ ラインアップのPKG profile項目をご参照下さい。

パッケージ ラインアップ

プラスチックパッケージの乾燥方法

保管期間が過ぎてしまったもの、または保管期間や保管条件が不明で吸湿が懸念されるものについては、リフロー作業前にパッケージを乾燥することをお奨めします。
これによりリフロー時の熱ストレスによるクラックなどの不具合の発生を防止することができます。
乾燥時には、下表の条件をご参照ください。なお、乾燥回数は下記条件にて2 回までとしてください。

標準的ICパッケージの乾燥条件

乾燥温度 時間
125±5℃ 20時間以上36時間以内

はんだ付けプロファイル

面実装パッケージを、赤外線リフロー、エアリフローなど全体が加熱される方法ではんだ付けを行う際には、下記の条件範囲内で作業してください。
尚、リフロー回数は2 回までとしてください。
また、プラスチックパッケージが吸湿していると、クラックなどの不具合の発生する可能性が高まりますので、保管には十分注意してください。

赤外線リフロー、エアリフロー

  • パッケージへの熱ストレスによる負荷を軽減させる観点では、可能な限り低温で、かつ短時間でのはんだ付け作業を推奨いたします。この点を考慮いただいた上で、お客様におかれましては、はんだ付け状態,実装後の信頼性等に関して最適な状態になることを充分ご確認の上、実装プロファイルの設定をお願いいたします。
  • 各製品(パッケージ)に該当する耐熱許容温度プロファイルにつきましては、パッケージ ラインアップのPKG profile項目をご参照下さい。(一部製品に関して下記許容温度条件とは異なる場合があります)

パッケージ ラインアップ

手はんだ作業

はんだごてを用いた手はんだ作業は、下記の条件にてお願いいたします。

  • こて先最大温度350℃ 最大5 秒以内(端子あたり)
  • はんだごてがパッケージボディ等、リード部以外の部分に接触しないよう注意してください。

フロー法

フローはんだ付けは推奨しません。

一般的な注意事項

製品保管条件

  • 梱包箱に衝撃・振動・被水(水濡れ)を及ぼさないよう注意して下さい。
  • 急激な温度変化により、水分の結露が起きないような環境で保管し、使用するようにして下さい。また、保管中は製品に荷重がかからないようにして下さい。
  • 腐食性ガスのある環境や、ほこりの多い環境での保管は避けて下さい。
  • 保管が長期間に及んだ場合は、端子の変色、はんだ付け性の低下等がないことをご確認の上でご使用下さい。
  • 使用時に防湿袋の破れ・傷のないことを確認し、開封直後にシリカゲルが吸湿した状態ではないことを確認して下さい。
  • 防湿袋開封後の保管条件、実装方法及び実装温度条件は、製品ごとに規定される弊社指定条件の範囲内にて管理して下さい。

使用環境条件

  • 使用環境の注意事項
    適切な温度・湿度の環境下でご使用下さい。湿度に関しては85%以内(結露なき事)としてください。また万が一LSIがちり・ほこり・塩気・SO2ガスのような酸性ガスなどに直接さらされる環境の場合は、素子のリード間のリーク、サビなどの原因となります。その場合は回路基板、LSIなどをコーティングするなどの対策を施してご使用下さい。
  • 過度の機械的なストレスや急激な温度変化からの保護
    機械的な振動や衝撃、継続的な応力、急激な温度変化などはパッケージのクラックやワイヤの断線を引き起こす可能性があるため避けて下さい。

設計上の注意事項

  • 定格範囲でのご使用
    使用電圧や使用温度、入出力電圧・電流などについては、定格の範囲内でご使用下さい。定格外で使用した場合、短期的には正常に動作しても、故障率を高める可能性があります。また定格の範囲内であっても、故障率は動作時の温度や電圧により変化しますので、装置の設計の際にはこの点もご考慮下さい。
  • 制御入出力端子の扱い
    入出力端子からスパーク、静電気放電などの雑音が入った場合は誤動作する可能性があります。また電磁波により誤動作する可能性もありますので、必要に応じて機器のシールドを行なう等、機器設計時に十分ご注意下さい。
  • ラッチアップ現象
    CMOS LSIは、電源あるいは入出力端子に過大な外来雑音が印加されるとラッチアップ現象を引き起こし、LSIの誤動作や破壊の原因となることがあります。この現象が生じた場合は、すぐに電源を切り、原因を取り除いた後、再通電して下さい。
  • 静電気保護
    端子には静電気保護回路を内蔵していますが、その能力を超える静電気が加わった場合には破壊されることがありますので、製品を取り扱う場合には充分な静電気対策を実施して下さい。
  • 包装・運搬容器はプラスチック製を極力避け、導電性容器をご使用下さい。また製品のハンドリングについても充分に考慮して下さい。(リストストラップの使用等)
  • はんだゴテや測定回路などは高電圧リークのないものを、必ずアースを取ってご使用下さい。

光に対する注意事項

半導体素子は、光が照射されると特性が変化します。特性の変化による誤動作を防ぐため、ICが実装される基板及び製品について以下の考慮をして下さい。

  • 実使用時にIC(特にSiチップ品)の遮光が考慮された構造となるように設計及び実装を行って下さい。
  • 検査工程では、ICの遮光が考慮された環境設計を行って下さい。
  • ICの遮光は、Siチップの表面、裏面、及び側面について考慮して下さい。

ベアチップ品取扱い注意事項

取扱い全般

  • ベアチップ表面には保護膜を施していますが、内部配線の保護を目的としており、外部からの衝撃より保護するものではありません。
  • 空気中の水分、ホコリ等の外部環境や組み立て時の取り扱いによっては、不具合を招く結果となりますので、十分な注意が必要です。

梱包

ベアチップ出荷時には、搬送時の飛散を防ぐため、専用トレーに収納を行ないクリップ留めの上、帯電防止用袋に収納を行なっています。外部からの異物付着を避けるため、必要以上には容器の開閉はしないで下さい。また容器を開封した状態での放置は行なわないで下さい。

ベアチップ品の保管上の注意事項

  • 開封前後の保管期間は、下記条件にて、最大12ヶ月とさせていただきます。
  • ボンディングパッド表面の変質によるボンディング性劣化を避けるため、開封後は、速やかに実装完成させて下さい。

ベアチップ品の保管条件および保管期間

防湿梱包状態 保管条件 許容保管期間
開封前 35℃以下、RH80%以下 6ヶ月以内
開封後 30℃以下、RH80%以下 30日以内
露点-30℃以下のドライN2中 6ヶ月以内

ベアチップ品の実装

  • 実装環境
    チップ表面が汚染された雰囲気、物質にさらされない様なクリーンな環境で実装を行なって下さい。
  • ピックアップ方法
    コレットの使用を推奨致します。極力、チップ表面へ接触を避ける構造の物をご使用下さい。
  • 実装基板(PCB等)
    基板上に化学薬品等の残留物がないものを使用して下さい。導通(ボンディング等)不具合やAlパッド腐食を招く恐れがあります。
  • ピックアップ部材管理
    定期的にクリーニングして下さい。コレット部に異物が付着しますと、連続不良になる可能性が高くなります。
  • ベアチップ洗浄
    ベアチップ状態での洗浄は避けて下さい。洗浄を実施する際は、チップ部の汚染残留物に十分な配慮が必要です。
  • 静電気からの保護
    静電気にさらされない環境でご使用下さい。実装時は、先に周辺部材を実装いただき、最後にチップ実装を行なう等、ご配慮願います。

使用部材

モールド樹脂等をご使用いただく場合は、吸湿によるパッド腐食、温度変化による樹脂応力を避けるため「半導体グレード」の製品をご使用下さい。他、ご使用部材に関しましても、同様の扱いをお願いします。