補助金に関するコラム

第8回 感染防止と販路開拓の両立を支援!
小規模事業者持続化補助金
(低感染リスク型ビジネス枠)とは?

中小企業庁の小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路開拓費用全般を補助する補助金として例年大変人気が高いです。2021年から「低感染リスク型ビジネス枠」と言う特別枠が設けられ、補助上限額と補助率がアップしました。今回はこの低感染リスク型ビジネス枠について解説します。

低感染リスク型ビジネス枠では、新型コロナウイルス感染症による影響を最小限に留めるための感染拡大防止をしつつ、販路拡大も両立して行えるような取組を支援します。通常の小規模事業者持続化補助金では売上拡大や販路開拓に資する取組全般が対象となる一方、低感染リスク型ビジネス枠では「対人接触の減少に効果的であり、且つ新たなサービス・生産プロセスを導入する」取組が対象になります。つまり、「来店受付がメインだった飲食店が客席に仕切りを設けた上で、オンラインでの予約受付システムを導入する」「旅館が宿泊者のみに提供していた料理をテイクアウト用に開発する」と言った取組が対象になります。単に「来訪客を増やすために店舗を改装する」「近所への周知のためにチラシを配布する」といった取組だけでは「対人接触の減少」とも「新しいサービス導入」とも認められません。
低感染リスク型ビジネス枠では補助上限額は100万円、補助率は4分の3となり、補助額・補助率が通常(補助上限50万円、補助率3分の2)よりアップしています。

補助対象経費は通常のものと同じく機械装置費、広報費、展示会等出展費、外注費、店舗改装費等幅広い範囲が含まれます。尚、展示会等出展費はオンラインによる展示会等に限ります。また、1件当たり税込100万円超の発注、または中古品については相見積の提出が求められます。

低感染リスク型ビジネス枠では2021年1月8日以降の経費であれば、申請前に発注・契約・納品・支払い・使用が行われた経費も対象となります。さらにサーモカメラや空気清浄機等の感染防止対策費も補助金総額の4分の1(上限25万円、補助率100%)を経費として計上できます。尚、「緊急事態宣言の影響を受けて2021年以降いずれかの月間事業収入が前年同月比または前々年同月比30%以上減少した事業者」は補助金総額の2分の1(最大50万円)に引上げられます。

申請書の審査は加点項目を押さえれば採択率は格段に上がります。加点項目としては「緊急事態宣言の影響により2021年のいずれかの月間事業収入が前年同月比または前々年同月比30%以上減少した事業者である」、「所有する複数の店舗・事業所が継続的に営業している」「補助事業完了後1年間で、年間総支給額または事業場内最低賃金を一定以上アップさせる計画を有し、従業員に表明する」があります。「売上減少」と「複数店舗の営業」の要件を満たせる事業者は限られますが、「賃上げ要件」はどの事業者でも達成可能であるため、なるべく押さえるようにしましょう。

公募は通年で行われ、複数回に分けて締切を設けています。尚、今年度の締切については第5回2022年1月12日、第6回2022年3月9日となります。
申請は「Jグランツ」と言う補助金申請システムで行います。「GビズIDプライムアカウント」の取得は必須です。取得に3~4週間かかることがあるため、申請を検討するのであれば早めに取得しておきましょう。

低感染リスク型ビジネス枠は「販路拡大と感染拡大防止を両立できる取組」であれば、店舗改装や機材購入、チラシ作成等非常に幅広い経費が対象になるばかりでなく、感染拡大防止のための費用も計上できます。コロナ禍の影響により経済的ダメージを受けている小規模事業者は是非申請を検討してみてください!

(注) 小規模事業者とは以下の条件に当てはまる事業者です。
「宿泊業・娯楽業除く商業・サービス業:常時使用する従業員の数5人以下」「宿泊業・娯楽業:20人以下」「製造業その他:20人以下」。
また、財団法人、医療法人、宗教法人、学校法人、まだ開業していない創業予定者等、「企業」や「個人事業主」と認められない事業者は対象外となります。