SF-850 開発者インタビュー

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「トップレベルのアスリートしかできなかった 科学的なトレーニングが、この新モデルなら可能です。」
 高精度なGPS機能、脈拍センサーに加えて、ランナーが求める新機能を搭載したGPSランニングギア「WristableGPS」 SF-850シリーズが新登場。新モデルはアスリートの走りにどのように応えるのか、開発担当者にインタビューした。
セイコーエプソン株式会社 S企画設計部
部長 牛山 憲一
プロダクトリーダー 今村 峰久
「日常生活から自分の体に向き合うランナーが増えている。」
「日常生活から自分の体に向き合うランナーが増えている。」
今回発表したSF-850シリーズは、GPSランニングギアに活動量計機能を装備しました。なぜこの組み合わせが生まれたのでしょうか。
牛山2014年10月に、GPS機能と脈拍計測機能を搭載したGPSランニングギア「SF-810(以下、810)」を発売しました。エプソンが持つGPSセンサーや脈拍センサー、人の動きを測るモーションセンサーなどのセンシング技術、小型化技術、快適な使い心地などを結集したハイエンドモデルです。これによって、心拍計測用の胸ベルトなしでも心拍トレーニングができるようになり、おかげさまで多くのランナーの皆さまからご支持をいただくことができました。
その一方で、さらなる課題も見えてきました。特に大きかったのは、ランニングやトレーニングだけでなく、日常の生活から身体の状態を管理したい、というユーザー様の声です。地元のマラソン大会などで実際にユーザー様とお話をする機会があったのですが、記録更新を目指してマラソン大会に出場するような方には、普段から体調管理を徹底し、レースに向けてのコンディションを作るなど、自身の体に対する意識が高い方が増えているということを強く感じました。
今村エプソンには脈拍測定機能つき活動量計「PULSENSE」という製品があります。こちらも脈拍を測定することで、より正確な活動量やカロリー消費量がはかれる製品ですので、そういう方にはぜひおすすめしたい製品です。しかし、ランナーの方はすでにウオッチをつけているわけですから、両方を腕に付けるというのは現実的ではないですよね。そこで、新しい「SF-850(以下、850)」にPULSENSEの機能を追加しました。これにより、GPSランニングギアとしての高機能を保ちながら、普段の生活や大会前の体調管理ができる、ユーザー様のニーズに応える製品ができました。
「毎日のトレーニングの成果を測る。そのための新機能、VO2Max推定計測」
「毎日のトレーニングの成果を測る。そのための新機能、VO2Max推定計測」
とはいえ、ただ合体しただけの製品ではないと思います。例えば今回新たに搭載した「VO2Max推定計測」では、マラソンのタイムの予測ができるそうですが、これはどのような機能なのでしょうか。
今村VO2Maxとは、最大酸素摂取量のことです。人によって1分間に体重1㎏あたりで取り込める最大の酸素量には差がありますが、数値が高いほど速いスピードでのランニングを長い時間維持できると言われている指標で、自身の体力の目安として活用できます。また、850は、VO2Max推定値を活用しフルマラソン、ハーフマラソン、10km、5㎞ランのタイムを予測する機能を備えています。
VO2Maxは、通常であれば専用の大がかりな計測システムを使い、実際に走れなくなる限界まで走って数値を計測する必要があります。それを850では限界まで走らずとも、普段の走っているときの脈拍数やGPSセンサーによるスピードなど各種センサーからのデータから推定しています。開発にあたっては、リファレンスとなる計測システムをお持ちの大学研究室の協力をあおぎながら進めたのですが、850は腕に装着することで推定が可能となりました。
なぜ、この新機能を開発したのですか。
今村活動量計の機能が備わったことで、850ではさらに効率的にトレーニングできるようになるはずですが、それだけではランナーとしての具体的な成果は分かりません。トレーニングによって、自分のポテンシャルがどれだけ上がったのか、それによって肝心のタイムはどのように向上するのか、それがひと目で分かる機能を付けたいと思ったのです。
個人やトレーニング頻度・内容によって差がありますが、だいたい3か月程度トレーニングを続けていると、VO2Maxの値に変化が出てきます。トレーニングが苦しくても、実際にVO2Maxが上がり、予測タイムが短縮されていくのを見ると、嬉しくもなり、トレーニングを続けるモチベーションになりますよね。実際に開発中に装着テストを行っていた複数のスタッフが、トレーニングするにつれて「(値が)本当に上がった!」と喜んでいましたね(笑)。
「毎日のトレーニングの成果を測る。そのための新機能、VO2Max推定計測」
成果が見えるといえば、「安静時脈拍数」の測定もそのための機能だと聞きました。実際にどう見ればよいのでしょうか。
今村安静状態での脈拍数のことなのですが、850では活用量計機能において睡眠時に装着し、計測した場合の脈拍数を安静時脈拍数として記録しています。一般的に、体力が上がると安静時脈拍数は下がっていきますので、トレーニングの成果を知る目安のひとつとして活用していただけると思います。
「精度と装着感にはこだわった。アスリートの信頼に応えるために。」
「精度と装着感にはこだわった。アスリートの信頼に応えるために。」
開発にあたって、特に重点を置いた点は何ですか。
牛山とにかく、精度と装着感ですね。精度については、常に追求していますから、例えば心拍数は810の時点ですでに胸ベルトでの計測精度と比較して±2%の誤差を実現しています。今回はさらに上を目指すために、アルゴリズムや回路設計など小さな積み重ねで性能改善を図っていますが、実は従来機種からもバンドなどにも拘っています。
例えば、フルマラソンを2時間で走るということは平均時速20km/h、その状態でランナーが腕を振るとウオッチには最大で6Gもの加速度がかかります。そんなときでも本体が手首から離れず、脈などのデータがしっかりとれるよう、ベルトの形状や素材、厚みに検討を重ねました。センサーの精度と心地よい装着感、そのベストバランスを見つけるために、手首に巻き付ける力をグラム単位で検討を重ね、最終的に現在のベルトの形態にたどり着きました。このベルトは、いわばセンサーの精度や性能を保つための機能を持った重要な装備なのです。我々はこれを「センシングスタビライザー機構」と名付けています。
そのほか、進化した点はありますか。
今村長時間の連続稼動も実現しています。レースやトレーニングの際はGPS機能と脈拍計をフルに駆動するため電力消費が多くなりますが、その場合でも約20時間の連続稼働が可能です。ウルトラマラソンの時間制限である14?16時間にも余裕で対応できるはずです。さらに睡眠中や安静時にはセンサー駆動を制限するなどきめ細かな省電力制御をして長時間の稼動を確保しています。
そのほか、ランニング中でもひと目でデータが読み取れるよう液晶の視野角を広げたり、表示コントラストをさらに高めたり、ランの最中でも必要なデータを表示しやすいようにボタン操作の方法を見直すなど、使いやすさを向上させるための細かな作り込みも随所に行っています。
「効率よくタイムを縮めていく、そんなランナー生活が始まる。」
「効率よくタイムを縮めていく、そんなランナー生活が始まる。」
最後に、新モデルの使い方や魅力を教えてください。
今村850は、脈拍計測付きの活動量計機能やVO2Maxの推定計測といった専門的で高度なデータ計測を、腕に付けているだけで可能にしました。850があれば、トップアスリートが行っているような科学的トレーニングが、一人でも容易にできるようになります。
すると、トレーニングのやり方も変わってくると思うのです。これまでのように、目標とするタイムを目指してがむしゃらに走ったりするのではなく、データをもとにした科学的なトレーニングを行う。そうすることで無理なく効率よくコンディションや体力が向上し、自然とタイムが上がり、目標がクリアされる。850は、そんなふうにトレーニング方法を根本から変えるきっかけになるはずです。
牛山エプソンには、各種センサーに関して最新のテクノロジーがあります。また、より省電力・小型、高精度を目指す「省・小・精」のモノづくりの伝統があり、さらにウオッチとしてのつけ心地や使い勝手にも多くのノウハウを持っています。時計型のセンシング機器であるWristableGPSはこのようなエプソンの粋を極めた製品と言えますし、今回の850にも、そうしたDNAはしっかり受け継がれています。また、開発スタッフや社員にはランナーも多く、開発途中の評価機を自分の腕にはめ、実際にマラソン大会に出たりトレーニングに使ったりして、センサーの働きや精度、使い勝手や装着感を細かくチェックして作り上げています。ですから、850の精度と使用感には自信があります。トレーニングはもちろん、大切なレース本番でも、高精度なデータ計測や安定性、そして使いやすさで、ランナーの方をしっかりサポートします。ぜひお使いいただき、マラソンのタイム更新に、普段のコンディション作りに役立てていただければと思います。
GPS機能活動量計機能付きランニングモデル JAPAN MADE INSIDE PULSENSE SF-850PJ/PS/PC オープンプライス 製品ページへ