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木村 高一郎「ともだち」

会期:2017年4月21日(金)~5月11日(木)日曜休館

木村高一郎は、家族が寝ている姿を記録した作品で2014 年に初めての写真展をエプサイトで開催し、今回、2度目の応募でスポットライトに選出された。「僕にとっての写真は表現の手段であり、表現とは会話のようなもの」と言う木村。再び家族を題材にした作品で登場するのだが、本展では何を見せてくれるのだろうか。

©Koichiro Kimura

Interview インタビューコメント

「3年前にエプサイトで初めての写真展をやったんですが、一度展示をしてみると発表するということがどんなことかわかって、『次はこんなことをやりたい』とさらに意欲を刺激されました。あのときは初めてなので、何もわからなかったんです。だけどスタッフの人がプリンターや展示のことなど親切に教えてくださって、本当に勉強になりました。
そのときから『スポットライト』ってかっこいいなぁと憧れていました。でも僕のやっていることは写真の王道ではないので、選ばれないと思っていました。だから、知らせを受けたときはすごくびっくりしました。
今回の写真は、トイレで排泄しているときの息子を撮ったものです。まだ自分でおしりを拭けないので僕が付き添うわけです。毎回見ていますが、彼が無表情でいることなんて一度もないんですよ。必死で気張ったり、『出たー』って喜んだり、とにかく一生懸命という感じです。

排泄って生きていく上で大切なことですけど、僕ら大人は無意識に淡々とやるじゃないですか。でも子どもにとっては、食べることや寝ることと同じくらい大きな意味をもっている。子どもって一日一日が一生懸命で、うんちをするのもその一つなんだと思うんです。
5歳くらいって『うんち』って言うだけでみんな笑います。大好きなんですよね。汚いものではなく、仲間みたいにとらえている。そうやってポジティブにとらえて育っていくのは大事なことなんだろうと思います。
この写真展には難しいところなんて一つもありません。老若男女、誰が見ても、文化や言葉が違う人が見ても、楽しんでもらえるのではないかと。家族を扱った写真のときには、どんな人が見ても、いつの時代の人が見ても『わかるわ~』って思える普遍的なところを意識しています。
僕は『表現』って会話に近いと思っています。"僕はこう思っているんだけど"と話しかけているつもりです。カメラや写真はそのための手段でしかなくて、機材やプリントにそれほどのこだわりもありません。ただ、たくさん撮ってみて、集めて、見直して……という作業は好きです。集めたものに流れているグルーヴみたいなものが大事なんじゃないかと思っています」


©Koichiro Kimura

スポットライト選考理由

●子どもを未知のものとして、好奇心をもって観察している。撮っているのは極めてプライベートなシーンだが“まったく違う文化や歴史をもつ人とも共有できる何か”が含まれている。(北島敬三)

●トイレとは本来密室であるはずの場所。こんな撮影は親子だからできたこと。ステイトメントには『密室での生きるという行為』とあり、そこまで言っていることが面白いと感じた。(小高美穂)

2016年11月選考

木村 高一郎氏

きむら こういちろう Koichiro Kimura

1975年、千葉県生まれ。京都造形大学中退。
2014年に初の個展「ことば」をエプサイトで開催。同年、写真新世紀佳作入賞。
2015年、写真を使ったインスタレーション「境界線」展を開催。
本作を写真集としてLibro Arteより刊行予定。