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関根 健太郎「暴水都市」

会期:2015年10月9日~10月29日 日曜休館  展覧会情報

タイの「ソンクラーン」は別名「水掛け祭り」とも呼ばれ、仏暦の正月にあたる4月12日から15日に毎年行われる。 バケツや水鉄砲で水を掛け合い、誰もがずぶ濡れになって楽しく過ごす。タイの中でも最も激しいといわれるチェンマイのソンクラーンに、関根健太郎は魅せられた。

©Kentaro Sekine

Interview 関根氏インタビューコメント

「2006年に、タイ北部の街、チェンマイでたまたま水掛け祭りを見たのが始まりで、それから何度も行っています。チェンマイにはお堀があって、その周りに露店がずらっと並び、雰囲気もにぎやかなんです。  期間中は毎日みんなで水を掛け合うのですが、決まったスタート時間や合図があるわけではありません。お昼近く、暑くなってくると、少人数のグループが『そろそろ始めようか』となんとなく始める。 それがあちこちで発生して、気付いたら大騒ぎになっている、という感じです。誰彼構わず水を掛け合い、みんなでお正月のお祝いを楽しむんです。このときばかりは、貧富の差も、国籍も、宗教も、職業もまったく関係ありません。

 この、無礼講でみんなではしゃぐ雰囲気がとても楽しい。でも、それ以上に惹かれたのが、掛け合う水の造形なんです。一瞬のシャッターチャンスがつくり出す“水の彫刻”とでも言いましょうか。 しかも、僕のコントロールから外れたところから生まれるというのが、写真的でまた面白い。僕は水が投げられるタイミングでシャッターを切るんですが、それがどういうフォルムを描くかは、撮ってみないとわからない。 そんな水の造形美を求めて、何度も通っているわけです。初めてのときは、まさかこんなに何度もチェンマイに行くことになるとは思わなかったですよ。今では、何時にどの辺りで何が起こるか、大体頭に入っています。  そして、毎年そうなんですが、祭りが終わった翌日に外へ出ると、呆然とします。落ち着きを取り戻していつもの姿に戻った街を目の前にして、『みんなどこへいってしまったのだろう』と、一人だけ取り残されたように感じるんです。 ずっと撮ってきた写真が手元にあるのだけれど、この4日間は白昼夢だったのではと。写真展では、躍動する水のフォルムだけでなく、この不思議な感覚も表現したいと思っています」


©Kentaro Sekine

スポットライト選考理由

何といっても躍動感に満ちた水のフォルムがいい。シャッタースピードなど、かなり細かく考えたのだろう。水掛け祭りはよく知られているし、民族衣装などを前面に押し出したスナップは多く見るが、 水のフォルムを狙った写真はあまり見たことがない。また(応募時の)ポートフォリオに、静と動を組み合わせた作品のバリエーションがあった点も評価したい。子どもの表情や服装、お面、水鉄砲の鮮やかさも魅力だ。

関根健太郎氏

関根 健太郎 Kentaro Sekine

明治大学卒業後、電機メーカーに勤務。退職後、カメラを持って国内外へ旅に出る。以後、主にアジアを撮影し作品を発表。2011年に「心象急行」(nitocafe)と「アジア犬の宇宙」(エプサイト)の個展を開催。 JPA公募展、JPS展、エプソンフォトグランプリ、Black & WhiteSpider Awardsなどで入選・入賞