ジャイロセンサーによるサーボ制御

高速・高精度で「ピタッと止まる」
ジャイロセンサーによるサーボ制御

高速・高精度なロボット制御を実現するために解決しなければならない課題のひとつが、ロボットの振動低減です。エプソンでは、手先の動きを測定する独自のジャイロセンサーによるサーボ制御を開発し、高速で「ピタッと止まる」技術を実現しました。

高速・高精度を追求するための課題

ロボットを高速に動かすためには、モーターの容量を大きくして動作速度を上げることが一般的です。しかし、速度が上がれば振動も大きくなり、精度が落ちます。また、ロボットが止まった時に振動が収まるまでの待ち時間が必要となるトレードオフの関係があり、工程ごとの時間を短縮できない問題が発生します。振動を解消するためにはロボットの剛性を高める手段もありますが、コストがかかるというジレンマがありました。

また、ロボットは、一般的にモーターの角度や角速度でアームの先端がどのような動きをしているか推測し、その推測データを基に動作をコントロールしています。しかし、モーターよりも手先側にあるアームはどれほど剛性を高めても微小なたわみなどが生じ、その影響で手先の振動は推測値と異なることがあるため、アーム先端の精度を追及できないという課題がありました。

自社開発の
超小型ジャイロセンサーだから
搭載できた

以前のジャイロセンサーはカーナビなどに使用され、親指ほどのサイズが一般的でした。小型・高精密を極めるエプソンは、社内のセンシング技術を結集し、体積比が従来の1/100というサイズの超小型ジャイロセンサーを開発しました。この小型化によって、小さな面積のロボットアームにジャイロセンサーを搭載することが実現しました。当時のロボット業界では、ジャイロセンサーをロボットに搭載するなど、まったく考えつかない画期的な発想でした。社内にセンシング技術があったからこそ実現できた技術です。

そうして、超小型ジャイロセンサーをアームの先端に設置し、その動きを直接検出し制御に反映させることで、アーム先の揺れのデータを正確に感知し、振動を大幅に低減することができました。

ジャイロセンサーの改良と
ロボット制御の再構築で性能向上

初期にロボットに搭載したジャイロセンサーによるサーボ制御は、振動を大幅に低減する効果が得られたものの、利用できる周波数帯が限られていたためさらに性能を向上させる余地がありました。

まず、ロボット制御に最適なジャイロセンサーを新たに開発し、より高い領域の周波数を利用できるようにしました。

また、初期のジャイロセンサーによるサーボ制御を搭載したロボットは、ジャイロセンサーがない状態で成立しているロボット制御に対して、ジャイロセンサーによるサーボ制御の機能を追加して性能を向上させていました。そこで、ジャイロセンサーによるサーボ制御が組み込まれることを前提にロボット制御の仕組みを再構築し、低い周波数も使用することに成功しました。

これらの工夫により低周波・高周波帯の使用が可能となり、ジャイロセンサーによるサーボ制御の性能は大きく高まることになりました。

業界初の独自技術

ジャイロセンサーの改良とロボット制御の再構築によってジャイロセンサーによるサーボ制御の性能は飛躍的に高まり、従来は振動が大きいため実用的な速度で動くことができなかった重い物の搬送も可能になりました。

ジャイロセンサーによるサーボ制御は、スリムでありながら高速・高精度のロボットを実現し、製造工程に導入するロボットの選択肢を広げるエプソンの独自技術です。この制御技術により、次のような性能向上を実現しています。

エプソンだから実現できた

ジャイロセンサーによるサーボ制御は、ロボット本体の剛性や出力をただ単に高めるのではなく、ロボット制御技術を改良、再構築することで、コンパクトさやスリムさを保ちながら工程ごとの時間短縮や高可搬化の実現、組み立て精度の向上が図れます。高いロボット技術とさまざまなセンサーの自社開発経験に裏打ちされたセンシング技術の両方を持つエプソンだからこそ、この技術を実現できました。

今後も、高速化やコストの抑制を実現しながらロボットの振動を低減することで工程ごとの時間を短縮し、センサー技術とロボット制御を融合させ発展させていくことにより製造現場の生産性向上に貢献していきます。