インク付着の無いギザローラー技術

美しい高速印刷の秘訣。
エプソン独自のギザローラーの
技術を解説

オフィスや学校を始めとしたさまざまなシーンにおいて、快適な印刷環境を提供する為には、高速両面印刷は欠かせません。しかし、インクジェットプリンターで高速両面印刷を実現するためには、印刷後のインクが浸透しきっていない用紙をプリンター内で搬送しなければなりません。その際、従来の金属粒子の塗膜で覆った金属ローラーでは、紙面上のインクがローラーに付着し、インクをはがしてしまいます。そして、そのインクが紙面に再付着し、用紙を汚してしまいます。この問題を解決するために、エプソンではギザローラーを開発しました。このギザローラーを用紙搬送だけでなく、用紙のゆがみを補正するレジストローラーにも使用しました。ローラーに付着するインクを最小限にとどめ、インクのはがれや用紙の汚れを防ぐ技術、エプソンのギザレジストローラーについて紹介します。

レジストローラーとは

レジストローラー
金属粒子で塗膜した金属ローラー

レジストローラーとは、プリントヘッドに用紙を送る際、紙の傾きを補正する役割をもつ紙送りローラーです。用紙をレジストローラーに突き当て、用紙の傾きを補正したのちにプリントヘッドへ送る構成であり、ローラー外径の精度と用紙がローラーで滑らずに送る摩擦力が必要となります。

従来、レジストローラーには表面を金属粒子の塗膜で覆った金属ローラーが使用されていました。ローラーが金属のため外径精度が高く、耐久性が高いのが特徴です。また金属粒子により表面に凹凸形状を形成し、用紙を滑らずに送ることができます。

しかし、インクジェットプリンターで高速両面印刷を行う場合、片面の印刷が終わった用紙がすぐにプリントヘッドに送られてきます。そのため、レジストローラーはインクが浸透しきっていない状態の用紙と触れることになります。従来の金属粒子で塗膜した金属ローラーでは、紙面上のインクがローラーに付着し、汚れたローラーが再び紙面と接触することで、汚れを発生させてしまうという課題がありました。そこで、この問題を解決するために採用したのがギザレジストローラーです。

ギザレジストローラーとは

ギザレジストローラーとは、円周にギザギザの突起を持ったレジストローラーです。そのため、ローラーの突起部分のみが用紙に触れ、紙との接触面積を点接触にできます。従って、紙面からローラーへのインク付着を最小限に抑えることができるのです。また、ギザレジストローラーの対向にはクリーニングローラーがあり、ローラーの突起の先に付着したわずかなインクを拭き取ります。ギザレジストローラーは均一な凹凸を持つため、クリーナーの当たり方にムラがでないのも特徴です。

位相をずらした6枚重ねがポイント。
ギザレジストローラーの構造

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ギザレジストローラーは、突起を構成するステンレス製のギザ部と、ローラー本体となるポリアセタール(POM)樹脂からなります。まず、ステンレス製の円盤の周囲に1mmにも満たない突起をエッチングで成形します。ギザレジストローラーは、用紙の傾きを補正するために非常に高い精度が要求されます。プレス加工では、このような高精度の加工は難しいため、エプソンでは微細形状加工が可能なエッチング加工を選定しました。自社で保有する高精度エッチング技術を活用し、製造しています。エッチング加工が施されたギザ部は、POM樹脂と一体成形され、1枚のギザ円盤になります。この円盤を6枚重ね、それを1コマとしてギザレジストローラーにしています。このとき、6枚の円盤は位相を0.6°ピッチずらして重ねています。これにより、ギザレジストローラーの先端を真円に近づけ、紙送り精度を高めます。この精度で部品を製造するためには、エッチング技術に加え、高い製造力も必要です。

エプソンでは、これまで培ってきたものづくりの力を活かすことで、高い精度で自ら部品を製造し、インクジェットプリンターによる高速両面印刷を可能にしているのです。