慣性計測ユニット(IMU)技術

持続可能な社会の実現に貢献する
エプソンの慣性計測ユニット

現代社会においては、人口の爆発的拡大による世界的な食料不足という問題があります。SDGsでは「飢餓をゼロに」と定義されており「飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する」ことがテーマとなっています。その課題解決にエプソンの慣性計測ユニット(IMU)が貢献しています。

「人類の食料問題」の解決に貢献する
エプソンのIMU

飢餓をゼロに

「人類の食料問題」の解決には、①消費量を減らす・ロスを減らす、もしくは②生産効率を上げることが必要になります。この生産効率を上げる手段の一つが「大規模農業」による効率的な農産物の大量生産です。ただし、この大規模農業を実現するためには、機材の大型化・高額化、農機操縦者の作業負担、農業従事者の高齢化など多くの課題が待ち構えています。そして、これらの課題の解決策として「精密農業」という概念があり、その中に「農機のロボット化」という考え方があります。これは、大規模農場で使用されるトラクターなどの農業機械を大型化かつロボット化し、自動運転(オートパイロット)で昼夜作業させることで、作業を効率化、省人化して生産性を大きく上げるというものです。そして、この大規模農業にエプソンのIMU技術が貢献できるのです。

オートパイロット

人間の操縦精度を超えるオートパイロット実現には、農機自体の位置・姿勢・速度の精密な測定が必要で、GNSS/INSという装置が必要となります。GNSS(Global Navigation Satellite System, 全球測位衛星システム)とは、全地球を測位対象の人工衛星を使用して地上の現在位置を計測する「衛星測位システム」で、その代表例がGPS (Global Positioning System)です。また、INS(Inertial Navigation System, 慣性航法装置)とは、外部から電波による支援を得ることなく、搭載するセンサーのみによって自らの位置や速度を算出する装置です。
そして、このGNSS/INSに、エプソンの高精度IMUが搭載されており、農機のオートパイロット精度の向上に役立っているのです。

このような農機の高性能化は先進国に限らず、新興国でも重要となります。そして、その普及のためには農機の低コスト化が望まれており、エプソンの高精度IMUは、その性能、価格の両面で新たな価値を提供しています。また、このようにIMUによる自動化技術を必要とする分野は、ICT建設機械、自動運転車両、産業用ロボットなど多岐にわたり、IMU技術は、効率化による省資源化、低CO2排出といった環境面でのエコロジーの観点からも活用され、社会課題の解決に貢献することができるのです。

現代社会に欠かせないIMU

物体の動きの計測

物体の動きを3次元で正確に計測するIMUは、現代社会において無くてはならない存在です。先に紹介した精密農業におけるトラクターなど農業機械の自動制御・自動運転だけでなく、IMUは自動車の自動運転時の姿勢計測、ドローンの姿勢制御、カメラやアンテナの振動検知・制御、建設機械や鉱山機械のブレードやアームの角度・姿勢制御などに活用されています。人の目では判断できないほどのわずかな動きの変化を高精度に検出するIMUは、機器類の高精度なデータ計測、制御には欠かせません。

小型化と低消費電力化を実現した
エプソンの高性能IMU

シャープペンシルの芯に載る水晶ジャイロセンサー

このように、需要が高まり広く産業・工業分野でも利用できるIMUが開発され、さまざまな分野で活用されるようになります。近年では、製品への組み込みを容易にするため、精度や安定性を高めながら、さらなる小型化と低消費電力化を実現したIMUが求められています。

Allan-Variance model

IMU技術は、回転や方向の変化などを知る3軸のジャイロセンサーと、軸方向の速度の変化を知る3軸の加速度センサーを複合的に用いて、慣性運動量を高精度に検出する技術です。エプソンのIMUには、高安定・低消費・低ノイズなどの優れた特性を持つ高品質な水晶素材(QUARTZ)に、独自のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)加工技術を組み合わせた高性能水晶センサー素子が用いられています。水晶方式の採用により、低ノイズ、高安定性能でばらつきが少ない特徴を持っています。そして、ゆっくりした動作から早い動作まで、さまざまな動作を広範囲に高精度に計測できるリニアリティ特性を有しており、幅広い用途への使用が可能となっています。

バイアスデータ例

また、エプソンが長年培ってきた小型・低消費電力を特徴とするIC技術をベースに開発した産業用センサー専用SoCにより、周辺部品ならびに消費電力を大幅に削減させ高性能を維持しながらIMU製品の小型化を実現しています。

さらには、小型・軽量・低消費電力でありながら、振動や温度変化などの影響による、実装環境下での誤差を低減するさまざまな補正機能を備えています。わずかな傾きや動きであっても正確に検出し、高精度な計測データを安定的に出力します。

このようにエプソンのIMUは、さまざまな形で持続可能な社会の実現に貢献しており、これからもその活用がさらに多様な分野で増えていくことが見込まれます。我々のIMUがお客様の商品にイノベーションを起こす一助となり、それを社会貢献へとつなげていくことで、お客様や社会にとってなくてはならない存在となることを目指していきたいと思います。