EPSON


展示会事例
スペシャルコンテンツ Exhibition by MAXART
中村征夫(写真家)一瞬の中のドラマが、鮮烈に浮かび上がる。

東京都写真美術館で開催された中村征夫氏の写真展「海中2万7000時間の旅」。海中の風景や海の生きものたちが見せる一瞬のドラマをひたむきに撮り続けてきた中村氏の集大成と、新作撮り下ろし作品を加えたこの写真展では、展示スペースの約2/3がエプソンの大判プリンタ、マックスアートによる出力である。

原寸大のクジラという、中村氏初の試み

海の写真というと、カラーのイメージが強いが、今回の展覧会では、マックスアート出力によるモノクロームの作品も数多く展示された。中村氏は、モノクローム作品への想いを次のように語っている。

「色彩という情報を排除したモノクロームは、カラーにも増してイメージを倍加させる力があると思っています。作品を見る人にとって、海は青いもの、という既成概念があるので、モノクロームによる作品は冒険ではあるのですが、一瞬の中に隠れている物語を鮮烈に浮かび上がらせてくれるモノクロームには、写真作家としてかなりのこだわりがありますね」。

今回の写真展で特筆すべき作品に、ザトウクジラの親子をマックスアートで原寸大に出力した、13m×4mの巨大なモノクローム作品がある。

「そもそものきっかけは、子どもたちにクジラってこんなに大きいんだよ、と見せてあげたかったということですが、こんなにうまくいくとは思いませんでしたね。35mmフィルムからここまで拡大したときに、クジラだとわからなくなるんじゃないか、と心配したんですが、杞憂に終わりました。会場に父子で来られた方が、子どもに母クジラの下にくっついている小さなコバンザメを教えていたくらいに、しっかりと再現できています」と中村氏。作品そのものについても、「カラーの場合は青い海にクジラの黒い体がなじんでしまいがちですが、モノクロームの静謐さがクジラの存在感を際立たせ、一瞬の光芒をとらえることで親子の絆を表現できました」と創作意図を語っている。

この超特大サイズ(13m×4m)の作品は展示パネルの制約から横8枚×縦3枚の24枚で構成されているが、マックスアートでは13m長尺×3枚でも出力できる。この目的に応じてサイズを選べるマックスアートの自由度の高さも、表現の可能性を広げる大きな利点といえるだろ う。用紙にはプロフェッショナルフォトペーパー〈厚手光沢〉を使用。存在感のある質感がインパクトを生むとともに、親子クジラの情感までも伝えている。その他のB0サイズのモノクローム作品には、PX/MC写真用紙ロール〈厚手絹目〉※を採用し、風合いを活かしたモノクローム独特の上品さを醸し出すことに成功した。

※: 現名称「プロフェッショナルフォトペーパー〈厚手絹目〉」。

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完成度の高い色再現力、表現を増幅する純正用紙

作品1

今回の写真展はテーマごとに会場を区切り、次のテーマに進むたびに新たな発見がある構成となっている。『生物たちのドラマ』をテーマにした部屋では、カラー作品をマックスアートによりPX/MCプレミアムマット紙ロールに出力し、展示している。

「海の中は、思っている以上に絢爛豪華な世界なんです。その色彩のきついままで展示すると、色にばかり目がいってしまい、生きもののドラマにまで見る人が行き着かない。そのためしっとりとした色調に表現できるPX/MCプレミアムマット紙ロールを選びました」(中村氏)。

作品の創造性を増幅する最適な用紙を多種多様に選択できることも、マックスアートならではのメリットといえる。

中村氏がインクジェットプリンタを作品づくりに取り入れたのは、2001年7月 エプソン イメージングギャラリーepSITE(エプサイト)で「海の季節」を開催以来、4~5年になる。その理由に、展覧会に込める強い想いが見える。

「生物の写真には、直接手で触れて欲しいくらいなんです。魚の目や口の回りに子どもたちの手の跡がたくさんついていると、うれしくなります。作品が傷ついてしまっても、マックスアートなら同じ色調の作品にすぐ取り替えることもできますし、これは展示のスタイルの大きな発展だと思います」。

画質についても、デジタル感を感じさせない自然な仕上がりで、その完成度の高さに中村氏は驚嘆する。

「豊かなカラースペースが、意図した色合いを表現してくれます。テストプリントで光沢紙への出力も確認しましたが、発色がよく、色再現性もいいですね」。

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マックスアートならではの手際のよい制作工程

作品2

今回の作品づくりは、epSITEの作品制作を手がけているスタッフが担当した。マックスアートは色再現領域が広く、精度の高いカラーコントロールが可能なため、ファーストステップとしてオリジナルのポジ原稿に忠実な作品を作成し、さらに調整を加えることで作家の求めるイメージが完成された。中村氏自身もスタジオのマックスアートPX-5500を使ってテストプリントを作成することもあるが、その場合も「望む海の色を難しい操作を行わずにストレートで再現できる」という。

最近では、マックスアートで出力し、写真展を開催する写真家が増えていると中村氏は語る。自身が展示した作品についても、

「カラー作品もB0に拡大したモノクロ作品も、インクジェットプリンタによる出力だと誰も気づかないですね。銀塩プリントも並ぶ会場の中で、それほど仕上がりはレベルの高いものになっています」とその再現性の高さを再認識。

「35mmフィルムできちんと撮れば、どこまでも大きくできる。それは自分自身への挑戦でもある」と語る中村氏。マックスアートは、その新たな創造の頼もしいパートナーといえる。

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中村征夫氏

中村征夫(写真家)

水中写真の第一人者。ライフワークの東京湾をはじめ、国内外の海や人々、環境などを精力的に取材。海の生き物と真摯に向き合う中で感じた環境保護の重要性を伝え続けている。環境問題や水中写真に関する著書・写真集、TVCFなど幅広く活動。

中村征夫さん公式サイトhttp://www.squall.co.jp/



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