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環境配慮型オフィスへ
北九州市環境ミュージアムで開催された企画展『イノベーションで拓く持続可能な紙の未来』に、乾式オフィス製紙機『PaperLab』を出展したエプソン。同製紙機は水をほとんど使わず(注)オフィス内で新たな紙を再生でき、環境配慮型オフィスを実現できるものとして国内外から注目を集める。
創立以来ものづくり企業としてのDNAを受け継ぎ発展、時計開発等で超微細・精密加工技術を磨きあげ、現在は85のグループ企業、76,000人の従業員数を抱えるエプソン。強みについて、「省エネルギー・小型化・高精度を追究し続けることで生まれた省・小・精の技術」だと話すのは、執行役員技術開発本部副本部長の市川和弘氏だ。
エプソンでは、この「省・小・精の価値」を提供し続けることで、インクジェット、ビジュアル、ウエアラブル、そしてロボティクスという4つのイノベーションを起こし、人やモノと情報がつながる新しい時代を創造するという理念の長期ビジョン『Epson 25を2016年3月に策定。「SDGsについては、17のゴールのうち14に当社の業務がかかわると確認し、長期ビジョン『Epson 25』における成長戦略の実現そのものが持続可能な社会の実現であると考え、当社のすべての事業活動を行っています」と市川氏は話す。
エプソンが見据える環境配慮型オフィスの実現を担うのが、乾式オフィス製紙機PaperLabと低消費電力の高速ラインインクジェットプリンターだ。
開発のきっかけについて、「ペーパーレスの時代と言いながらもやはりオフィスに紙は必要で、皆さんためらいながらも使っています。不可欠なツールである紙をためらいなく使うために、使用済みの紙を手元で、必要な時に必要な量だけ再生して使う。そういった環境づくりにポイントを置きました」。
最大の特長は、水をほとんど使わずに(注)、使用済みの古紙を繊維に戻し新たな紙に再生させるドライファイバーテクノロジーだ。これは、「オフィス内での紙資源循環を可能にすることに付随したさまざまな価値を持つ」と市川氏。新しい紙を使わないことはパルプ原料となる森林資源の保護に加え、その成長過程に必要な水や製造に必要な水の削減だけでなく、パルプ調達、製造、運搬、さらには古紙の回収運搬等で排出されるCO2量の削減にもつながるからだ。
PaperLabは、すでに国内の企業や自治体に導入されているほか、「環境意識が高い欧州からもお声がけを頂いており、世界にも販売を広げていく予定です」と市川氏。
エプソンでは2019年7月、『平成30年度省エネ大賞資源エネルギー庁長官賞』を受賞した低消費電力のエプソン高速ラインインクジェット複合機/プリンターとを組み合わせ、オフィス内で紙を循環させる『環境配慮型オフィス』を新宿オフィス内に設置。『環境配慮型オフィスプロジェクト』もスタートさせた。
これは専用の鍵付回収ボックスを社内に配し分別回収してセンターに持ち込み、機密情報を保持したうえで再利用につなげるというものだ。市川氏は「PaperLabとこのインクジェットプリンターを配備した循環型オフィスが社会の当たり前となるようお客さまにご提案していきたい」と今後を語る。
さらには、「環境以外の価値も大きい」と市川氏。
そのひとつが、企業の機密漏洩リスクの軽減である。PaperLabは、使用済みの紙を繊維にまで分解するので、機密文書も完全に抹消できる。加えて画期的なのが、同機によって実現できる「アップサイクル」だ。PaperLabに入れられた紙は繊維に戻されたのち『ペーパープラス』と呼ばれる結合剤を配合されて再び紙となる。
このペーパープラスの配合によって紙の強度や厚さを変えられるだけでなく、色を付けることも可能だという。
また、PaperLabを導入した企業が、新たな価値を生み出している。その事例のひとつが、愛媛県松山市に本拠地を置く三浦工業だ。ボイラーの製造販売およびメンテナンスが主業で、SDGs達成に向けたビジネスにも積極的な企業として知られる。
「PaperLab導入については、当社の環境管理部が、どれだけの紙を社内で循環させ、どれだけのCO2排出削減が達成できるかを細かく試算してくれ、メリットがあると判断しました」と話すのは、三浦工業常勤特別顧問管理本部担当福島広司氏である。導入は、環境配慮の側面だけでなく、障がい者雇用拡大にもつながった。
使用済みの紙の仕分けに障がい者の「正確さと集中力」が大いに活かされ、さらには、アップサイクル機能を使った「新しいもの」を生み出すアイデアも活用されているという。
これまでに、オフィス内で再生させた紙で、ノート、ペーパークラフト、卓上プラネタリウム、カルタなどを作り、会社を訪問する子どもたちやフェアなどで配布。「休みがちだった社員も、『自分がいないと作業が進まない』と休まなくなりました。この仕事が彼らに、やる気だけでなく責任感も与えてくれました」と福島氏は導入の意義を語った。