ニュースリリース
2018年7月9日
セイコーエプソン株式会社

長野県 広丘事業所に、インクジェットプリントヘッドの新工場が竣工

- 『PrecisionCoreプリントチップ』の生産能力を約3倍に拡大 -


広丘事業所 新工場(9号館)外観

セイコーエプソン株式会社(社長:碓井 稔、以下 エプソン)は、このたび、2016年秋より建設を進めていた広丘事業所(所在地:長野県塩尻市)内の新工場が竣工したことをお知らせします。

新工場は、エプソンの最先端のインクジェットプリントヘッド『PrecisionCore(プレシジョンコア)プリントヘッド』のコアとなる構成部品『PrecisionCoreプリントチップ』の生産を行います。新工場は2018年度内の稼動を予定しており、将来的には、エプソンにおける『PrecisionCoreプリントチップ』の生産能力を現在の約3倍に拡大させる計画です。

エプソンは長期ビジョン「Epson 25」において、オフィスおよび商業・産業印刷を注力する事業領域と位置付けています。2017年度には、将来成長の核となるオフィス向けの高速ラインインクジェット複合機/プリンターを発売しました。また、現在の成長ドライバーである大容量インクタンク搭載インクジェットプリンターは、エマージング地域に加えて先進国でも販売を拡大し、2018年度には前期比170万台増の950万台の販売を計画しています。

さらに、サイネージなどの商業分野、捺染やラベル印刷などの産業分野では、アナログ印刷からデジタル印刷への転換が進みつつあり、大きな市場成長が見込まれます。エプソンは商業・産業向けインクジェットプリンターの完成品ラインアップを強化するとともに、研究開発や生産体制の整備を進めています。

新工場の稼動によって、これらの事業領域の拡大に伴って中長期的に増加するプリントヘッドの需要を支える生産体制を確立することができます。さらに、この生産能力を生かして、大判プリンター向けの『PrecisionCoreプリントヘッド』の外販をグローバルで展開し、パートナーとともに、商業・産業領域におけるデジタル印刷へのシフトを加速させていきます。

なお『PrecisionCoreプリントチップ』は現在、長野県の諏訪南事業所で製造しておりますが、新工場の稼動により2拠点体制となります。また新工場は、災害対策に優れた建物構造および設備を採用し、事業の継続性も強化しています。

そして、新工場は既存工場と比較してスペース生産性20%増を計画し、工場内には研究開発機能も備えているため、生産技術などの開発を推進することで、プリントヘッドの品質や生産性向上においても重要な役割を果たします。

エプソンは、これからも独自の技術を磨き続け、独創のコアデバイスを基にした製品・サービスにより、デジタル・プリンティングの世界を広げ、インクジェットによるイノベーションをさらに加速させていきます。

■新工場の概要

名称 広丘事業所9号館
所在地 〒399-0785 長野県塩尻市広丘原新田80
機能 PrecisionCoreプリントヘッドの生産(前工程)および研究開発
竣工 2018年6月30日
建築面積 10,653m²
延床面積 46,915m²
建築構造 鉄骨造 地下1階・地上5階建て
投資金額 約255億円

■広丘事業所について

広丘事業所はプリンターの企画設計拠点、コアデバイスの研究開発拠点、生産拠点として、国内および海外の生産拠点と密接に連携しています。またコアデバイスの開発・生産を通じて得られる先端の生産技術・ノウハウをエプソンの海外生産拠点へも展開することで、グループの総合的なものづくり力の向上に貢献しています。広丘事業所には、このたび竣工した9号館のほか、商業・産業用大型印刷機の試作・量産およびデジタル捺染のテストラボ機能を備えた新棟(イノベーションセンターB棟)の新設を予定しており、研究開発・生産基盤をさらに強化していきます。

■最先端PrecisionCoreプリントヘッドについて

マイクロピエゾ技術を活用したプリントヘッドは、電圧を加えることで収縮するピエゾ素子の機械的な動きによってインク滴を吐出します。熱を使わないこと、インクの量を正確にコントロールできることに大きな特徴があります。非加熱のため、ヘッドの耐久性が高く、かつ低消費電力を実現、環境負荷を低減することが可能です。

PrecisionCoreプリントヘッドは、ノズルのひとつひとつが異なる制御で、10億分の7グラム程度の非常に微細なインク滴を、1秒間に5万発噴射することができる技術です。インクジェットプリンターの画質と速度を決定する非常に重要なコアデバイスです。そのため、生産においても非常に高度な技術が必要で、エプソンは20年以上にわたり培ってきたインクジェット技術と1/1000mm単位での超微細加工が可能なMEMS技術を融合させ、さらに自社の持つ産業用ロボットも駆使することで、高い品質と生産性を両立する完全自動生産ラインを実現しています。

エプソンは日本国内でPrecisionCoreマイクロTFPプリントヘッドの開発から生産までを一貫して行うことで、次世代プリントヘッドに関する技術的ノウハウの蓄積を図るとともに、生産技術を磐石なものとし、コアデバイス生産の役割を担う国内生産拠点の競争優位性を向上させています。


PrecisionCoreをコアデバイスとして、さまざまな分野のプリンターに展開

※2018年7月現在、生産の前工程(チップ生産)はセイコーエプソン株式会社 諏訪南事業所で、後工程(ヘッド組立)は東北エプソン株式会社、秋田エプソン株式会社で行っています。

PrecisionCoreの詳細は、エプソンの技術ウェブサイトをご参照ください。
◆マイクロピエゾ技術 www.epson.jp/technology/core_technology/inkjet/micro_piezo.htm
◆マイクロピエゾ製造技術 www.epson.jp/technology/manufacturing/micro_piezo.htm

以上

記載されている情報は発表日現在のものです。予告なしに変更になる場合がありますので、あらかじめご了承ください。