2011年6月
高精度・高安定な慣性計測ユニット(IMU)

M-G350

センサー 3軸ジャイロセンサー(±300deg/s)と3軸加速度センサー(±3G)の組み合わせによる高性能6軸センサー
計測精度 0.24deg/√hr(角度ランダムウォーク)
動作時安定性 6deg/hr(ジャイロバイアス安定性)
静止時安定性 ±0.5deg/s(初期0点バイアス偏差)
外形寸法 (W)24.00×(D)24.00×(H)10.00mm
本体重量 7g
消費電流 30mA
動作電圧 3.3V

製品特長

世界最小クラス※1の外形サイズ・消費電力を実現した慣性計測ユニット※2(Inertial Measurement unit、以下IMU)です。高精度・高安定な計測性能をもち、わずかな傾きから大きな動きまで、慣性運動情報を正確に検出することができます。小型・軽量・低消費電力のため、従来のIMUより組み込む製品の設計自由度が高く、さらに、慣性運動の解析・制御、モーション解析・制御、移動体制御、振動制御・安定化、ナビゲーションシステムなど、それまで難しかったさまざまな産業・工業分野の製品への組み込みを可能にしました。

  1. ※1 従来の産業・工業分野向け小型IMU製品との比較(2011年5月末時点、エプソン調べ)
  2. ※2 3軸の角速度センサーと3軸の加速度センサーからなる慣性運動量を検出する装置。主に運動体の挙動の計測、制御を目的として使用

誕生の背景

当初、IMUは慣性運動について高精度・高安定な計測が必要な航空・宇宙分野などで、専用機器に組み込まれ利用されることが一般的でしたが、その後産業・工業分野向けのIMUも開発され、さまざまな製品への組み込みが進み、市場の拡大が見込まれていました。この新しい市場で求められていたのは、IMUの製品への組み込みを容易にするために、精度や安定性を高めながら、さらなる小型化と低消費電力化を実現することでした。

水晶デバイス事業と半導体事業の両方を展開する稀有な企業であるエプソンは、高精度・高安定などの優れた特性を持つ素材である水晶(QUARTZ)に、精密微細加工(MEMS)を施す独自の水晶微細加工技術(QMEMS)を用い、水晶ジャイロ(角速度)センサー※3を開発。それに、GPSなど位置情報デバイスで培った半導体技術やノウハウを融合させるという独自のアプローチで、この製品を誕生させたのです。

※3 検出軸まわりの単位時間当たりの回転角度(角速度)を検出するセンサー

成果と反響

2011年10月には、IMUと、運動データの解析や3D可視化をするソフトウエア技術を融合させた無線モーション計測システム「M-Tracer」を発表しました。このシステムの用途・研究開発をさまざまな分野の有識者と進め、大手ゴルフ用品メーカーへスイングの計測システムとして提供を行うなど、スポーツ・健康領域での新たなビジネスへの展開を進めました。

2013年には、さらなる小型化や基本性能の向上に加え、防水・防塵性能を備えた製品もラインアップすることで、医療・リハビリ分野で使用される超小型・軽量機器への搭載が可能となり、装着時の重量感や運動制約を軽減させました。

2013年9月には、当社のスマートヘッドセット「MOVERIO(モベリオ)」と組み合わせて、物流施設におけるピッキングや仕分け作業の実証実験を行い、作業者の姿勢や位置などの運動情報や見ている方向を感知することで、より正確で安全なナビゲーションが可能になることを示しました。

さらに2015年9月には、業務用途向けスマートヘッドセット「MOVERIO Pro(モベリオ プロ)『BT-2000』」に搭載され、精度の高い行動ログの測定により、業務効率化と生産性向上を実現しています。

また2013年度から、文部科学省委託研究における建物の健全度モニタリングシステムの実証実験に、2年度にわたり採用されました。地震発生時の建物の動きを計測したデータを提供することで、目視では判別できない建物の状態の迅速な評価・判断に役立てられており、安心・安全な社会形成に貢献しています。

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