1988年1月
自動巻発電クオーツウオッチ「セイコーAGS」

ムーブメントサイズ 外径27.6mm、厚み4.2mm
平均月差 ±15秒

75時間持続

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製品特長

1988年1月、世界に先駆けてドイツで発売された、自動巻発電クオーツウオッチ「セイコーAGS(Automatic Generating System)」。超小型の発電機を内蔵し、電池交換を不要としたこの「AGS」は、世界的なエコロジーブームのなか、クオーツの新時代を築く画期的なウオッチとして、大いに脚光を浴びた商品でした。

「AGS」のしくみは、自転車用ライトとほぼ同じ発電システム。ウオッチをつけている腕の動きによって、内蔵された回転錘(おもり)が回転、歯車によって約100倍に増速した回転を利用し、発電用モータを超高速で回転させます。そこで発生した電流を、キャパシタ(コンデンサ)に充電。そのキャパシタから供給される電気で、時計回路を駆動させるのです。

この「AGS」には、ゆっくりとした腕の動きでも発電し、急激な動きにも壊れないよう改良された、高性能小型発電機を搭載していました。さらに、CMOSICやステッピングモータ、キャパシタなども新たに改良・開発し、また、線径13µmの極細コイルの巻線技術などを確立することにより、徹底した低消費電力化が図られていました。これにより、トータル消費電力0.7µWを実現。1回の充電で75時間駆動させることができました。

誕生の背景

クオーツウオッチは、電池エネルギーに頼った駆動方式のため、電池の交換が必要です。したがって、電池の入手が困難な地域での実用性、また廃電池の処理などが、開発当初からの課題でした。当社は、クオーツウオッチの誕生当初から、こうした課題を克服するための製品開発に取り組んできました。その中には、クオーツウオッチの長寿命化、ソーラーウオッチなどの開発も含まれていました。

こうした中で当社が特に力を入れてきたのが、自動巻による駆動方式とクオーツが持つ正確さを融合させた、自動巻発電機構のクオーツウオッチです。1985年には、このAGSウオッチのプロトタイプを完成させ、翌年にはバーゼルフェアに参考出展。そしてついに、1988年1月、自動巻発電機構を備えたクオーツウオッチ「AGS」を、世界へと送り出したのでした。

成果と反響

この「AGS」は、1988年4月には日本でも「セイコーオートクオーツ」として発売されました。また、「電池交換不要」を目的として生まれた「AGS」は、地球環境に関心の高い欧米各国から大きな賞賛を得ました。その後、同機構を搭載した商品が、環境を守るクリーンエネルギー商品として、日本のエコマークにあたるドイツの「ブルーエンジェルマーク」の認定を取得。また、腕の自然な動きで発電する利便性の高い機構として、機構名を「AGS」から「Kinetic」に変更(1997年)しながら、セイコー腕時計の基幹キャリバーの一つとして、さまざまな商品に搭載されていきました。1999年には、「Kinetic」機能に加え、一時的に運針を止める「パワーセーブ機能」や、ウオッチを数回振るだけで即座に現在時刻を表示できる「自動時刻復帰機能」を搭載した新商品「セイコーキネティックオートリレー」が誕生。さらに、その自動発電システムは、クジラの生態調査のためのテレメーター・システムに応用されるなど、ウオッチの分野にとどまらず、多彩な分野で活躍していきました。なお、この「AGS」の開発は、1996年「第42回大河内記念賞」の技術賞を受賞しています。

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