1971年4月
CMOS IC

製品特長

当社半導体事業誕生のきっかけとなった、相補型金属酸化膜半導体(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)集積回路、略して「CMOS IC」。「セイコークオーツアストロン35SQ」の部品内製化から本格的な開発がスタートしたこのウオッチ用ICは、消費電力が低く、製品を小型化・低コスト化できる利点があり、その後のクオーツウオッチの進化に大きく貢献した製品でした。

ICは集積されているトランジスタの構造により、MOS型とバイポーラ型に大別されます。MOS型はバイポーラ型に比べると処理速度が遅いものの、消費電力が少ないうえ、高集積化が容易であるという特性を持っていました。当社はこうした特長に着目し、そのなかでもとりわけ消費電力の少ないCMOS型のIC開発に専念することを決断し、開発を進めました。

こうして1971年4月に誕生した「CMOS IC」は、面積5ミリ平方メートル弱、分周機能とステッピングモータ駆動の信号波形の出力機能を備えており、同年12月に発売されたアナログクオーツウオッチ「セイコークオーツV.F.A.38SQW」に搭載。1973年には、デジタルクオーツウオッチ用のICを開発し、「セイコークオーツLCV.F.A.06LC」に搭載されました。

誕生の背景

1963年に開発されたポータブル型水晶時計「セイコークリスタルクロノメータQC-951」。これを腕時計サイズに小型化するためには、中枢部品の小型化、低消費電力化、耐久性の向上が必要でした。そこで取り組んだ開発テーマの一つが、消費電力の低いICだったのです。

当時、国内にはクオーツウオッチ専用のICを製造しているメーカーはなく、専用ICの自社開発を余儀なくされました。度重なる研究・開発の末、1969年には自社製のハイブリッドICを搭載した「セイコークオーツアストロン35SQ」の開発に成功。その量産体制のなか、ICが後のキーデバイスになると判断した当社は、CMOS ICの自社開発・自社量産を決断し、「MOS IC開発プロジェクト」をスタートさせたのです。

そして1971年4月、「CMOS IC」の自社開発に成功。1973年には量産工場が完成し、社内での「CMOS IC」の開発・量産体制を構築したのでした。

成果と反響

1971年、開発に成功した「CMOS IC」は、当社クオーツウオッチに搭載され、ウオッチ事業の拡大とともに、大きく成長を遂げていきました。1976年には製造・技術・設計の3つのセクションからなる半導体事業部が正式に発足。独立した事業運営に乗り出しました。

また1973年頃、セイコーグループへウオッチ用ICを供給しはじめたことから、「CMOS IC」の営業活動が始まり、1978年には、「メロディIC」「デジタルウオッチ用IC」を中心に他社への販売がスタート。その後も、より汎用性の高いメモリ、音声合成用IC、ゲートアレイ、ASICなどの産業用・民生用ICを開発して製品群を拡大、現在の半導体事業の展開へとつながっています。

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