セミナーレポート

エプソンフォトセミナー

柿島貴志セミナー

写真展に向けた額装方法

第2回:額装は写真を見つめ直すための道具

アートフォトプロデューサー柿島貴志氏による「写真展に向けた額装方法」。
第2回は写真の作品性をいかに生かすかをテーマにいろいろな額装事例を紹介します。

今度は普段やっている仕事から紹介していきたいと思います。まずコーディネート編としてテイストなどの話をしたいと思います。
これは実際にエプソンさんの仕事で制作した動物の鹿か何かの骨の写真の額装です。
この写真を額装する際に気をつけたのは、写真全体の色と骨の質感をうまく表現できないか、という点でした。
そこで、つるんとしたフレームではなくテクスチャーのあるフレームを合わせました。この作品は作家性を出すというより、インテリアとして格好がいいというところに落とし込んだ事例です。

次はベルサイユ宮殿のようにデコレイトされた額ですが、結構有名な若手の作家さんの不思議な世界を表現した作品に使用しました。
この時に狙ったのは下品すれすれのコーディネートでした。作品の世界観に合わせた事例です。

この2例はテイストでしたが、次は構造の話をしたいと思います。
まず、シンプルなアルミフレームですが、この場合マットにひと工夫します。
それはどういうことかというと、下のマットの幅と、上のマットの幅が均等ではなく、上の方が若干マットの幅を狭くします。
これはマットの中心に写真を入れてしまうと、目の錯覚で中心より下に写真が落ちて見えてしまうのです。
ですので上のマット幅と下のマット幅を47:53くらいしています。「偏芯(へんしん)」という言葉であらわしたりします。

次に見てもらうのは三連窓抜きです。一枚一枚見るというよりは、まとめて見ると面白い作品などには有効な額装方法ですね。
カラフルで色で遊んでるという感じの作品でしたので、作品を一緒に見せるという額装の例です。

次はモノクロプリントで、フレームも細身の木の額縁、白マットを使っています。先ほどまでと比べてオーソドックスな感じです。
しかし、これまでは作品に対して2mmぐらいマットを被せる、というのが伝統的なマットの使い方だったのですが、この作品ではあえて写真とマットの間に5mmほど余白を空けています。
デジタル時代はこれが容易に出来るようになりました。
銀塩プリントの場合、暗室の中で写真の角を90度にビッチリあわせるが結構大変なのですが、インクジェットプリントは写真の角を直角に出すことが出来ますので比較的容易になった展示事例のひとつです。
この効果は何かと言うと、感覚でしかないのですが、額装とマットによる重苦しい雰囲気をちょっと軽くしてくれ、おしゃれな感じに仕上がる効果があります。
プリントにサインが入ってる場合はこの額装が効果的です。

次のものは、「フローティング」や「浮かせ」と呼んでいる額装方法で、横から見ると写真が浮いています。
これはまず写真を裏打ちします。その下に5mmくらいの台を作ってマットと接着しています。
写真は浮いているのですが、額自体が箱になっているので、箱の中で写真がふわっと浮いて見える額装です。

いくつかの事例を挙げてきましたが、このように額装というのは額を作るだけではなく、その作品をどう演出するか、どう楽しむか、写真をもう一度見つめ直すための機会なのです。