セミナーレポート

エプソンフォトセミナー

柿島貴志セミナー

写真展に向けた額装方法

第1回:額装の役割と考え方

写真は用途がなくプリントされるということはありません。人に見せる、飾るなどの用途を持ち生まれてきます。
「写真展に向けた額装方法」では、額装という面から写真作品を検討し、その方法の解説と活用方法を提案します。
講師はアートフォトプロデューサー柿島貴志氏。氏は東京、中目黒のギャラリーPOETIC SCAPEの運営、作家の展示コーディネートを通して、写真を飾って楽しむ方法を広めています。
第1回は基本となる額装の必要性と方法の解説です。

柿島です。本日はよろしくお願いします。

日頃私は中目黒のPOETIC SCAPEというギャラリーを運営しています。作品販売においても、また作品を格好よく見せるということにおいても額装という要素は非常に大きいと考えています。
しかし日本では欧米ほどその辺りが認識されていない部分もあるのが現状です。
そこで本セミナーでは過去の実例を踏まえて、額装の重要性と写真を飾る楽しさを紹介していきたいと思います。
まず最初に、そもそも額装とは何かということです。
額装はフレームと呼ばれる額縁、写真の前に入れるガラスやアクリル、そして額縁の中に入れ写真とガラス・アクリルの間に入れるマットの3つで構成されます。

フレームは木やアルミのものが多く、これによって横からの衝撃などから写真を守ってくれます。
2つ目はガラスやアクリルで、これは前からの衝撃や水分、煙草の煙などから写真を守ります。
最近ではガラスよりも軽く、仮に作品が落ちても割れにくいアクリルを使うことが多くなっています。
そして最後がマットです。写真のプリントというのは基本ペラペラです。それを補強し、写真とガラスやアクリルが密着するのを防ぐ為にマットがあります。
また、このマットは湿度調節をしてくれます。写真は水分にとても弱く、湿度が多いと曲がってきます。
マットは空気中の湿気を吸ったり、乾燥してきた時に水分を出して、適度な状態に保ってくれる役割があります。

では次に、何故額装なのかという話をしたいと思います。
額装には3つの役割があります。ひとつ目は先ほども触れましたが「作品の保護」です。
そしてふたつ目は「装飾」です。写真を格好よく飾るということです。
写真の額としては、シンプルで細身のフレームが基本です。分厚いと圧迫感が出てしまいます。
また「装飾」という面ではマットも重要です。これもインクジェット用紙同様に黄色っぽい白色や青味がかっている白色、カラーのマットまで種類が豊富です。
そして3つ目の目的は、「作品をTPO(時・場所・場合)に合わせる」という点です。これは私のギャラリーが取り扱っている尾黒久美さんの作品です。

彼女はベルギー在住の作家で、ちょっと怪しげな世界を創ります。
普段は黒の6mmのアルミフレームに入れていますが、ある展覧会ではちょっと装飾的な額に入れました。
この時の企画意図は、「展覧会自体をベルギーの教会にいるような感じにしたい」という明確なシチュエーションのイメージがありました。
そこで額装でそれを表現しようということになり、装飾的な額を使用しました。こうした写真展示を作家の思う場所やシチュエーションに合わせるのも額装の役割です。

こうして見てみますと、私は額装って実は服装に近いんじゃないかなって思います。
そして額装をする時に大事なのはなんでしょう?それは「試着する」ことです。
額に入れようと考えた時は、適当な額に入れるのではなく、服と一緒でいろいろな額やマットに試着してみるといいでしょう。