セミナーレポート

エプソンフォトセミナー

茂手木秀行×小島勉セミナー

デジタル環境でのモノクロ写真づくり

第3回:生きる用紙選び

写真家茂手木秀行氏、プリンティングディレクター小島勉氏による「デジタル環境でのモノクロ写真づくり」セミナーの最終回。
茂手木氏が作ったモノクロデータを小島氏によって最終段階のプリントに仕上げていきます。
今回のテーマは用紙選び。様々な用紙の特徴の紹介や作品にあった用紙選びを紹介していきます。

■小島
茂手木さんの方で作ったデータをこれからプリントしていくわけですが、まずはプリンターの設定だけおさらいしておきます。
プリントをする上で一番大切なのはプリンタドライバー画面内の「カラーマネージメント」です。
カラーマネージメントには「Photoshopによる色管理」と「プリンターによる色管理」がありますが、モノクロ写真のプリントに関してはエプソンのプロファイルがよく出来ていますので「プリンターによる色管理」に設定するといいです。
また「カラー」の項目で「モノクロ写真」に設定しますと美しいモノクロをプリントすることができます。

「生きる用紙選び」ということで、現在は純正紙だけではなく他社製の紙もいろいろ選ぶことができるようになっています。
どんな用紙があるのかと申しますと、大きく分けて4つあります。ひとつはクリスピアに代表される光沢、絹目調、マット調といった「写真用紙」。
そしてウルトラスムースやベルベットファインなどファインアートペーパーを含む「画材紙」です。
ここには他社製の紙、例えば海外製のハーネミューレ、キャンソンなどもここに含まれます。
3つ目はアワガミファクトリーに代表される「和紙」。
最後にシルバーに光ったりする「フィルム」です。

そしてこのようなたくさんの種類の中から用紙を選んでいく際のポイントですが、「平滑度」「白色」「光沢」の3つの特徴をそれぞれ掴んでおくことです。
平滑度は風合いとか味わいに直結します。白色は地の白の種類です。
例えばクリスピアは白色度の高い、すなわち反射率が高い紙と言えます。
これは白と黒の差がはっきりと出ますよということになります。
それに比べてフォトマット紙は白色度が少し低い紙と言えるでしょう。
あとは「光沢」ですが、これは透明感や華やかさにつながります。
それぞれの紙をこの3つの要素で分解し特徴を掴むと紙の選択はスムーズになります。

あとは茂手木さんの写真を見て作品の考察を自分なりに行ない、その作品にあった紙を選んでいきます。
今回はクリスピアを基準にして4つの紙を選んでみました。
ひとつはアワガミファクトリーの和紙、「楮2層紙」。
その次は竹尾の画材紙「DeepPVカキタ」。これは静岡県にある柿田湧水という湧き水の流れをイメージして作ったという紙です。
非常にプレーンでエプソンのウルトラスムースファインアートペーパーに似ている感じの紙です。
それからハーネミューレの「フォトラグバライタ」。
それと最後は「フレスコジクレー TypeS」です。

■茂手木
フレスコジクレーは漆喰シートというまた特殊な紙ですね。
ではここでプリントを拝見しますが、見比べてみますと同じデータでもずいぶん雰囲気が違います。
例えばDeepPVカキタは少し黒が浅く出る傾向があるなとか、フォトラグバライタは銀塩に近い表現をするなとか、その紙の特性も分かってきます。
またアワガミも少し黒が浅くなります。そして写真の上に紙の繊維がのって表現されますね。

■小島
皆さんにお見せしているプリントの下には白から黒のグラデーションを一緒にプリントしていますが、このグラデーションを見てください。
このように白から黒まで色のねじれがなくストレートなグラデーションがプリントできるのはインクジェットプリンターしかないんです。
僕は初めて、このグラデーションを見たときもう参りましたって思いました(笑)。
印刷の世界では、通常このような綺麗なグラデーションを出すには特色という黒系の特殊なインキを使用しないとこのようなグラデーションは表現できません。

■茂手木
僕がこの中で一番気に入った用紙はフレスコジクレーTypeSでした。この用紙はエンボス加工が無いので、紙が模様を作るというようなことはありません。
またシャドウの表現がすごくいいですね。

■小島
そうですね。作品の良さを極限まで引き出すことができる用紙を選ぶのも作品づくりのテクニックと言えると思います。

■茂手木
このようにいくつかの用紙にプリントし、僕の作品に適した用紙を選んだものが今回、会場入り口に展示した写真になったわけです。
作品づくりはデータの処理はもちろんですが、やはり最終的には用紙選びが大事な要素になっていくでしょう。
今日はモノクロの作品づくりのテクニックとそれを最大限に生かすための用紙選びを紹介しました。

■小島
やっていることはそれほど難しいことではありません。みなさんの作品づくりの参考になってくれるとうれしいですね。