セミナーレポート

エプソンフォトセミナー

茂手木秀行×小島勉セミナー

デジタル環境でのモノクロ写真づくり

第2回:色差を調整してコントラストとシャープネスを作り出す

写真家茂手木秀行氏、プリンティングディレクター小島勉氏による「デジタル環境でのモノクロ写真づくり」セミナー。
第2回はAdobe®Photoshop®Lightroom®を使った茂手木氏による画像調整のテクニックを紹介します。

それでは実際にやっていきましょう。まず元のデータを見てみます。
これだけでも気持ちのいい写真なんですけど、この中のディティールと真夏の日差しをモノクロでより強調して出していきたいと思います。

はじめに大事なのは「ヒストグラム」です。この写真データのヒストグラムを見ますと、あまり白を使っていないことが分かりますね。
また左側を見ると黒を潰していない状態です。まずはこのようなどちらかに偏らない山型のような状態のデータがモノクロ写真にはベストです。

Lightroom®の場合「基本補正」をクリックし、タブを開けますと「白黒」というボタンがあります、ここを押しますとモノクロになります。
ちなみに、Photoshop®を使っている場合はCameraRawの「HSLグレースケール」というタブの中の「モノクロ」というのを選ぶとモノクロになります。
これでモノクロ化ができました。これだけでもいいのですが、せっかくなのでもっとディティールを表現したいということで少し調整していきます。

次は、「レンズ補正」を選択し、そして「カラー」というカテゴリーの中の「色収差を除去」にチェックを入れます。
実はここ、非常に大事なポイントです。
何故かというと、デジタルで撮影した写真は、空と地面の境目などの輪郭に、赤や青で縁取ったような線が描写がされる時があります。
これを除去するのが「色収差を除去」なんです。これをやっておきますと、後で色を修正する時に変な輪郭線が出なくなります。

さぁ次はモノクロ写真の世界を演出する為のシャープネスの補正です。どうやるかというと、まず「露光量」を落とす。そして「コントラスト」を強くしています。
コントラストを上げていくと白がどんどん飛んでいきますので、ハイライトを下げるという意味で露光量を落とします。
そしてもうひとつのポイントは「明瞭度」。これはシャープネスの一種ではあるのですが、エッジの部分に掛かるわけではないですので輪郭がピリピリした感じにはなりません。
境界線と境界線の柔らかさを保ったまま隣り合っている明るいところと暗いところを強調していく効果があるんです。この明瞭度を調整して好みのシャープネスにしていきます。
これでほぼ完成です。

でもこのままでは、いまいち空が緩い感じがしますね。
モノクロの写真で空が抜けているような青空を表現する場合、ある程度暗く落ちているとその感じが出るじゃないですか?
それを次に表現していきたいと思います。ここで使うのは「HSL」という機能です。
ここではレッド/オレンジ/イエロー/グリーン/アクア/ブルー/パープル/マゼンタと8種類の色相を調整できるようになっています。

この機能を使って各色相の明るさを調整するわけです。空の色相はアクアやブルーですので、画面を見ながらこれらの色相の明るさを調整します。
デジタルカメラはカラーで撮影しています。ですのでカラー情報のそれぞれの色の明るさを調整することで明暗比を作り出すのです。
はじめ「明瞭度」で全体の明暗比を調整しておいて、さらに「HSL」で部分的に明暗比を調整することができるんです。
こうして調整するとコントラストが上がって、どうしても硬くなってしまう印象があるじゃないですか?でもここでは色と色の差を広げていくだけですのでコントラスト比率はかわらないんですね。
ですので柔らかいトーンでありながらディティールのしっかりした写真をつくり出すことができます。

そして最後のポイントは、「シャープネス」ですが、ここはデフォルトからいじってはいけません。
RAWデータのシャープネスは概して緩く、ほんの少しシャープが掛かっているだけですが、ここから変える必要はないのです。むしろ落としてもいいくらい。
そして何をするかというと、その下にある「ノイズ軽減」をいじります。これは別にノイズが出ているから軽減するわけではなく、輪郭の柔らかさを作ってくれます。

この機能が一番効いてくるのは青空などです。デジタルカメラはブルー系の色相にノイズが乗りやすいのですが、これを少し消してあげることによって全体のバランスを整えます。
もともとノイズのないところには影響は出ませんので必要とあれば結構大きい値にしても大丈夫です。
こうすることで柔らかさの中にシャープネスが存在する写真になります。

まとめますと最初に「色収差を除去」する。次に「HSL」でディティールがきちんと出るように色ごとに調整する。最後にディティールのところで「ノイズ軽減」をする。以上この3つです。
ここまでデータを作ったらあとはいよいよ小島さんの出番です。