セミナーレポート

エプソンフォトセミナー

茂手木秀行×小島勉セミナー

デジタル環境でのモノクロ写真づくり

第1回:モノクロ表現は時間をそのまま止めておきたいという感情表現

写真作品はカラーだけではありません。モノクロも写真を代表する表現方法のひとつです。そしてデジタル写真においてモノクロ作品をつくるには様々な方法があります。
「デジタル環境でのモノクロ写真づくり」ではデジタルカメラで撮影したデータをモノクロプリントまでに仕上げるテクニックとプロセスを紹介いたします。

講師は写真家の茂手木秀行氏とプリンティングディレクターの小島勉氏。
茂手木氏は自身の作品の中にもモノクロ表現を多く取り入れ、2007年より「Hello! monochrome」と題したインクジェットプリントによるモノクロ表現の可能性を問いかけるイベントをプロデュース。
また小島氏はトッパングラフィックスに在籍し、数多くの写真家の作品出力を手掛け、近年ではインクジェットプリントを使って文化財の復元事業なども手掛けています。

■茂手木
さぁ小島さん、ようやくモノクロ写真のセミナーをやる時が来ましたね。

■小島
いよいよですね。

■茂手木
以前はインクジェットでモノクロプリントがきちんと表現できませんでした。

■小島
そうですね。色のコントロールが大変でしたね。カラーでモノクロを再現しなくてはいけませんでしたしね。

■茂手木
モノクロがきちんと表現できるプリンターが出たのは2005年、エプソンの「PX-5500」がはじめですが、それ以降、モノクロをちゃんと表現できるのは世界で唯一エプソンだけだと思います。

モノクロの世界って今更、皆さんに説明する必要はありませんが、色が無いことが特徴です。
写真において色は、例えばイエローを強調すると懐かしい感じ、ブルーを強調するとすっきりした涼しい感じ、グリーンを強調すると少し寂しい感じといったように感情表現に密接に関わってきます。
ではモノクロにすると感情がなくなるのかというとそいうことではありません。
写真は撮り手がそこに行かないと成立しないわけですが、自分がそこに行ってシャッターを切った時間をそのまま止めておきたいという意識、青空や日陰の草までもが全てがいとおしい・・・そのような気持ちを持つものがモノクロ写真だと思います。

今回はこの会場の入口に飾っていた僕のA2の作品をもとに、僕と小島さんがどのような作業をしたかをお伝えしようと思います。
前半は僕が画像調整のテクニックのお話。そのあとは小島さんにバトンタッチして用紙選びとプリントについて解説していきます。

この写真は四国の小豆島なんですけど、これは廃墟ではありません。
もともとあった建物を一度壊してこれからもう一度新しいものを建てるという現場です。
僕はこういう新しく何かが動くという場所に注目して撮影しています。撮ったカメラはRICOHのGXRです。

モノクロ写真の基本的な考え方はもともと撮った時に記録されている色と色の差を大きくすることによって調子やシャープ感を作り出すということです。
したがってシャープネスを掛けてはいけません。

今回はAdobe®のPhotoshop®Lightroom®というソフトを使って解説していきます。
このソフトはPhotoshop®のプラグインソフトCameraRAWプラグインに近いものですが、RAW現像に特化したソフトです。