セミナーレポート

NEW PHOTO FORUM 2013 セミナーレポート

ニコンカレッジ特別セミナー

写真作品に仕上げるためのプリントを意識した撮影術

第1章:高画素カメラをどう使いこなすか

プリント作品を仕上げるには撮影時からの意識が必要です。ニコンカレッジ特別セミナーでは、プリント作品をつくる上で撮影時に気をつけることやレンズの選び方、カメラの設定、データの保存形式などを解説していきます。第1章は高画素化したカメラで撮影するための注意点やテクニックです。

今回のセミナーではA2の大判作品を仕上げることを前提に、知っておきたいことや注意点を解説していきます。現在、デジタルカメラの高画素化が進み、非常にキレのある描写性に優れた映像をつくることが出来るようになりました。その映像の解像感を引き出すことが出来るのは、やはりラージサイズによるプリントです。紙のサイズを大きくすることで、写真はより一層、その迫力や空気感を表現するようになります。

まず第1章はこうした高画素カメラをどうやって使っていくか、という部分を紹介します。現在ニコンではフラッグシップのD4、先日発売しましたDFを除くすべてのカメラが高画素化しました。D800、D800Eの3630万画素を筆頭に、D600の2426万画素、DXフォーマットのカメラもすべて2000万画素オーバーになってきました。2000万画素を越えるカメラになりますと撮影の方法、レンズの選び方が重要になります。こうしたカメラでの撮影は、カメラの設定が重要になりますが、特にどの辺を見ていけばいいでしょう?

私が特に重要と考えていますのは「ピクチャーコントロール」と「色空間」の設定です。私がおすすめするピクチャーコントロールは「スタンダード」。これはニコンが推奨する設定で、コントラスト、彩度、輪郭強調が最適化されていますので、どんな被写体にも適合できるようになっています。また、色空間はsRGBとAdobe® RGBがありますが、私がよく使うのはsRGBです。理由は、私の仕事上、ネット経由で撮影画像を確認するケースが多いためです。相手が私の写真を見るデバイスの環境が、パソコンやスマートフォン、タブレット端末といったものになりますので、そうしたモニターで主に使われている色空間がsRGBということが理由のひとつとなっています。

それと、プリントする際に「エプソン基準色」を使用できることです。ニコンのデータであればエプソン基準色を使うことで正確に色を再現してくれます。そういうことを注意すれば色に関しての設定は問題ないかと思います。

また、高画素カメラを使った作品づくりで重要なポイントは、後処理に頼らないことと、徹底的にブレを防ぐことです。後処理に頼らないとは、どういうことか?これはAdobe® Photoshop®であとからトリミングをすればいいや、直せばいいやといった考えを捨て去ることです。撮影段階で最適な露出、フレーミングを決めるというのは基本です。特にトリミングは、やった分だけ画素数が減っていきます。そのためトリミングをしてしまいますとラージサイズのプリント作品はつくれなくなってしまいます。シャッターを切る前にフォーカスエリアを再度確認してフレーミングを決めていただければと思います。

それと徹底的にブレを防ぐということです。2000万画素クラスのカメラを私も使用していますが、やっぱりブレます(笑)。ちょっとした気の緩みですぐにブレが出てくるのです。全体を見ると何となくブレていないよね?と思える画像も、等倍まで拡大するとブレは顕著にあらわれます。ラージサイズプリントにすると結果は如実です。ブレを防ぐために、どのような対策をするかが大切です。

まずは手持ち撮影の場合、できればVRレンズを使いましょう。VR機能がついていないレンズの場合はシャッター速度をレンズの焦点距離の2倍分の1秒以上で切ることを目安にしてください。200ミリレンズの場合でしたら、400分の1秒のシャッター速度を確保していただければと思います。また三脚を使う場合ですが、VRレンズを使用する際は必ずVR機能をOFFにします。ONにしたままですとグズグズの余計ブレたような絵になります。

そして三脚使用の場合、横位置と縦位置で加重位置が変わります。横位置はカメラの重心が雲台の真ん中、エレベーターの中心に来るようになっていますので特に問題はありません。ところが縦位置になりますと雲台を90度傾けますから、カメラの重心はエレベーターの中心軸からずれてしまいます。そのため安定性は著しく損なわれてしまいます。夕景、夜景などスローシャッターで撮影する場合はこれが致命傷になることがあります。ではどうするのか?市販のL型ブラケットを使用し、カメラの重心を三脚の中心軸からずらさないようにするといいでしょう。また、三脚のストラップは固定する、あるいは取り外してください。これは風などでストラップが揺れてしまいますとブレの原因になるからです。更にカメラのシャッターボタンは押さずに、無線タイプのシャッターレリーズなどで操作をしましょう。こうした注意を払うことで、ようやくブレを防ぐことができます。

荷重が中心軸から外れることで振動しやすくなる/スローシャッター撮影時は特に注意L型ブラケット(市販)を使うことで、縦位置でも荷重が中心軸上にある

(注):Adobe、Photoshopは、Adobe System Incorporatedの登録商標、または商標です。