セミナーレポート

NEW PHOTO FORUM 2013 セミナーレポート

根本タケシセミナー

記録メディアから、想いを解き放とう!根本流プリントテクニック

第2章:自分だけのプリントに仕上げる

第2章は、インクジェットプリントで自分だけのプリントをつくるための下準備です。ここでは根本氏の作品プリントを例に、どうすれば独自性をもったプリントをつくることができるかといった概略を解説します。

次に、実際のプリントということで、僕のプリントを軸に解説していきます。僕の作品は、ここでお見せしているような過程で仕上げています。方法は後ほど解説するとしまして、まずはこの作品の背景を少しお話します。この写真は、永平寺という福井にあるお寺の山門を撮ったものです。この寺の建立は紀元1200年半ば頃ですが、戦乱などで何度か焼失して建て直されています。現在の永平寺山門の屋根は銅板葺きになっていますが、創建時は桧皮葺きであったかもしれません。その方がこの建物を取り巻く静寂な雰囲気にマッチしているような気もします。この作品はアワガミファクトリーの「びざん」という用紙を使用しています。手漉き和紙の風合いが永平寺の空気感と一致すると感じたからです。

作品づくりに大切なものは、プリントやAdobe® Photoshop®のテクニックだけではありません。まずは、どのような用紙を使用するか決めることです。ここで作品の雰囲気が決定されます。テクニックはその後の段階と言っていいでしょう。そして用紙選びのポイントは、ずばり高い用紙を使用することです。値段が張る用紙はそれだけの理由があります。インクジェットプリント用紙にはインクを受け止める層がありますが、高価なものは、この層が厚く沢山のインクを吸収することができます。それだけプリントした時の濃度を表現することが出来るのです。また、高価な用紙はほとんど<中性紙>であり、耐候性等でアドバンテージがあります。さらに、高価な用紙を使用すれば、1枚1枚のプリントに真剣になります。仮に1回失敗したら、その原因を究明し二度と失敗しないように細心の注意を払います。そうしますとプリント時の設定やテクニックもどんどん自分の中に吸収でき、結果として無駄のないプリントづくりが出来るわけです。
私は仕上がった作品には落款を押しています。これには賛否がありますが、自分の作品に責任を持ちたいという意思で押しています。こうした手間をかけてプリントをつくりますと、プリンターから出てきた量産のできるプリント物ではなくなりますよね?
これはただひとつの自分の作品、誰も真似できない一品ものとなります。

今紹介した作品は和紙ですが、インクジェット用紙における和紙も沢山の種類が存在します。例えば今回使用したびざんは「耳付き」の用紙ですね。これなんかはプリントして、額装無しでそのまま部屋に飾っても作品として十分に貫禄を持たせることができるのではないかと思います。また、和紙だけではなく、コットンだったり、FLトクヤマのフレスコジクレーといった漆喰の用紙もあります。こうした用紙を沢山試して、自分好みのものを探し出すというのも、自分だけの作品づくりには大切なのだと思います。

(注):Adobe、Photoshopは、Adobe System Incorporatedの登録商標、または商標です。