セミナーレポート

NEW PHOTO FORUM 2012 セミナーレポート

岡嶋和幸×松平光弘セミナー

写真家が語る 写真展までの作品制作

第1回:写真作品はあくまでプリント

写真作品をつくる上で必要なのは何でしょうか?カメラテクニック、レタッチテクニック、プリントテクニックなど求められる知識やスキルは様々あります。
「写真家が語る 写真展までの作品制作」では写真展に展示する作品の制作過程を通して、作品をつくりあげる上での必要な要素を学んでいきます。
講師は写真家の岡嶋和幸氏とプリンティングディレクターの松平光弘氏。岡嶋氏は2012年11月にエプソンイメージングギャラリーepSITEにて「九十九里」という写真展を開催しました。
展示作品のプリントは松平光弘氏の手によるものでした。第1回は今回の写真展について解説していきます。

■岡嶋
今日のセミナーは「写真家が語る 写真展までの作品制作」ということで、作品制作について解説していきます。
僕は11月にエプソンのギャラリーepSITEで写真展「九十九里」を開催しました。今回はその作品の制作を例にしてお話をしたいと思います。

■松平
よろしくおねがいします。

■岡嶋
写真展「九十九里」は文字通り千葉県房総半島の外房の海岸線、九十九里浜を撮影した写真展です。
九十九里浜は66キロも続く長い海岸線で、その一番南は上総一ノ宮というところになります。僕はそこから車でさらに南に30分ほど行った御宿町というところに住んでいます。
御宿の海は以前より撮っており、「くろしお」という作品になっているのですが、そこでは水平線や空などは入れず、波のクローズアップを抽象的に撮ったものでした。今回の「九十九里」は自分が住んでいるところよりもちょっと北、九十九里の海を周りの風景を入れながらまとめるということをしました。

普段よく見ている光景ですがここ10年くらいで少しずつ変化しているというのを感じていて、それは自然・町が変わってきているなと思いはじめたんです。
今回の写真展のキーワードは「永遠とは」にしました。

■松平
深いですね。

■岡嶋
ちょっとキザですね。そのきっかけはやはり震災です。
僕の周りの写真家も震災の影響でけっこう写真のスタイルや考え方が変わった方がいましたが、僕自身も例外ではなく影響をうけました。
震災以前はアイルランドやスコットランドで作品を撮っていましたが、それと同時に身近な日本を記録しようと気づかされたのです。
でもこのように僕はキーワードを頭につけて撮影することが多いです。そうすると撮影やセレクトにブレがなくなります。
「九十九里」では海に背を向けてそこに住んでいる人たちや街を撮って九十九里を表現しようとしたのです。

■松平
なるほど。だから九十九里浜ではなく九十九里というタイトルなんですね。

九十九里

■岡嶋
九十九里は2年くらい前から撮りはじめていましたが、展示作品はほとんど今年の8月の終わりから10月初頭にかけて撮ったものになりました。
これは、写真展の開催が決まり、どのような展示にしようかと松平さんと考えていく中で、自然とセレクトされていった写真がこの期間に撮ったものになってしまいました。
この作品はあくまでもはじまりです。これからも10年20年と撮影してまとめていこうと思っています。
話が少し反れました。僕の場合、写真というとやはりプリントです。
広告や雑誌の仕事もしていますので印刷になることもありますが、僕の中で写真作品というのはあくまでも印画紙やプリント用紙に出力されたプリントなんです。
では実際に撮影後の時点から出来上がりまでのプリント制作過程を松平さんにナビゲートしていただきながら紹介したいと思います。
正直素の状態の写真をお見せしないといけなくなるので私個人としては結構恥ずかしいのですが・・・。

■松平
いやいやそんなことないですよ(笑)。
このあとお見せしながら解説していきます。