セミナーレポート

NEW PHOTO FORUM 2011 セミナーレポート

エプソン流プリントお楽しみ術

~写真を飾ろう~

みなさんは撮影した写真をどのように鑑賞していますか?
きれいにプリントした写真を額に入れて壁にかけると、がらりと印象が変わるものです。ご家族や友人の意外な反応や意見を聞く機会にもなります。このセミナーでは、写真の飾り方や見せ方、展示した写真が人に与える印象の違い、作品を通して伝えたいこだわりなどについて考えていきます。

1. アフタープリントを楽しむ

みなさんは撮影した画像データに画像調整を施して、写真のデータを完成させた後、どうされていますか?そのままハードディスクにしまったままという方も多いのではないでしょうか?みなさんは写真の腕もお持ちで、いいカメラやプリンターも使っていらっしゃるはず。今回は「アフタープリント」ということに重点を置いてお話したいと思っています。

デジタルカメラの普及に伴い、シャッターを押す機会も増えていると思われます。でも、それをプリントして確認していますか?さらに写真の腕をあげるには、やはりプリントでの確認が大切です。しかも一人で眺めるのではなく、ご家族や友人に見せ、一緒に語らうことが重要です。まず、プリントをする際には3つのポイントがあります。

1.解像度が充分であること

いいプリントをするには充分な解像度が必要です。また、プリントをする時に色味が不自然でないかどうかを確かめてみてください。空の階調にノイズが出ていないか、自然界にない色が出てしまっていないかなど注意しましょう。

2.プリント用紙の扱いは大切に

プリント用紙は丁寧に扱ってください。インクジェット用紙の表面はとても弱いのです。布でこすっただけでも細かい傷がつくことがあります。

3.プリントしたものを飾って自分の目で見る

まずは飾って自分の目で確かめてみてください。プリントで実感できることは何か、また、プリントを中心にコミュニケーションの環を広げていってください。大袈裟かもしれませんが、プリントした写真を飾ることで、みなさんのフォトライフや生活全般が豊かになればいいな、と思っています。

まずは自宅の居間に写真を飾ってみましょう。モノクロ写真を正方形にトリミングして飾るだけで、雰囲気が変わります(左)。A4の写真でも、三連にしてストーリーにすると、ボリュームがでます。ちょっとお金がかかりましたけど、派手な色味の写真が入ると、部屋の感じも変わって見えてくるのではないでしょうか?(中)。また、2Lサイズの写真でも、モノクロの四連にして並べると、リッチな感じに見えてきます。(右)。さらに家族の写真が入るとより写真が身近に感じられます。家族が喜べば、自分もうれしくなってきますし、励みにもなるはずです。ぜひみなさんもいろいろと試してみてください。

また、写真は額に入れて飾るという概念から離れて、空間を自由に使って表現することで、新たな感動が生まれます。

これまで、新宿のエプサイトギャラリーでは、10年以上インクジェットによる展覧会を開催してきました。その間に、インクジェットでできる様々な可能性を展覧会という形にして表現してきました。
ひとつの写真を壁紙にしてその上にさらに作品を重ねたもの(左)、写真を曲面に貼りこんだり(中央)、またA4サイズでも約2000点を展示したもの(右)、ほかにも様々な見せ方をチャレンジしてきました。

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2. 写真を飾るポイント

いよいよ写真を飾る方法についてお話したいと思います。ここでは写真を飾る際の3つのポイントをお話しします。

●どんな仕立て方をするか(額装) ●作品をかける「配置」や「目線」 ●ライティング

■額装

額についてですが、アルミフレームと木製の枠という違いだけでも与える印象が全然違います。縁の細いシンプルなアルミフレームは、枠が主張せず写真の方に目がいきます。ご自宅で飾られる場合は木製の方がインテリアにマッチするかもしれません。また、同じ額でも縦に使うか、横に使うかで雰囲気が変わって、いろんな楽しみ方ができます。

■オーバーマット

額の話にも関連しますが、写真のまわりのオーバーマットによって、写真の印象も変わってきます。ここに2枚の写真があります。どう違うか分かりますか?

左の額は写真が中央に配置されています。右の写真はオーバーマットに対して、写真が少し上に配置されています。つまり、余白の上と下の長さが少しだけ違っています。モノって真ん中に配置すると少し沈んで見えるものです。だから、あえて写真を少し上に配置しています。プロや美術館などではこうした余白のバランスまで気を配ります。

© Kazuo Ikenaga

■目線

次に目線について考えていきましょう。
作品を見上げるか見下ろすかで、これもまた随分印象が変わってきます。ポートレートを例に挙げると、子どもの姿などはあまり見上げないですよね?なので、子どもの写真などは、少し下げた方が自然に見えたりします。
一般的に美術館やギャラリーなどでは、日本人の平均身長から考えて、地面から1m45cmのところに作品の中心を置いて飾っていきます。でもこれを1~2cm変えるだけで、印象が随分変わってくるものです。

© Eiji Ina

■ライティング

最後にライティング、照明についてです。照明の考え方には2つあります。当て方と光の質です。

ここに全く同じ4枚の写真があります。1つは作品にまんべんなく光が当たっています。写真全体を見せる一般的な当て方です。次にスポットライトで写真の一部を強調しています。その隣は蛍光灯により、色温度が変わっていて、少し青っぽく見えています。一番右は壁に光がこぼれず、作品にのみ光を当てています。この照明器具を、私たちはカッターライトと呼んでいますが、あたかも写真が光って見えるように感じます。この光源は少し値が張るのですが、美術館などで使われています。

© Kazumi Takahashi

次に光の強さです。強い光、中くらいの光、弱い光を当てたものです。作品に当たる光の量で作品自体のディテールが分かりにくくなったりします。あたかも夜が明けていくような感じに見えますね。フォトショップで補正して写真の印象を変える方法もありますが、光の当て方だけでも、ここまで作品の主張を変えることができるのです。

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3. まとめ

写真をプリントする時に、みなさんはカラーマネージメントなどにこだわりをもっていらっしゃいますけど、このように鑑賞する場の光によって随分変わってくるものです。人間の目には調整機能がありますので、そんなに気にすることはありません。つまり、あまり微妙なことに陥らないようにするべきです。プリントして客観的に見て、それが自然に見えるかどうか、そしてみなさんご自身が作品として納得できるかどうかが大切です。

せっかく撮った写真ですから、漠然とプリントするだけではなく、みんなで楽しんでみてください。パブリックな場で第三者の意見を聞くことで、違ったアイデアが浮かんでくるかもしれません。ぜひ写真を飾って楽しんでいただきたいと思っています。

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