セミナーレポート

NEW PHOTO FORUM 2011 セミナーレポート

吉田繋セミナー

「コンセプトから考える、写真の追い込み方」 ~和紙や光沢紙などに合わせた加工術~

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3. プリントの前に

実際にプリントする時のポイントをいくつかご紹介しましょう。
みなさんはICCプロファイルを使っていますか?プロの方や、こだわりを持っている人であれば、紙に合わせたICCプロファイルを作っていると思います。このICCプロファイルがあれば、Photoshop®上で画像データをその紙に印刷した時の紙色のシミュレーションができるんです。特に和紙など、紙色があるものを使う時に威力を発揮します。

Photoshop®の「表示→校正設定→カスタム」を選択すると、「校正条件のカスタマイズ」というダイアログが出てきます。「シミュレートするデバイス」で自分が紙に合わせて作ったプロファイルを選択します。そして表示オプションの「紙色をシミュレート」にチェックを入れると、画像データがその紙に印刷した時の色味に変わるので、仕上がりイメージをモニタ上で確認することができるのです。こういう使い方ができる点でも、ICCプロファイルは便利ですね。

次にプリント時に注意すべき点をお話しましょう。
PX-7Vには、プリント表面を平滑化し、光の乱反射を抑えるグロスオプティマイザという機能が搭載されています。もし光沢紙以外に印刷する時、プリンタードライバーのグロスオプティマイザを絶対にオフにしてください。そうしないとせっかくの紙の質感がなくなってしまいます。

顔料インクで印刷する場合、インクを吹いているところとそうでないところで凹凸ができてしまうのですが、それを平滑化するためにオーバーコートインクを吹くことによってプリント表面を均一にします。光沢感を大切にしたい場合はこれでいいのですが、逆にこのオーバーコートインクが乗ってしまうことで、紙表面の質感が死んでしまうんです。ですから紙の質感を生かしたい時は、グロスオプティマイザをオフにするのを忘れないでください。

あと、厚みのある用紙にプリントするときも注意が必要です。PX-7Vには搭載されていないのですが、PX-5Vでは用紙厚が設定できるようになっています。プリンタードライバーの「用紙調整」のところで厚い、自動、広めとありますね。もし用紙に厚みがある場合は「広め」に設定してください。そうしませんと用紙にヘッドが当たってしまい、ヘタをするとヘッドに傷がついてしまうこともあります。厚い紙の時は用紙厚を「広め」にする。これは鉄則です。

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4. プロから見た新製品PX-7Vの魅力

最後にPX-7Vの特徴を見ていきましょう。今回、ブルーインクが搭載されたことで、ブルーの色域が広がっています。実際僕もプリントしてLab値を見てみました。中間層はあまり広くなっていないのですが、うんと暗い部分が広がっているのがわかりました。
この部分を利用した色作りが、新機能の「ポジフィルム調」に現れています。通常の画像データをプリントする時、プリンタードライバー側のこの設定で「ポジフィルム調」を選んで出力すると、今回広がったブルーの色域を生かした色作りが可能になっています。

実際にプリントを比較してみてください。光沢紙でプリントすると深みのある色合いになります。フィルムでいえばベルビア100と大差ないように見えます。コントラストがあって、若干シャドウ部が強いのはまさにベルビアの調子です。

Photoshop®で色補正をする人には関係ない機能かもしれませんが、初心者の方はこういう機能を使ってみるのもいいんじゃないでしょうか?

この中でPM-4000PXを今も使っている人はいますか?人から「古い機種と何が違うのか」とよく聞かれます。でも実は大きな違いがあるのです。

プリンタードライバーでは、ヘッドの双方向印刷のオンオフ切り替えや、詳細印刷のところで速度を設定することができます。通常は双方向印刷をオフにして、ヘッドのスピードを遅くした方がグラデーションのきれいな印刷ができます。そこで、双方向印刷のオンオフと、速度設定を遅くしたり早くしたりすることでどれだけ仕上がりが違うかをテストしてみました。それぞれ設定を変え、シアン100%とブルー100%の色ベタデータをプリントしてみるのです。

すると、PM-4000PXだとプリントの仕上がりにかなりの違いが出ていましたが、PX-5VやPX-7Vだと見た目はほとんど変わりません。もし、違いを見極めることができたら逆にすごいです。

こういうところはカタログには載っていないことなのですが、プリンターは着実に進化しているんだな、という一例でした。

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5. 作品はプリントしてこそ“追い込める”

今回、いろんな話をしてきましたが、やはり「作品はプリントしてこそ追い込める」と思っています。画像データとプリントは全く違いますよね。モニタ上で画像データを開いただけなら、コンセプトを明確化するための画像補正もやってないし、用紙も選んでない。それでは“追い込み”が全然足りません。「単純に写真を撮影して、ウェブサイトにアップしたら終わり」なんてことは絶対にないんです。

それと、自分なりのコンセプトやテーマを決めてほしいと思っています。そうすることで、あなたの作品は他人には真似できない、まさに“自分自身の作品”になるはずです。

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プロフィール

1958年、東京生まれ。日本大学経済学部卒。
広告・PR誌・雑誌など撮影をするかたわら1990年頃から巨樹を中心に自然の写真を撮り続けている。

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