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展覧会情報

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櫻井尚子写真展「鳥-Dromaius」会期:2014年9月12日(金)~9月25日(木) 作品はこちら
櫻井尚子
櫻井尚子 Hisako Sakurai
1992年、ニューヨークのパーソンズ・スクール・オブ・デザイン写真学科卒業。主な個展に、1996年「Viview」(代官山フォトギャラリー)、1997年「aged」(コダックフォトサロン)、2013年「forms」(Place M)など。2013年、蒼穹社より「forms」を刊行
櫻井尚子は赤外線写真の作家である。今回彼女がカメラを向けたのは、飛べない鳥、エミュー。大きな体躯、長い羽毛、鱗の付いた細い脚。赤外線独特の表現により、その姿はいっそう異様な輝きを放ち、彼らのいる空間は太古の自然を思わせる。

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よくある動物写真の型にはまらない、強烈な作品。メインの鳥と空間との関係がダイナミックだ。背景はジオラマのようで、鳥は恐竜時代の動物に見える。原始的なイメージとその異様さがおもしろい。撮り方もうまい。きっと、強い印象を残す迫力ある展示になるだろう。

佐藤氏インタビューコメント

「ずっと赤外線フィルムを使って作品をつくってきたのですが、フィルムが入手困難になってしまったので、思い切ってカメラを改造したんです。それでカメラテストのために、エミューたちを撮ってみたのが最初でした。
このちょっと変わった見慣れないフォルムや、人間とは反対に曲がる脚など、まじまじと見れば見るほどその不思議さに惹かれていったんです。エミュー自体、ちょっと特殊な鳥なのに、赤外線撮影をすると実際の見え方とは違う写真になるので、より非現実的な印象になります。背景はジオラマみたいになるし、赤外線写真はそこがおもしろいんです。
かなり近寄って撮っていますが、最初はやっぱり怖かったですよ。私より大きいし、走ると速いわけですから。でも人間に対して攻撃的じゃないし、実はとても臆病な動物なんです。外見のグロテスクさに反して、中身は繊細というか。そこがまた私には、ぐっと来ちゃったんです。 これ以外の作品もそうですが、私は、表に見えているものとその内面が合致しないことに興味があるんです。昔バレエをやっていて、自分が頭に描くことと体で表せることが一致しないのがとても、もどかしかった。その頃から身体的なことと精神的なことの齟齬は、私の大きなテーマです。
それに、彼らの姿がチュチュを着たバレエダンサーに見えたんです。歩くとき、一歩一歩地面をつかむように脚を動かすんですが、その動きはポアントみたいだし、片脚を少し上げる動作はまるでパッセでした。(※)バレエって、重力に逆らって軽やかに踊るもので、そこには飛ぶことへの人間の憧れがあると思うんです。このエミューたちも、きっとそうなんじゃないかと、妙にシンパシーを感じてしまいました。
写真展ではエミューたちがまるで舞台にいるように見せられたらと思っています。B0を数点のほか、大小取り混ぜて展示する予定です。B0なんて大きなインクジェットプリントを自分でつくるのは初めてで、プライベートラボで試行錯誤しているところです。いろいろな紙を試したり、楽しいですね。」
(※)「ポアント」はつま先を伸ばした状態などを言い、「パッセ」は片足のつま先を軸脚の膝に持ってくるポーズのこと