極める!プリントテクニック講座

第5回 RAWデータを現像する

RAWの基礎を理解する

Adobe® Photoshop® Elements 10.0を使用して説明しています。

プロセス1 RAWの基礎を理解する

RAWデータを現像するプロセス

※RAW生成ではなく、JPEGからのプリントはこちらをご参照ください

RAWデータとは?

デジタルカメラで写真を撮影すると、次のようにカメラ内部で写真データが生成されます。

写真撮影
レンズから入射した光の情報が撮像素子で電気信号に変換されます。
	RAW生成
電気信号をデジタルデータ(RAWデータ)に変換します。
カメラ内現像 画像処理
変換された写真データがJPEGファイルとしてメモリーカードに保存されます。
JPEG生成
変換された写真データがJPEGファイルとしてメモリーカードに保存されます。

このように、カメラ内部で画像処理が行われる前の「生」のデータを「RAWデータ」といいます。
デジタル一眼レフカメラや一部のコンパクトカメラでは、このRAWデータを記録することができます。

RAWとJPEGの違い

RAWとJPEGには、それぞれ次のようなメリットとデメリットがあります。

  メリット デメリット 使用に適した撮影条件
RAW
  • 撮影後に写真の色味や明るさ、シャープなどを自分で細かく調整できる
  • データを扱えるソフトが限られており、閲覧するには現像処理が必要になる
  • データサイズが大きい
  • 逆光や動物など、カメラの撮影設定が難しい場面や被写体を撮影するとき
  • 急なシャッターチャンスでカメラの撮影設定が間に合わない場合
JPEG
  • データサイズが小さい
  • データを扱えるソフトが多い
  • カメラの撮影設定を間違えると意図しない色味や明るさの写真になることがある
  • データを圧縮するためノイズが発生することがある
  • スタジオ撮影や静物撮影などのようにカメラの撮影設定をじっくり行える場合

最近のデジタルカメラはカメラ内部の現像処理の精度が高く、通常はJPEGでも十分満足いく結果が得られます。撮影後の手間をできるだけ減らしたい場合はJPEGで撮影するとよいでしょう。
しかし、JPEGデータはカメラメーカー独自の色作りが反映されているため、RAWで撮影した方が自分のイメージに近づけやすい場合もあります。そのため、撮影条件や用途に応じてRAWとJPEGを使い分けるようにしましょう。

ヒント RAWとJPEGの画質の違い

JPEGは、データを記録する際に圧縮するため、RAWに比べて若干画質が低くなる傾向にあります。ただし、被写体や撮影条件によっては、その差はわずかで、人間の目には分からない場合も少なくありません。撮影設定がきちんと行われていれば、JPEGでもほとんどの場合、鑑賞に堪える画質を得ることができます。
ただし、撮影した写真を大伸ばしする場合は、JPEGの圧縮ノイズが拡大されて目に付きやすくなることがあるので、多くの場合RAWで撮影した方が満足行く仕上がりが得られます。

RAWとJPEGの画質の違い

RAWを現像した場合

 JPEGで撮影した場合

JPEGは、人の目に認識されづらいデータを削減しています。そのため、写真によっては、上の例のようにRAWの方が階調が滑らかに見えたり、ディテールが精細に見えたりすることもあります。

RAWの基礎を理解する