EP-10VA × 東京カメラ部 東京カメラ部10選 EP-10VAレポート

日常の中にある物語の風景を切り取り、2年連続で「東京カメラ部10選」に選出された富久浩二さん。展示作品はもちろん、普段からお気に入りの写真は自宅でプリントしているそう。そんなプリント愛好家の目に、エプソンの新プリンター「EP-10VA」の画質・機能はどのように映ったのだろうか。

富久浩二さん

「出てくるプリントのすべてが美しく、ここまでデータ再調整が必要なかったのは初めての経験です」

普段はご自身でプリント作業を行っていますか? また作品をプリントする魅力をどのように考えていますか?

富久自宅のプリンターで、ほぼ自分自身でプリントをしています。ラボにお願いするとトリミングされてしまうことが多いのと、色が鮮やかになりすぎてしまうことがあり、やり直すくらいならば自分の手で完結させたいですよね。個展のプリントもすべて自宅での作業でした。プリントは友人や個展に来てくださった方にプレゼントすることもありますし、気に入った写真が撮れると、とにかくプリントしたくなります。写真はやはりプリントです。データを画面で見ているだけでは感動がありません。プリントされた写真を見ている方が楽しいですよね。

富久さんの彼岸花を撮った作品

富久さんが驚愕した、彼岸花を撮った作品。追い込んで作成した「赤」が一発でプリントされた。レッドインクを含む新6色インク搭載の「EP-10VA」ならではの再現性の高さが味わえた。

頻繁にプリントをする視点から、「EP-10VA」を使用してみての率直な感想をお聞かせください。

富久素直に楽しかったですね。思う存分プリントしました(笑)。写真用紙クリスピア〈高光沢〉のA4サイズを使ったんですが、出てくる写真、出てくる写真、すべてが素晴らしく、驚きました。普段はPCでデータを仕上げてからの出力で、モニターとプリンターはカラーマッチング済みなので、本来は色がずれることはないはずなのに、5枚に1枚は色が気に入らず、データを調整して再プリントしていました。でも、今回は70枚くらいプリントして、ほとんどが一発でオーケーという脅威の再現力でした。過去、何回もトライした写真が「EP-10VA」では一発ですからね。彼岸花を撮った1枚も、赤にこだわってデータを作りましたが、それがきちんと出るとは。これはレッドのインクが追加された強みでしょう。

『クリスピア 高光沢』に作品を印刷した富久さん

普段は染料プリンター+絹目調の組み合わせで自宅プリントを楽しんでいる富久さん。光沢紙の場合、展示時にプリントに傷が付くことを避けるための選択だそう。しかし、「EP-10VA」と写真用紙「クリスピア〈高光沢〉」の光沢感と透明感に感激し、一気にA4サイズ50枚をプリントした。

どのような設定で「EP-10VA」を使いましたか?

富久普段はPCからの出力ですが、今回はレタッチ済みデータをSDカードにコピーし、プリンターから直接印刷しています。どの用紙を使っているのかをプリンターで設定する機能があり、「クリスピア」+「最高品質」を使いました。「自動補正」がデフォルトでオンになっていますが、データの内容をしっかりと解析してくれているため、オンでもオフでも同じように美しい再現力でプリントされ、そこも信頼に繋がりましたね。プリンター本体には液晶画面があり、スマホのようにタッチ式で操作ができるのも便利ですね。

EP-10VAのタッチパネルを操作する富久さん

SDカードを「EP-10VA」に挿入し、プリンター本体のみで印刷。富久さんもほぼPCレスでプリント。「ダイレクトプリントがこんなに快適だったとは(笑)」と話す。使用する紙を設定することで、インク噴出量などが最適化される。

今回は全て「余黒」が付けられていますね。余黒の設定はいかがでしたか?

富久とにかく便利な機能で、余黒の設定もプリンター内の「作品印刷機能」で簡単にできました。PCで余黒を付けようとすると案外面倒で、プリントする写真ごとに再度設定が必要だったり、プリントしたときにわずかにズレが出たりするんです。それが1mmのズレもなく全てのプリントに付けられるのは素晴らしいですね。作品に美しい統一感が出て、引き締まって見えるようになったと思います。フチの太さは4段階で選ぶことができますが、今回はすべて細めの「普通」を使いました。より大きな引き締め効果を狙って、さらに太めの余黒も今度は使ってみたいです。

傷がつかないようビニールに入れられた富久さんの作品

写真歴は10年。通勤で通る多摩川の土手で撮った写真が評判となり。以来「ストーリーを感じさせる日常風景」をテーマに作品づくりを行っている。取材時にお持ちいただいたプリントはすべて傷が付かないようにビニールに入れられており、そこからもプリント愛が伝わってくる。

日常をドラマチックに捉えたスナップが中心ですが、ボケ味が豊かな写真、逆光の柔らかさがある写真、絞り込まれた緻密な写真など、性格はさまざまです。傾向が異なる写真も思い通りにプリントできましたか?

富久実はオールドレンズを使った撮影が好きで、ボケ味のあるような写真はだいたい古い一眼レフ用レンズを使っているんです。オールドレンズならではの周辺光量落ちのグラデーションも美しいですよね。いまとあるメーカーさん最新レンズをお借りしていて、これを使った写真のプリントは細かさがもの凄い。モニターではここまでの細かさを感じなかったんですが、プリントを見て驚きました。やはり最新レンズはすごい(笑)。青空の透明感も好みですね。レンズの性能の良さがそのままプリントで表現されていると思います。

「顔料プリンターをお使いの方も『EP-10VA』を追加購入し、光沢紙との最高のマッチングを体験してほしいです」

EP-10VAと富久さん、そして作品たち

富久さんは写真教室を主宰しています。プリントの良さはそこでも伝えていきますか?

富久生徒さんは初心者の方が多いので、プリントしましょう、ということは伝えていきたいと思っています。わたしがプリントをして見せたり、展示をゆくゆくは計画して、プリントと自然に触れ合っていただけるような仕掛けを考えていきたいですね。

「EP-10VA」は、富久さんの作品づくりに役立つプリンターとなりそうですか?

富久大型機を自宅に置くのは現実的に大変でも、これなら価格もサイズ感もちょうど良いなと思います。実はプリンターから直接プリントするダイレクトプリントは、今まではピンときていなかったんですね。でも、たくさんの写真をパソコンからプリントするのは本当に大変なことで、ダイレクトプリントの便利さを初めて体感しました。DPE店にあるプリント受付機みたいな感覚で一気に印刷ができますから。何より、光沢紙とのマッチングが最高でしたね。作品づくりには顔料プリンターというような認知がありますが、顔料を使っているようなベテランの方にも追加で「EP-10VA」の購入をおすすめしたいです。やっぱり透明感は染料。その良さをもっと知っていただきたいです。そうはいっても、染料の高級機を買うのはとても勇気がいることなので、「EP-10VA」のような複合機は絶妙な立ち位置なんですよ。

EP-10VA製品画像

EP-10VA

新6色染料インク搭載のA3対応多機能複合機。日常使いから写真作品まで、幅広い用途に対応。レッド・グレーを加えた新6色インクで、広い色彩の鮮やかなカラー表現、階調豊かなモノクロ表現を実現可能にする。

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笑顔の富久浩二さん

富久 浩二

1970年福岡生まれ。2012、2013年「東京カメラ部10選」に選出。日々の通勤風景を主に、いつも見ている変わりばえのない、しかし二度とやって来ない一瞬の情景を大切にし、人が入った物語のある写真をテーマのもとに、人びとの優しく楽しい感情が伝わる事を目標に日々撮影。子供の頃の目線、何と無く懐かしさを感じて貰える様に、ライブビューを使った低い目線、思い切って背伸びをした様な高さからの撮影が特徴的。