初期投資におけるコストメリットが大きい「ゴーストレストラン」ですが、ランニングコスト圧縮による利益拡大も最大の魅力の一つです。「6curry」の実店舗運営とゴーストレストラン運営を比較してみました。(図②参照)実店舗では、売上に占める経費割合として、人件費や食材費が25~30%ほど。雑費や家賃が10~15%ほどかかっています。しかし、「ゴーストレストラン」は家賃を大幅に削減できる他、接客(ホール)が必要ないため、人件費や賃料を大幅に下げられるのです。そんな「ゴーストレストラン」のメリットを余すことなく享受できたという「6curry」ですが、運営の中で新たなコストの課題は発生していました。
YOPPY氏「実店舗がないからこそ、お客様に商品やブランドを知ってもらう機会が少ないことが課題の一つでした。お客様には“6curryで注文した”という商品のバリューを感じてもらうため、テイクアウト用のカップにロゴを印刷したシールを一枚一枚手貼りし、配達時の紙袋にはロゴやデザインを印刷してオリジナリティを少しでも感じてもらえるように意識しました。最初のうちは社内プリンターで印刷する発想がなく、全て外注で印刷していたため、気づけば印刷コストは相当な額面になっていましたね」
新井氏「やりたいことがいろいろあって、日々、実験しながら営業している私たちなので、スタイルもどんどん変わるし、1ヶ月後には違うメニューやサービスが生まれる可能性もあるんですよね。コロナ禍だと営業時間も変わる可能性がありますし、お店ができてから2年たった今でも細かい情報の変更が発生するので、制作物も大量に作ってしまうとリスクがあって。そういう意味でも、少数のロットでさっと印刷できる社内プリンターは欠かせません」
「さらに、ランニングコストとして注意しておきたいことは、人件費は抑えられてもデリバリーのプラットフォームに支払う手数料が発生するので、利益が逼迫しがちな点です。」
新井氏「さらに、ランニングコストとして注意しておきたいことは、人件費は抑えられてもデリバリーのプラットフォームに支払う手数料が発生するので、利益が逼迫しがちな点です。幸いにも私たちはUber Eats専属デリバリー店として銘打ったことで宣伝効果もあり、プラットフォーム上で苦戦を強いられることは少なく、商品研究に情熱を注ぐことができたと感じています。」
必要以上の人件費やアプリ手数料の圧縮は現実的に難しいところ。「ゴーストレストラン」は、すでに圧縮されたコストで運営する業態だからこそ、ランニングコストとして含まれる印刷費などの見落としがちなコストをさらに低く抑えられれば利益にも直結します。価格競争も激しいデリバリー商戦において、プロモーションや商品力を強化することも、事業をスケールアップしていく要となりそうです。