サステナビリティ

CSRトピックス

2013年5月13日

優れた効果を発揮!
シンガポール製造法人の環境負荷低減活動

シンガポールにあるSingapore Epson Industrial Pte. Ltd.(以下SEP)は、半導体工場とメッキなどの表面処理加工工場を持つ製造現地法人です。メッキ処理では一般的に、薬品・水・エネルギーなどを大量に使用・廃棄するため、環境に悪い影響を与えてしまうイメージがありますが、SEPでは培ってきたノウハウをもとに開発した独自の技術によって、環境負荷を大幅に低減し、同時にコスト削減も実現しています。

表面処理加工事業の責任者、Dr.Fangは、「工場では、費用をかけて購入した表面処理加工用の重金属や薬品を、最後はまた費用をかけて大量に処分しています。できるだけリサイクルできるシステムを考えることで、環境面でも経営面でも効率的な工場を目指しています。」と語ります。

廃水の再利用

表面処理加工工場では、1日に約400トンの水が使われています。使用した水にはさまざまな物質が含まれるため、そのままの状態では外に排水できず、含有物を沈殿させて取り除いた後に排水する方法をとっていました。この処理方法では、沈殿させるために入れた凝集剤が、沈殿物と一緒に残ってしまう上、水も再利用できるレベルにはなりません。そこでSEPは、含有物をフィルターで高いレベルまで分離させることで、水が再利用できる独自のシステムを開発しました。

<効果>

  • 毎時25トンの水が再利用可能に(ほとんど外部に排水しない)
  • 廃棄物を従来の10分の1に
  • 処理装置の設置スペースが45m²から7m²へと大幅減
    (大きな沈殿槽が不要)
  • 沈殿させるための凝集剤の購入費用や廃棄費用が不要に
  • 86%の節水効果を達成

ニッケルの再利用

無電解ニッケルメッキは、約1,000キロリットルと約400キロリットルの大きなメッキ槽にあるメッキ液を1日に1回交換しなければなりませんが、交換した廃液をそのまま排水することはできません。無電解ニッケルメッキの液には、錯化剤が入っているため沈殿しにくく、処理が難しいのですが、SEPは新しいアイデアによる原液処理と、回収したニッケルがそのままメッキに再利用できる全自動システムを開発しました。

<効果>

  • 処理不可能だった原液を処理可能に
  • ニッケルの廃棄量削減
    (回収したニッケルがほとんどそのままメッキに使える)
  • ニッケルの購入費用・廃棄費用削減
  • 沈殿させるための薬剤や工数の削減

電気使用量の削減

表面処理加工工場で使う薬品は、その種類ごとに温度管理が必要で、電気ヒーターで温めた温水を使って温度管理を行っていました。そのため、電気使用量や電気代は膨大なうえ、毎日使用する電気ヒーターは1年程度で交換しなければならず、購入費用も毎年必要でした。また工場で使用している薬品(有機材料)は燃えるものであり、電気を使うこと自体安全ではありません。そこで、SEPでは、ソーラーパネルと熱ポンプを利用して電気ヒーターの代わりにするとともに、ポンプが排出する冷気をエアコンに活用できるシステムを開発し、工場全体の電気使用量の削減と安全性の向上を実現しました。

<効果>

  • 年間の電気使用量を約20%削減
    (投資金額を約一年で回収)
  • 1年ごとに交換していた高価な電気ヒーターが不要に

SEPではこれらの他にもさまざまな環境技術を生み出し、実用化しています。

塩酸再利用システム

<効果>

  • 塩酸を半永久的にリサイクル可能に
  • 廃棄量大幅減(年間約200トン→12トン)
  • 薬品使用量大幅減(年間約83トン→10トン)
  • 水使用量大幅減(年間約83トン→10トン)

除湿式乾燥機

<効果>

  • 電気使用量が約半分の55%に
  • プラスチック部品などの変色がなくなる
  • 外に出さずに乾燥できるため、オンラインで処理できる
  • 乾燥時間短縮(25%減)

過マンガン酸カリウム再利用システム

<効果>

  • ずっと再利用できる
  • 廃棄化学薬品量95%削減
  • 薬品使用量90%削減
  • 機器設置費用92%削減

これらの技術は自らの工場内に留まらず、エプソングループ内へも活用されています。
2013年5月から受注生産を開始した表面処理加工事業の新拠点Epson Surface Engineering Zhenjiang Co. Ltd.(所在地:中国江蘇省鎮江市)でも、SEPが培ってきた技術やノウハウが活かされています。

以上