サステナビリティ

TCFD提言への対応

TCFD提言への対応

気候変動が社会に与える影響は大きく、エプソンにおいても深刻な社会課題だと捉えています。パリ協定の目指す脱炭素社会(世界の気温上昇を2℃未満に十分に抑える)の実現に向け、エプソンは科学的根拠に基づいた温室効果ガスの排出削減目標(SBT)を定めています。その目標に向かって、価値創造ストーリー、環境ビジョン2050および長期ビジョン「Epson 25」の方針・施策の下で、気候変動への対応を進めています。

2019年10月に、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明しました。2020年8月に、株主・投資家をはじめとする幅広いステークホルダーとの良好なコミュニケーションがとれるように、TCFDのフレームワークに基づき、情報開示(ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標)を拡充しました。


シナリオ分析の結果 

TCFDのフレームワークに基づいて、シナリオ分析を実施し、気候関連リスク・機会がエプソンの戦略に与える財務影響度を評価しました。その結果、脱炭素社会へ急速に進んだ2℃シナリオの場合、4℃シナリオに対し政策・法規制による操業コスト増加の移行リスクはあるものの、エプソンの強みである低環境負荷(消費電力・廃棄物など)の商品・サービスで、エプソンが設定したマテリアリティである「産業構造の革新」「循環型経済の牽引」に合致し、事業拡大の機会があると確認できました。この機会の拡大は、お客様の元での環境負荷低減につながり、気候変動の抑制に貢献できます。
こうした評価結果から、エプソンは社会にとっても自社にとっても合理的であるパリ協定の目指す脱炭素社会の実現に向け、認識したリスクに対処しながら、機会を最大化するための取り組みを継続的に進めています。
なお、世界が現状を上回る対策を取らずに温暖化が進んだ4℃シナリオの場合でも、異常気象の激甚化による国内外の拠点に対する物理リスクの影響は、小さいことが確認できました。

ガバナンス

気候変動に係る重要事項は、グループ全体に関わる重要経営テーマなどの審議・諮問機関である経営戦略会議で議論した上で、定期的に(年に1回以上)取締役会に報告することで、取締役会の監督が適切に図られる体制をとっています。
また、気候関連問題に対する最高責任と権限を有する代表取締役社長は、サステナビリティ推進室長(取締役執行役員)を気候関連問題の責任者に任命し、サステナビリティ推進室長は、TCFDを含む気候変動に関する取り組みを管理・推進しています。

気候変動に関する推進体制

気候変動に関わる主な取り組み

戦略

エプソンは、価値創造ストーリーの中で、産業構造の革新と循環型経済の牽引をマテリアリティとして設定しています。これを達成するために、エプソンの技術の源泉である「省・小・精の技術」を基盤に、イノベーションを起こし、さらなる温室効果ガス(GHG)排出量削減に取り組んでいきます。 

気候関連のリスク・機会に関するシナリオ分析

エプソンは、気候関連のリスク・機会の重要性評価に向け、「移行リスク」「物理リスク」「機会」の区分でシナリオ特定と評価を実施し、九つの評価対象を選定しました。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)と国際エネルギー機関(IEA)がそれぞれ提示する気温上昇4℃と2℃に相当するシナリオと社内外の情報に基づき、事業インパクトと財務影響度を評価しました。


2℃シナリオにおける気候関連リスク・機会

シナリオ分析に基づいた気候関連リスク・機会の評価結果は以下の通りです。

区分 評価対象 顕在時期 事業インパクト 財務影響度
移行リスク 市場の変化 ペーパー需要 中期 事業インパクト
  • 印刷・情報用紙は減少するものの、包装用途での増加により、ペーパー需要全体は増加するため、リスクは限定的(4℃シナリオとの比較では、増加率は低下)
    なお、具体的な事業インパクトについては、2020年度に評価予定
原油価格 中期 事業インパクト
  • 原油価格の上昇により運送コストが増加
  • プラスチック原料の調達コストが増加
リスクへの対処
  • 商品の小型化・長寿命化と資源循環を拡大
  • サブスクリプションビジネスを拡大
  • ソリューションビジネスへ移行
プラスチック原料
政策・法規制 カーボンゼロ 中期 事業インパクト
  • 炭素税導入と原油価格上昇による操業コストが増加
リスクへの対処
  • SBT施策に基づくGHG排出削減を確実に実施
  • CCUS(CO2の回収・有効利用・貯留)技術とBECCUS(CCUSにバイオエネルギー利用を組み合わせてCO2の回収)技術の導入を検討
物理リスク 急性リスク 洪水などによる事業拠点の被災 長期 事業インパクト
  • 36拠点(国内17、海外19)を対象に評価した結果、洪水(河川氾濫)、高潮によるエプソンの将来的な操業リスクの変化は限定的
  • サプライチェーンに関する短期気候変動リスクについては、BCP(事業継続計画)にて対応
慢性リスク 海面上昇による事業拠点の被災
機会 商品・サービス 循環型経済の牽引 紙循環サイクルの進展 中期 想定シナリオ
  • 古紙価格および機密文書の回収・処理費用の上昇により、紙のリサイクルコストが増加
  • 環境意識・機密管理意識の向上、分散型処理システムへの移行、リサイクル技術の進化により、紙リサイクル文化はさらに進展
事業機会
  • 紙リサイクルコストは増加し、紙のリサイクル文化の普及が進むため、乾式オフィス製紙機「PaperLab」の売上機会は増大
  • 紙循環サイクルを産業領域にも展開し、新たなビジネスモデルを創出
産業構造の革新 現行分野のインクジェット化の進展 短期 想定シナリオ
  • 炭素税導入、電気料金高騰により、低消費電力へのニーズが高まる
  • 廃棄物処分コストの上昇により、消耗品廃棄の少ない商品へのニーズが高まる
事業機会
  • インクジェットの低消費電力のコストメリット、廃棄物の少なさから、売上機会が増大
新規応用分野のインクジェット化の進展 中期 想定シナリオ
  • 炭素税導入、電気料金高騰、廃棄物処分コストの上昇、適量生産・資源削減などにより、環境に配慮した商品・サービスへのニーズが高まる
事業機会
  • あらゆる産業領域で、コストメリットによりインクジェットの応用分野の拡大機会が増大

顕在時期  短期:10年以内   中期:10年~50年    長期:50年超
財務影響度  小:10億円以内   中:10億円~100億円  大:100億円超  -:今後評価

リスク管理

企業を取り巻く環境が複雑かつ不確実性を増す中、企業活動に重大な影響を及ぼすリスクに的確に対処することが、経営戦略や事業目的を遂行していく上では不可欠です。
エプソンは、気候関連問題を経営上の重大な影響を及ぼすリスクとして位置付け、適切に管理しています。

気候関連リスクの識別・評価・管理プロセス

指標と目標

エプソンは、国際的な共同団体である「SBTイニシアチブ」から承認された中長期的な温室効果ガス(GHG)の排出削減目標の達成に向けて、「環境ビジョン2050」の下、エプソンの技術の源泉である「省・小・精の技術」を基盤に、商品の環境性能向上や再生可能エネルギーの活用、事業活動などバリューチェーンを通じた環境負荷低減に積極的に取り組んでいます。

「SBTイニシアチブ」に承認されたGHG削減目標

スコープ1+2 2025年度までに2017年度比でGHG排出量を19%削減
スコープ3 2025年度までに2017年度比で事業利益当たりのGHG排出量を44%削減
<対象>
カテゴリー1:購入した物品・サービス
カテゴリー11:販売した製品の使用

スコープ1:燃料などの使用による直接排出
スコープ2:購入電力などのエネルギー起源の間接排出
スコープ3:自社バリューチェーン全体からの間接的な排出



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