CSR・環境

人づくり

労働安全衛生

労働安全衛生の考え方

エプソンは、安全衛生環境の維持向上と心身の健康保持増進が企業体質の根幹を成すものと考え、世界の全ての社員および協働者がチームとして安心して活き活きと働けるよう、全世界で労働安全衛生活動を行っています。
エプソンは2000年度に、国際労働機関(ILO)の指針に準拠した労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)をベースに、「安全」「健康」「防火・防災」「施設」を4本柱とした独自の仕組みである「NESP(New Epson Safety & Health Program)」を制定しました。以来「NESP基本方針」に則して、「自分の職場は自分で守る」を念頭に現場管理を徹底しています。

担当役員のコミットメント

エプソンは、より良い社会の実現に向け「なくてはならない会社」となる強い決意を社員全員で共有していきます。私たちが「なくてはならない会社」を目指すために、各国・地域の法令や社内規定を遵守するとともに、エプソンで安心して働ける職場の安全衛生環境を作り上げ、働く仲間のこころとからだの健康維持・増進に努めます。安全・安心・健康は、企業の生命線であることを肝に銘じ、事業マネジメントのもと、全員一丸となり「労働災害・事故ゼロ」「業務上疾病ゼロ」を実現し、継続的にお客様のニーズに応えていきます。

常務執行役員 生産企画本部長 兼 統括安全衛生管理者 奥村 資紀



労働災害の発生状況

労働災害度数率、強度率は全国平均を大きく下回る水準で推移しています。しかし、2018年度は、粉じん爆発により、社員1名が火傷を負う重大労働災害*1が1件発生してしまいました。これを受け、国内外のグループ会社で粉体取り扱い作業を中心に安全確認と対策を実施しました。
*1 死亡・後遺障害およびこれに準ずる災害


労働安全衛生の取り組み

グローバルなNESP活動の情報共有

エプソンは、国内外の生産拠点において、経営層と実務者層、それぞれの階層で情報共有する会議を定期的に開催し、NESP活動のレベルアップを図っています。

経営層では、半期ごとに、国内拠点・海外拠点に分け、各事業所・関係会社の安全衛生活動のトップである事業部長・関係会社社長クラスを集め、担当役員参加の「総括安全衛生管理者会議」を開催し、NESP活動の現状・課題を共有し、活動のレベルアップを図っています。
実務者層においても、定期的に情報共有会議を開催しています。日本国内においては、隔月で重要テーマ・課題について討議します。海外においては、中国・東南アジア圏として、各製造現地法人の情報共有会議を定期的に開催し、共通課題の認識合わせや、各国・地域の法令対応などに関する重要施策の討議を行い、活動のレベルアップを図っています。

2018年製造現法での情報共有会議(中国)

「安全ニュース」を用いた社内啓発

エプソンは、グループ内で発生した全ての労働災害と事故について分析を行い、発生原因を究明し再発防止策を立案します。また、労働災害と事故について、原因・対策・再発防止の水平展開事項までを「安全ニュース」としてまとめあげ、社内イントラネットを活用し全社員に周知徹底を図っています。

安全衛生教育を通した人材育成

エプソンは、社員の命を守る安全衛生教育を最も重要な教育の一つに位置付けています。その特徴は、社員の階層や役割に応じた教育カリキュラムが充実している点です。一般社員層にはリスクアセスメントや危険予知訓練などの実用技法、管理監督者層には職場を統率するスキルの習得にそれぞれ主眼を置いて、全社共通の教育カリキュラムを運用しています。
2018年度の教育実績として、国内ではeラーニングを活用した安全教育を計画し、全社員の98.3%に当たる17,692人が受講しました。また、海外では管理監督者向け基礎教育を計画し実施しました。その結果、中国圏の受講率は100%(580人)、東南アジア圏は59%(599人)となりました。2019年度は受講率100%達成を目指して、新任の管理監督者を含む対象者への教育を実施していきます。

2018年管理監督者向け基礎教育(インドネシア)

こころとからだの健康管理

エプソンは、NESP(New Epson Safety & Health Program)活動の重要項目の一つとして、活き活きと働ける組織風土を築き、健康と企業価値の向上を実現する健康経営に取り組むことで、社員の健康保持増進を支援しています。
NESP基本方針などに基づく、作業関連疾病の予防と健康保持増進の取り組みを計画的かつ継続的に展開するための中期総合施策は、総括安全衛生管理者会議にて経営層が審議し、健康管理担当役員が承認後、グループ内(国内)に示達しています。
国内では、2001年度から5年ごとに健康に関する中期計画を策定しています。2016年4月、新たな中期計画である「健康Action 2020」を制定しました。「健康Action 2020」では、「安全配慮の徹底と職場環境の改善を重視」と同時に、「社員・職場の主体性・自律性の醸成」を基本的な考え方とし、「職場の健康」「からだの健康」「こころの健康」の三つの重点分野に対し、取り組みを進めています。活動については、毎年実績を確認し、さらなる改善につなげるようにしています。
海外においては、国や地域ごとに労働衛生法令が異なるため、それぞれの現地法人が現地法令に基づき健康管理を推進し、各社の実態に合わせた継続的な改善を図っています。


3年連続「健康経営優良法人」に認定

2019年2月、エプソンは「健康経営優良法人 大規模法人部門(ホワイト500)」に3年連続で認定されました。「健康経営優良法人」は、保険者と連携して優良な健康経営を実践している法人を、経済産業省と日本健康会議が共同で顕彰するもので、今回が3回目となります。
この認定は、「健保等保険者と連携を行っている」「産業医・保健師が健康保持・増進の立案・検討に関与している」「健康増進・過重労働防止に向けた具体的目標(計画)の設定」「受動喫煙対策に関する取り組み」など23の評価項目からなっており、エプソンは全ての基準を満たしました。また、健康経営度調査の内訳項目のうち「経営層の関与」「体制構築」「リスク保有者限定施策」「施策全体の効果検証・改善」などが高い評価を受けています。

メンタルヘルスの取り組み

当社および国内グループ会社では、「こころの健康(メンタルヘルス)」を重点分野の一つに挙げ、豊かな人間関係の中で活き活きと働ける職場風土の醸成ならびに予防・再発防止へ重点的に取り組んでいます。

教育・研修

2000年にメンタルヘルス研修をスタートして以来、新入社員、中堅社員、シニアスタッフ、課長などの対象層別の集合研修や、全社員対象のeラーニング、「メンタルヘルス読本」の読み合わせ活動などの教育・研修に力を入れ、継続的に推進してきました。研修の一例として、会社内での役割の変化やプライベート上のライフイベントの変化が生じる35歳前後の社員を対象とした「Around35働きざかりのメンタルヘルス教育」を実施しています。研修では、自己理解を深め、ストレスに対処し、自分自身でこころの健康を保持できる力を高めることを目指しています。この研修は、2012年度から2018年度までの間に累計181回開催し、2,175人の社員が受講しました。

相談体制

当社の各事業所「健康管理室」では医療専門職(産業医・看護職・臨床心理士)が社員のこころとからだの健康に関する相談に対応しています。「従業員相談室」では、産業カウンセラーがさまざまな相談対応の他、キャリアカウンセリングも行っており、社員のキャリア形成と自己実現を支援しています。

ストレスチェック

当社は、社員のストレスに対するセルフケアを主目的として、2004年度から定期健康診断時に全社員を対象に職業性ストレス診断を実施し、高ストレスと判断された社員に対し、医療専門職や産業カウンセラーによるフォローを実施してきました。その結果、メンタルヘルス不調の早期発見や早期対応につなげています。
2015年12月より労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度が施行されたことを受け、法律の要求事項を追加する形で内容を見直し、国内グループ各社・各事業所の安全衛生委員会審議を経て、ストレスチェック実施に関するグループ基準を制定しました。2016年度からはこの基準に則してストレスチェックを実施し、2017年度からは職場分析レポートのフィードバックおよび職場環境改善の支援を行っています。

再燃再発防止

メンタルヘルス不調による休職から復帰した社員のスムーズな職場復帰を支援し、再燃再発を防止するため、2007年度から復職プログラムを運用しています。個々の状況に合わせ、医療専門職や産業カウンセラーが一堂に会し、チームとして対応を検討しています。また、主治医・職場管理者・人事労務部門とも密な連携を取り、支援の充実を図っています。2016年度はこの復職プログラムを改訂し、私傷病の休職期間を最長1年6カ月から最長30カ月まで延長するなど安心して休むことができる環境を整えました。

「たばこの煙のないクリーンな職場環境」への取り組み

社員を受動喫煙および喫煙の害から守る活動を強化するため、2016年度から国内全事業所の喫煙場所の削減および屋外化を段階的に進め、2018年4月から休憩時間を除く就業時間内の全面禁煙を開始しました。
また喫煙者に対しては、世界禁煙デーに合わせた啓発活動、産業保健スタッフによる保健指導や禁煙外来医療費の自己負担額全額補助など卒煙を支援しています。その結果、国内グループ社員の喫煙率は、2011年度からの5年間で2.6%の減少幅でしたが、就業時間内禁煙を始めた2016年度からの2年間で3.2%も減少し、2018年度の喫煙率は22.4%となりました。エプソンは、さらなる受動喫煙対策に取り組み、煙・臭いのない職場の実現に努めていきます。


新興感染症予防対策などのグローバル展開

エプソンは、感染症が企業活動に影響を与える大きなリスクとして捉えています。事業のグローバル化が進む中、「グループ全体に感染症に対する防疫意識が浸透し、職場内では日常的に感染防止策が励行されている」状態を目指し、2009年度から感染症による「事業所閉鎖0件」を目標に掲げて活動を推進しています。2017年度は、海外の全製造現地法人を対象に、結核・マラリア・中東呼吸器症候群(MERS)などの感染症の拡大防止状況の点検および改善を通じた強化活動を展開しました。
特に、国内外のグループ全社において、国およびその地域に即した新興感染症の発生時におけるリスク制御計画(BCP)を策定し、社員の安全確保はもちろんのこと、被害の最小化、事業の継続を目的に自走型の取り組みを推進しています。


救急救命の普及啓発活動の推進

当社は、過去に社内で発生した心肺停止による緊急搬送事例を教訓として、社内外で万が一現場に居合わせた時に最善の応急手当や救命処置がとれるように、国内のグループ各社において救命救急の普及啓発活動を推進しています。役員および全社員を対象にした心肺蘇生手順と、自動体外式除細動器(AED)操作の実習を交えた体験型の救急救命研修を実施し、2019年3月末までに約13,300人が受講しました。

防火・防災の取り組み

エプソンは、グループから災害を出さないという強い意志の下、無災害企業を宣言し「自分たちの会社は自分たちで守る」をスローガンに防災組織を編成し、毎年8月の最終稼働日を「エプソンの防災の日」と定め、広域的な災害発生時に、被害を最小限にとどめることを目的に避難訓練、初期消火訓練、情報伝達訓練などを通じて、防災体制の強化と防災に対する社員の意識高揚を図っています。

自衛消防団の結成

当社自衛消防団は、1955年に工場自衛消防団として編成され、2018年で64年目と歴史も古く、「自分たちの会社は自分たちで守る」のスローガンを引き継ぎ、国内外の自衛消防団は、日々消防技術・技能の向上のため、厳しい訓練を重ねています。発足当初は15人での編成からスタートとなりましたが、現在では約900人の規模となり、国内・海外の各拠点において活動を行っています。

初代自衛消防団メンバー(1955年)

自衛消防団活動の目的・意義

  • 有事の際に、迅速・的確な行動が取れるように、定期的な訓練により消防技術・技能、安全知識を習得させ、会社の安全教育の一環とする。
  • 火災、天災の有事に際し、社員の先頭に立ち、人身の安全(救護活動)および諸施設、設備などの被害を最小限に食い止める(初期消火活動)。
  • 習得した消防技術・技能・安全知識を、職場の核となり指導・徹底するとともに、安全・防火・防災について全社員の模範となる行動を取り、災害の未然防止、安全意識・防火などの意識の高揚を図る。
  • 消防活動を通してコミュニケーションを深め、部門を越えた団員相互の親睦を図り、会社生活における良き人間形成および人材育成の場とする。


自衛消防団操法大会の実施

エプソンの自衛消防団操法大会は、国内・海外のそれぞれの拠点に編成される自衛消防団が集結し、有事の際に必要となる迅速かつ的確な安全行動や、初期消火に対する基本的な消防技術・技能を発表する場として毎年9月に開催されます。
今年の大会は、小型ポンプ操法の部22チーム、屋内消火栓操法の部12チーム、ラッパ吹奏の部8チームの国内27チーム、海外15チームの全42チーム、総勢700人が集結し、国内外各拠点の代表として、日ごろの訓練成果を発表しました。悪天候にも関わらず、真剣に取り組む団員の姿からは、当社の防火・防災に対する意識の高さが感じられ、「自分たちの会社は自分たちで守る」という精神は、時代が変わっても脈々と受け継がれていきます。今後もエプソングループ一丸となって防火・防災対応力強化に向けた活動を継続していきます。

一斉放水の準備を始める男子小型ポンプの部

水の軌道を保ちつつ、放水する女子屋内消火栓の部